ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-866-FP-361 搬送途上のECMO導入に備えるため、航空機動衛生隊に搬送を依頼した重症呼吸不全患児の搬送経験1)札幌医科大学 医学部 集中治療医学、2)札幌医科大学 医学部 小児科学講座、3)札幌医科大学附属病院 臨床工学部、4)札幌医科大学 医学部 麻酔科学講座、5)防衛省航空自衛隊 航空医学実験隊片山 洋一1)、巽 博臣1)、堀 司2)、菅原 康介3)、島田 朋和3)、数馬 聡1)、吉田 真一郎1)、升田 好樹1)、山蔭 道明4)、山口 大介5)【症例】10歳女児、幼児期に神経芽腫と診断されていた。5歳時に姉から骨髄移植を受け、その6ヶ月後に慢性GVHDによる閉塞性細気管支炎を発症しステロイドと免疫抑制剤にてコントロールをしながら入退院を繰り返していた。在宅酸素療法を行い普段から、動脈血液ガス分析でPaCO2 70-90程度であった。呼吸と意識状態の悪化のため、当院小児科を受診し、ネーザルハイフロー施行してもpH7.108、PaCO2 188、PaO2 105であり、同日にICU入室となる。当初、NPPV施行したが、呼吸状態の改善なくPaCO2は208となり、気管挿管施行し人工呼吸管理した。肺移植の適応と判断し京都への搬送を行うこととした。搬送途上の呼吸状態増悪に備えて、搬送中にECMO を実施できる環境が必要であったため、航空自衛隊に災害派遣要請し、C-130H 輸送機内で医療を実施できる機動衛生ユニットを有する航空機動衛生隊による搬送を依頼した。搬送当日、当院ヘリポートより防災ヘリで患者を航空自衛隊千歳基地へ搬送し、患者をC-130H 輸送機に載せ替えて大阪伊丹空港へ搬送した後、患者を地元消防機関の救急車に載せ替えて京都まで搬送した。搬送途上に患者の状態が悪化することなく経過し、当院を出発し約5時間後に到着した。【考察】医療環境が整っていない固定翼機で搬送した場合、侵襲的な医療処置の実施は困難であり、ECMO の導入の実現可能性は極めて低いと考えられる。機動衛生ユニット内であれば、航空搬送特有の医療機器による電磁干渉、騒音や処置スペースの問題がある程度解決され、医療者と医療資機材の確保もでき、より安全な患者搬送が可能と考えられた。【結論】搬送途上にも継続的な高度医療監視と応急処置などの機上医療を実施する必要がある重症患者を長距離搬送する際に災害派遣要請に基づく航空機動衛生隊への搬送依頼は考慮すべき選択肢の一つである。FP-362 帝王切開術後に肺動脈塞栓症により心肺停止となるも救命しえた症例1)大垣市民病院 麻酔科、2)名古屋大学医学部附属病院 麻酔科加藤 規子1)、横山 達郎1)、伊東 遼平1)、菅原 昭憲2)、高須 昭彦1)妊娠中は深部静脈血栓症を発症しやすく、肺血栓塞栓症の発症率も非妊婦と比べて高率である。今回我々は妊娠後期に深部静脈血栓症を発症し、帝王切開術後に肺血栓塞栓症で心肺停止となるも救命しえた症例を経験した。症例は38歳女性、身長160cm、体重65kg。既往帝切後妊娠のためかかりつけの産婦人科で帝王切開が予定されていた。妊娠37週1日に呼吸苦出現し症状の続くため、37週3日に緊急帝王切開となった。術後も頻脈や血圧低下が続き、呼吸困難訴えていた。翌日循環動態悪化し当院へ搬送となった。救急外来で心肺停止となり蘇生開始。経皮的心肺補助装置導入された。造影CT で両側肺門部に血栓像認めこれによる循環動態破端と考えられた。ICUへ入室し血栓溶解療法施行したが改善なく、肺動脈血栓像不変のため肺動脈血栓除去手術を施行した。手術時、血栓除去後ニトログリセリン、ミルリノン、ドブタミンで人工心肺を離脱することが出来た。術後も肺動脈高血圧症のため深鎮静で管理、また無尿より持続的血液濾過装置導入された。6POD に鎮静中止後も意識状態改善せず脳波からも低酸素脳症指摘されたが、11PODより反応出現しゆっくりと回復していった。64PODにICU 退室。79POD に呼吸器離脱。90POD透析離脱。113POD に杖歩行で退院となった。現在発症より1 年2ヶ月経過したが慢性腎臓病(G4A3)を認めるが、下腿のしびれを認める以外神経学的異常無く回復している。FP-363 双胎妊娠に対する帝王切開術後大量出血、あるいは羊水塞栓によるDICが疑われた1 例1)滋賀医科大学 医師臨床教育センター、2)滋賀医科大学 産科学婦人科学講座、3)滋賀医科大学附属病院 救急・集中治療部、4)滋賀医科大学 麻酔科学講座、5)滋賀医科大学 救急・集中治療医学講座池川 貴子1)、中川 哲也2)、清水 淳次3)、今宿 康彦4)、山根 哲信3)、辻田 靖之3)、高橋 完3)、喜多 伸幸2)、村上 節2)、江口 豊5)【はじめに】昨年、日本血栓止血学会から新しいDIC診断基準が報告された。しかしながら、産科DICはこの診断基準ではなく従来の臨床所見を重視した産科DICスコアを用いることとされている。今回、DICの原因が大量出血によるものかあるいは羊水塞栓による産科DIC かの判断に苦慮した症例を経験したので報告する。【症例・現病歴】症例は36歳2経妊0経産の女性。2015年3 月○日に2絨毛膜2羊膜双胎に対する予定帝王切開術を施行された。術直後、腟からの大量出血を認め、止血困難のため子宮全摘術を施行された。術中羊水込みで約11497ml 出血し、赤血球濃厚液16 単位、新鮮凍結血漿16単位、濃厚血小板10 単位輸血を行い、術後集中治療室に入室となった。【臨床経過】人工呼吸管理の上、抗生剤開始した。ICU入室時Hb 7.6g/dl、plts 62000/μl、FDP6.3μg/ml、PT-INR 1.17であり産科DICスコア17点(検査項目2点)、日本血栓止血学会DICスコア3点であった。凝固薬としてナファモスタット0.1mg/min/kg 投与を開始し、入室後、さらに赤血球濃厚液20 単位、新鮮凍結血漿16 単位、濃厚血小板10 単位輸血を行った。ドレーンからの出血は減少していき、同日21:00 の血液検査ではplts 35000/ μ l、PT-INR 1.15 であり、産科DIC スコア16 点(検査項目2 点)、日本血栓止血学会DIC スコア5 点であった。翌日の血液検査では、plts 72000/ μ l、FDP 3.8 μ g/ml、PT-INR 1.04であり、産科DICスコア14 点(検査項目1点)、日本血栓止血学会DICスコア4点であった。いずれも産科的DICのみ基準を満たしていた。初期にはFDP の上昇は認められなかった。入室3 日目、血小板は増加し、呼吸循環動態も安定したため、抜管し、ICU を退室、一般病棟管理となった。【まとめ】大量出血は羊水塞栓によるDICと考えられる。しかしながら、FDP が上昇していないことから、大量出血の消費性による凝固異常もおきていたと推定される。