About
日本集中治療学会遠隔ICU委員会 Ad Hoc について
わたしたちは、複数の集中治療室 (以下 ICU)をネットワークでつなぐことで、遠隔での診療支援を実現する「遠隔ICU」の治療モデル確立を目指しています。テクノロジーの進化により、各医療機器のデータ統合技術は向上しています。また、ネットワークの通信速度は格段に向上し、遅延ももはやほとんどないといっていいところまで来ました。モニターの解像度やカメラの解像度も人の眼を超えたと言われている今、ネットワークを通じてICUの情報を共有することで、昨今懸念されている集中治療専門医不足の問題を解消します。「テクノロジーでICUをスマートに」。わたしたちは医療従事者、患者、家族、すべての人のコミュニケーションを向上させる事で、みんなを笑顔にしていく事を目指します。
Members
委員会メンバーのご紹介
委員長
高木 俊介
公立大学法人
横浜市立大学附属病院
集中治療部委員
野村 岳志
東京女子医科大学
集中治療科委員
八反丸 善裕
東京大学医学部附属病院
医療機器管理部委員
松村 洋輔
千葉県救急医療センター
集中治療科委員
飯塚 悠祐
自治医科大学附属
さいたま医療センター
麻酔科 集中治療部委員
大下 慎一郎
広島大学大学院
医系科学研究科
救急集中治療医学委員
神尾 直
医療法人 沖縄徳洲会
湘南鎌倉総合病院
集中治療部担当理事
橋本 悟
京都府立医科大学附属病院
集中治療部外部委員
長谷川 高志
NPO法人日本遠隔医療協会
Benefit
遠隔ICUを導入する5つのメリット
集中治療医不足のカバーと医療の標準化
遠隔ICUはネットワークを介してICUを接続することで、複数の医療従事者で複数の患者のモニタリングが可能になり、スケールメリットが働きます。従来の1対1で課題となっている集中治療医不足をカバーできます。
サポート体制の充実
本来、ICUでは、専門知識や経験を積んだ集中治療医が求められますが、現状、国内のICUでは専門医が管理しているICUは多くありません。遠隔ICUの導入によって、センターに常駐する集中治療専門医と、ネットワークを介して医療従事者(医師も含む)がリアルタイムにコミュニケーションが取れるようになります。
安全管理の担保
遠隔ICUでは、患者のバイタルデータをコントロールセンターと各病院の両方でチェックできます。しかもコントロールセンターには集中治療専門医が常駐するため、従来のICUに比べて安全性が増します。加えて、医療ビッグデータとの連携で、より安全管理がしやすくなります。
ビッグデータの活用による更なる医療の質の向上
患者の呼吸、心拍数、血液など各種バイタルデータを機械学習(AI)させることで、従来のICUでは難しかった重症化予測が可能になります。予測医療の進歩によって、医療従事者の負担が軽減されるだけでなく、患者のQOLも上がります。
医療コストの削減
ビッグデータの活用によって実現される重症化予測、重症度判定により、患者のトリアージが可能になります。これにより現状の、専門医が少ない中で運用されているICUで発生している様々な工数を適正化できます。
Scope
すべての医療従事者と患者のために
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、介護・医療などの社会保障費の急増が懸念されている、いわゆる2025年問題が目前に迫っています。こうした問題が懸念される一方、医療の現場は課題が山積みです。ICUの現場は専門医が足りないばかりか、担当医の下には休日、夜間の別なく電話が鳴り続けて、医師、看護師の使命感によってなんとか支えられえているのが現状です。2025年問題を目の前にする中、ICUのこうした現状をなんとかしなくてはなりません。そこで私たち遠隔ICU委員会はネットワークを通じてICUの情報を共有する遠隔ICUの実現に取り組みます。本委員会は以下の3項目の達成を目標に遠隔ICUの可能性を模索していきます。
- 標準化による医療の質の向上と患者や医療従事者間のコミュニケーションの向上
- 労務効率改善による働き方改革
- 医療ビッグデータ法(次世代医療基盤法)に基づく医療ビッグデータの活用
遠隔ICUで大事なことは、本当に向き合うべき患者と、向き合うべき時間を適切に確保することです。現状のICUでは難しくなることが見えている中、IoTやAIなど急速に発展するテクノロジーの力を借りつつ、官民一体(産学官連携)となって、医療の質の向上と労務効率の改善を図っていきます。また本事業を通じて、医療データを共通化することができれば、機械学習(AI)を取り入れることで、医療従事者でも気付きにくい変化を可視化することも可能になっていきます。すべての医療従事者と患者のために。本委員会メンバー一丸となって事例研究に取り組みます。
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