集中治療室に入室する患者さんは、重症であり、また合併症も多く、さらに血液浄化法などのようにいろいろな医療機器が使用されることから薬剤の使用が複雑になります。多くの薬が使用されると薬物治療も複雑になり、薬の効果、副作用、相互作用などを適切に評価していくことが必要となります。現在、集中治療室におきましても、できるだけ薬剤師が専従するようになってきています。集中治療室に専従する薬剤師は、「ICU医療チーム」の一員として、患者さんの病状と薬物治療を総合的に評価します。そして、薬の専門家として、医療スタッフ、患者さん、患者さんご家族に対して十分に薬剤情報を提供し、治療に対しても具体的な提案を行います。医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士などとの多職種連携として、チームの一員として患者さんの治療に全力を尽くします。

集中治療は、日本集中治療医学会を中心として、近年日本でも急速に学術化してきています。その中で、多くの薬剤が安全かつ適切に使用できるように、これまでの薬理学的知識の応用や臨床研究が必要とされています。薬剤師は、これらの研究が正しく実行され、その有効性と安全性が正しく評価されるように尽力しています。

1. ICU医療チームの一員として、患者さんの状況を把握し、薬の適切な使用に努めます。
2. 患者さんの過去の服薬や副作用、アレルギー歴を確認し、薬の安全な使用に努めます。
3. 患者さんの病状の変化や治療に応じて、薬の効果、投与量、投与方法を評価し、適切な処方を提案します。
4. 薬の副作用が疑われる場合は、医師とともにその因果関係を調査します。
5. 血液中の薬の濃度を評価して、効果的に薬を使用するための投与計画を立案します。
6. 薬に関する最新の資料を提供します。
7. 患者さん、そしてご家族が納得して薬物治療を受けることができるように、医師と協働して投与されている薬について十分に説明します。
8. 集中治療における臨床研究に、多職種連携として尽力し、集中治療の発展に貢献します。

※集中治療室における薬剤師の活動指針（日集中医誌 2020;27:244-7）を御覧ください。