PICS 集中治療後症候群
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身体機能障害
PICSの身体機能障害として、肺機能障害、神経筋障害、全般的身体機能障害などがあります。肺機能障害の指標として、閉塞性障害、拘束性障害、肺容量の低下、拡散能の低下などが挙げられます。例えば、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome; ARDS)発症後、5年経過しても6分間歩行距離は予測値の76%にとどまったとする報告があります。
神経筋障害として、重症疾患の罹患後に左右対称性の四肢のびまん性の筋力低下を呈する症候群をICU-AWと呼び、PICSの身体機能障害のなかで最も重要なカテゴリーとして注目されており、次項にて詳しく解説します。
全般的身体機能障害として、包括的な健康関連quality of life(QOL)を評価する尺度であるSF-36(MOS Short-Form 36-Item Health Survey)の身体的側面のQOLサマリーで評価されることが多いです。多くの研究でICU退室から1年後までに、身体機能が緩やかに入院前のベースラインに向かって回復していることが報告されています。
ICU-AW
診断基準 |
疫学・病態生理
危険因子
予防・治療手段
文献
2. Stevens RD, Dowdy DW, Michaels RK, et al. Neuromuscular dysfunction acquired in critical illness: a systematic review. Intensive Care Med. 2007;33(11):1876-1891.