ICU等の病床に関する国際比較についての見解


日本集中治療医学会では、重症患者への医療提供体制の現状の例として、「人口10万人あたりのICUのベッド数」について、人工呼吸器やECMO等、重症患者治療においては、およそ2対1看護師配置以上の人員が必要との考えのもと、特定集中治療室管理料ならびに救命救急入院料2・4を算定する病床数を基に「5床程度」と述べてきたところです。
令和2年5月6日の、厚生労働省による「ICUの病床に関する国際比較について」の中では、「人口10万人当たりICU病床数」が、「13.5床」であると示されています。諸外国の病床数データは、ICUにIntermediate care bedsを含めて計算が行われております。当該病床は「ICUでの治療後に一般病床に至るまでの間に行われる治療を行うための病床」を指すものであり、日本ではハイケアユニット(HCU)に相当すると考えられます。したがって、諸外国の病床数との比較においては、日本のICUベッド数にこれを加えて計算を行う、という厚生労働省の考え方や算出方法は、本会としても妥当であると考えております。本会としても「各都道府県別 ICUならびにハイケアユニット等のベッド数について」を、4月30日に公表しています。

https://www.jsicm.org/news/upload/icu_hcu_beds.pdf

他方で、本会として主張し、また、厚生労働省も言及しているように、重症患者へ十分な医療を提供するためには「マンパワーのリソースが大きな問題」であることは間違いありません。本会としては、引き続き、厚生労働省と協力してこの点について対応を行ってまいります。

2020年5月10日
一般社団法人日本集中治療医学会
理事長 西田 修