2025年 新年のご挨拶
2025 New Year Massage from JSICM President新年あけましておめでとうございます
昨年は医師の働き方改革の新制度が施行されました。 また診療報酬改定においては特定集中治療室管理料、救命救急入院料などの要件が変更されました。 そして病院経営が危機状態であることが改めて認識された年でもありました。 本会としては日本救急医学会と共同で、働き方改革を進めつつ質の高い急性期医療システムを維持するために、 救急科専門医/集中治療科専門医が増えるような施策(インセンティブ等)の実施、 および交替制勤務が前提である特定集中治療室管理料、救命救急入院料、小児特定集中治療室管理料の増額を要望しています。 そして、学会としてあるべき姿は交替制勤務ですので、理想とする夜勤体制確立のために人員確保に尽力する声明を出しました。 その意味で機構認定集中治療科専門医の基本領域が救急科、麻酔科、内科、小児科、外科、脳神経外科と広がったことは大きいと思います。 さらに医師の働き方改革に関連して、遠隔集中治療に関するガイドラインの整備も進めていきます。
私は「若いチームで世界に羽ばたく学会に」を方針としています。 今年、準機関誌を創刊しますが、これは「集中治療の現場に寄り添う」かたちで若手・中堅の編集委員で進めてもらいます。 また世界集中治療医学会(World Federation of Intensive and Critical Care:WFICC)、 米国、欧州(EURO-JAPAN)、豪州、韓国、台湾、タイ、シンガポール(Asia Pacific Intensive Care Symposium: APICS)、 などの集中治療医学会との国際交流活動を重視しています。今年3月の福岡の学術集会にはWFICCのコアメンバーを招聘しました。 WFICCに対してはJSICMから理事を送り出すとともに、今後WFICC学術集会を日本に誘致したいと考えています。 JSICMの若い会員に世界をより身近に感じて欲しいと思います。
研究面(神経集中治療)では、ECPRを施行した内因性院外心停止患者に対する低体温療法(33℃-34℃)と平温療法(36℃) を比較するクラスターランダム化クロスオーバー比較試験(SAVE J-NEUROTHERM Trial)が本年1月6日から症例登録を開始しました。 また令和6年度厚生労働科学研究費補助金(移植医療基盤整備研究事業)による 法的脳死判定マニュアルおよび臓器提供を見据えた患者管理マニュアルの改訂を進めており、本年上梓します。
日本集中治療医学会は多職種(医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士、薬剤師、栄養士など)で構成され、 専門医および各職種の認定制度をもつことが特徴であり強みでもあります。本会は、会員の皆様、国民の皆様のために、 集中治療および集中治療医学の向上に全力を尽くしていきます。 2025年が皆様にとりまして素晴らしい年になりますことを心より祈念申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。