PICS 集中治療後症候群

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非薬物学的睡眠管理

重症患者において、睡眠不足は一般的な訴えであり苦痛の原因となっています。
重症患者における睡眠障害は、せん妄発症率、人工呼吸期間、免疫能低下、認知機能障害と関係していると考えられており、睡眠管理は非常に重要な課題となっています。そのため、2018年にそれまでの痛み(Pain)・不穏(Agitation)・せん妄(Delirium)ガイドライン(PADガイドライン)に不動(immobility)・睡眠(Sleep)を加えたPADISガイドラインが発表されました 1


危険因子

重症患者の睡眠の質に影響を与える因子として、ICU入室中の痛み、環境刺激、ヘルスケア関連の安静中断、心理的要因、呼吸の要因と薬物が挙げられています。

重症患者における睡眠管理として、ICU滞在中の環境管理における非薬理学的睡眠管理があり、耳栓やアイマスク、音楽療法などが注目されています。

・ 耳栓・アイマスク
ICUではシリンジポンプや輸液ポンプ、人工呼吸器、体外循環デバイスなど様々な機器が使用されており、それらに付随するアラーム音は患者にとって騒音かも知れません。
また、夜間にも関わらず処置等で室内が明るくなることは患者にストレスを与えています。
実際、騒音計を用いたICUの環境音の検証では、電車内の音量に匹敵する80dBAを超えていたとする報告があり、このような環境は決して快適とは言えず睡眠障害を引き起こします。
そのため、夜間のICU騒音と光の低減策を目的としたアイマスクと耳栓を用いた臨床研究が報告されています。

・ 音楽療法
音楽によるリラグゼーション効果により睡眠障害を改善させる治療法です。
音楽療法は睡眠障害の改善のみならず不安の軽減、心拍数や呼吸回数の減少、鎮静薬や鎮痛薬の投与量の減少を認めたとする報告があります。


文献

1. Devlin JW, Skrobik Y, Gélinas C, et al. Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Management of Pain, Agitation/Sedation, Delirium, Immobility, and Sleep Disruption in Adult Patients in the ICU. Crit Care Med. 2018;46(9):e825-e873.