ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-863-FP-352 ICU 看護師のリフレクションによる倫理的感受性の変化とその過程徳島赤十字病院井内 真奈美、蕨野 有希、萬徳 香織、平岡 智美、藤田 昌子【はじめに】患者の立場に立った看護を提供するために、何が倫理問題なのかに気付く能力(以下、倫理的感受性)が看護ケアに与える影響は大きいが、A病院ICUではそれを高めるための機会は少ない。先行研究では事例検討会等により倫理的感受性が高まると報告されているが、リフレクションを重ねることによる変化については明らかにされていない。【目的】人工呼吸器装着患者の看護についてリフレクションを重ね、ICU看護師の倫理的感受性の変化とその過程を明らかにしたいと考えた。【方法】平成26年10~12 月にA 病院ICU 看護師14 名を対象とし、リフレクションの会を6 回開催した。逐語録を作成し、日本看護協会の「看護者の倫理綱領」(以下、倫理綱領)に基づき質的記述的に分析した。【結果・考察】第1~3回は、倫理綱領の患者の人権に関する内容についての発言が多く聞かれた。自分の判断に自信が持てない事例もあったが、語り合う中で、患者の安全を確保し、生命・人権を尊重し、看護ケアをしていたことを自覚できるようになった。第4~5回は、専門職としての規範に関することが多く語られ、看護観や死生観を表現する場となった。第6回は、チーム医療の重要性について語られた。より質の高い看護および医療を提供したいとの思いから、自己研鑽、さらに他職種との協働の必要性について認識できたのではないかと考える。自らの体験を振り返り、考えや思いを共有することで、倫理について意識するようになり、話し合いの内容が発展したと言える。【まとめ】リフレクションを重ねることにより、倫理的視点が患者・家族に関することから、自己研鑽、さらに協働の必要性へと変化し、倫理的感受性が高まった。FP-353 A 病院ICU・CCUにおける家族参加型看護計画導入後の評価旭川赤十字病院高橋 真理、宮島 須美江、岡 みゆれ、大川 つづみ、陶山 恵、鈴木 智子【はじめに】A病院ICU・CCUでは、持続鎮静・意識障害などの理由で患者から情報や要望を得る事が難しい。そのため、家族から情報や要望を得て看護に活かす必要がある。そこで、平成26 年4 月から個別性ある看護の提供と質の向上を目的に家族参加型看護計画を導入し、評価と今後の課題を検討した。【研究方法】期間 平成26 年4月~平成27 年3 月 対象 1.ICU・CCUで家族参加型看護計画の対象となる44 症例 2.師長を除くICU・CCU 看護師26 名 方法 1. 家族参加型看護計画の実施率、家族参加型看護計画を実施した26 症例の記録記載率・家族の要望について看護記録から調査した。 2.独自に作成したアンケートを用いて家族参加型看護計画に関する看護師の意識調査を行った。【結果】1. 家族参加型看護計画の実施率:59.1% 2. 家族参加型看護計画の記録記載率: 日勤100% 準夜77.0% 深夜63.9% 3. 家族の要望についての記録記載率: 日勤59.7% 準夜66.7% 深夜57.5% 4.家族の要望:CD・TV・ラジオ等の視聴33.9% IC・面会に関する事17.8% 写真・お守り等14.3% 患者ケアに関する事14.3% 家族のケア参加希望12.5% 嗜好に関する事3.6% その他3.6% 5.看護師の意識調査 1)個別性のある看護に役立つか:役立つ76.9% どちらでもない19.2% 役立たない3.9% 2)対象であることを意識しているか: 意識している73.1% どちらでもない15.4% 意識していない11.5% 3)家族の要望を意識しているか:意識している92.3%どちらでもない7.7% 意識していない0%【考察】家族の要望や看護師の意識調査から、家族参加型看護計画は個別性のある看護に重要であると考える。しかし、家族参加型看護計画の実施率は6割と低く定着を図る必要がある。また、家族の要望についての看護記録の記載率は低く、家族看護や家族の反応について詳細が書かれていない事が多かった。今後は行った看護が見える記録の充実と家族から評価を得る必要がある。FP-354 ICU の面会時間における統一した家族対応への取り組み株式会社 日立製作所 日立総合病院猪又 里奈、寺田 直子、村田 瞳集中治療室(以下ICUとする)では患者の在室日数が短く、交替勤務をする看護師が患者を継続的に受け持つことは難しい。2013年から家族の情報を共有するため家族ケア用紙を導入したが使用方法が統一されておらず、有効に活用されていない状況にあった。そこで、家族ケア用紙を改善し、家族の情報を把握、共有しやすくし、家族に統一した関わりを持つことができることが大切だと考えた。また面会時間を変更して看護師が家族と関わりやすくなることや勉強会を実施し、不安を軽減することでより充実した面会時間の提供をめざしたいと考えこの研究に取り組んだ。結果、看護師へのアンケートで、面会時間と看護師が少ない時間が重なっていることなどから看護師が家族に十分に関われていないと感じている声や家族ケア用紙の記載方法が明確でないため十分な情報が得られず、家族対応時に不安を感じているとの声が聞かれた。また重症患者の家族対応に不安を感じているとの声も聞かれた。そこで、家族ケア用紙に記載項目を設け、記載内容を明確にし、統一したこと、一覧表にして毎日記載したことが情報共有につながり、「情報を把握できている」と答えた看護師が増加する結果が得られた。家族ケア用紙の改善が情報共有の改善と家族への統一した看護に繋がったと考える。また、家族のニードに応えるとともに担当看護師が面会対応できるように面会時間を変更した。それにより担当看護師が家族に接する機会が増え、正確な情報やケアを提供でき、多数の看護師が「家族対応しやすくなった」と回答した。家族からは看護師の関わりや説明について「充実している」との声が聞かれた。重症患者の家族対応についての勉強会後は、「ICUでの家族ケアの重要性を理解できた」「不安を軽減できた」と答える看護師が多く、知識の向上、不安の軽減に繋がった。今回の取り組みにより家族対応への意識向上、統一した看護の一助になった。