ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
864/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている864ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-862-FP-349 呼吸筋麻痺を呈し、挿管管理を要した重度低カリウム血症の1 例公立陶生病院小野寺 良太、横山 俊樹、早川 浩史、稲葉 慎一郎、倉田 圭、中島 義仁、市原 利彦、川瀬 正樹呼吸筋麻痺を呈し、挿管管理を要した重度低カリウム血症の1例公立陶生病院 救急部集中治療室小野寺良太、横山俊樹、早川浩史、稲葉慎一郎、倉田圭、中島義仁 市原利彦 川瀬正樹【症例】50歳. 男性 【主訴】脱力 【現病歴】インスタント食品を中心とする食事を続けていた。20XX 年5月27日より上肢の脱力を認め、6 月1日には下肢の脱力を認めた。症状改善することなく6月3日には全身の脱力を主訴に当院救急外来に搬送された。来院時、経鼻酸素2L投与下でSpO2が90%、血液検査にてK 1.8mEq/Lを認め、低カリウムによる全身脱力と呼吸筋麻痺の診断で入院となった。動脈血ガス分析にてpH 7.595、PaCO2 50.7Torr、 PaO253.1Torr、HCO3- 49.5mmol/L(酸素カヌラ2L 投与下)と代謝性アルカローシスおよび2型呼吸不全を認めた。呼吸筋麻痺による急性呼吸不全に考え、集中治療室入室のうえ、NPPV を導入したが、6 月4 日には酸素化悪化し、pH 7.520、PaCO2 56.6Torr、PaO2 67.2Torr(NPPV、ST モード12/4、FIO2 70%)と呼吸不全の悪化をきたし、挿管管理となった。また肺炎も合併し、敗血症性ショックを呈し、血圧低下が認められたため、ABPC/SBTを投与、大量補液のうえでカテコラミンを開始した。その後補正による各電解質の改善を認め、6月6 日にはK 3.3mEq/Lと改善が得られ、 酸素化改善も認めたため抜管となった6 月14 日に集中治療室を退室となり経過良好にて6月26日に独歩退院となった。【考察】本症例ではKの摂取不足にともなう重度の低K血症を認め、呼吸筋麻痺により挿管管理となった症例である.大量のカリウム投与を行い、補正をした結果、K 値の安定が得られ、救命に至った。考察を交えて報告する.FP-350 鑑別に苦慮した鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム血症の1 症例国立病院機構災害医療センタ-救命救急センタ-金村 剛宗、加藤 宏、小原 佐依子、湯川 友貴、金子 真由子、井上 和茂、岡田 一郎、霧生 信明、長谷川 栄寿、小井土 雄一【はじめに】低ナトリウム血症はよく遭遇する電解質異常であるが、適切な診断・治療がなされないと病態を悪化させる危険性もある.今回、低ナトリウム血症の鑑別に苦慮した鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム血症(以下MRHE)の1症例を経験したので報告する.【症例】72 歳男性.1 か月前より徐々に歩行困難と、認知機能低下が見られ、悪心・嘔吐も認めるようになり当院救急搬送となった.受診時、呼吸・循環動態は安定していたが、意識障害(E3V4M5)を呈していた.血液検査にてNa107mEq/L、血漿浸透圧235mOsm/l、尿中Na73mEq/Lと低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム高値を認めた.脱水所見はなく、SIADH と診断し、水制限を行うも低ナトリウム血症は遷延した.頭部MRIでは下垂体病変は認めなかった.CTでは左副腎腺腫を認めるも、各種ホルモン値は正常であった.MRHEを疑い、塩分補充、鉱質コルチコイド補充を行ったところ、低ナトリウム血症は改善し、症状の改善も認めた.【考察】MRHEはSIADHと区別すべき病態の一つとして提唱されている疾患概念であり、高齢者に多く、軽度の脱水を伴うとされる.MRHE はSIADHの診断基準と合致するため、脱水所見を見逃すとSIADH と診断し、水制限により悪化する危険性がある.一方、MRHEでは数%の循環血漿量の減少にとどまるとされ、脱水所見が分かりにくい高齢者では、その診断には苦慮する.本症例でも脱水所見がはっきりせず、水制限にても反応に乏しかったため本疾患を疑った.SIADHの診断基準を満たしながらも水制限で改善されない場合は本症の存在を念頭に置く必要がある.【結語】今後、高齢化が進む中、MRHEが増加することも予想され、低ナトリウム血症の鑑別に常に念頭に置く必要がある.FP-351 開心術後終末期医療に苦慮した一例1)久留米大学病院 集中治療部、2)久留米大学病院 外科有永 康一1)、高木 数実2)、新山 修平1)、佐藤 晃1)、坂本 照夫1)、田中 啓之2)【はじめに】終末期医療の方針は様々な難しさを抱えている。今回の症例はACS による心肺停止後心肺蘇生を行いPCPS 及びIABPサポート下で緊急冠動脈バイパス術を施行した。術後心機能の改善はなく術後10日目に意識清明となったが、PCPSおよびIABPの離脱は困難で、植え込み型及び体外式人工心臓の適応なく家族に説明し緩和チーム介入の上終末期医療を行う方針とし、術後33日目に他界された。今回終末期医療を行うに至った経過などを考察した。【症例】63才男性。合併疾患で未治療のDM(HbA1c11.9%)を有する。【現病歴】今年7 月胸痛認め意識消失し救急搬送された。搬入時PEAの状態で心肺蘇生しPCPS及びIABP サポート行い冠動脈造影を行った。冠動脈造影上LMT + 3 枝病変を認めた。LVEF10% で術前のmaxCK/MB は12992/1121であった。GSCが3 から5Tに改善したため緊急手術の適応と判断し同日緊急手術(CABG3 枝)施行した。術後はPCPS サポートと大量のカテコラミンを使用し、AKI に対してCHDFを施行した。術後心機能の改善を期待して、術後7日目にPCPS の回路交換を施行した。心機能の改善無いものの意識は清明となり腎機能も改善した。ハートチームで経過中に複数回、心臓移植・補助人工心臓の適応を検討したがType1 DM, 低右心機能でありその適応はないものと判断し、緩和チーム介入の上終末期医療を行う方針とした。PCPSは回路交換後3週間維持できたが徐々に貧血が進行して術後33日目に他界された。【考察】今回意識のあるAMI,CABG 後PCPS 離脱不能症例を経験した。ハートチームで人工心臓の適応を検討した結果家族の同意を得てモルヒネ使用下に終末期医療(カテコラミン、PCPS、高カロリー輸液は現状維持)に治療方針を変更した。終末期は家族が付き添い感謝されたが終末期医療の難しさを実感した一例であった。