ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-858-FP-337 演題取り下げFP-338 多面的アプローチにより過活動型せん妄が改善した重症心不全患者の1 例 ~ 患者の気掛かりに着目した介入~自警会 東京警察病院狩野 純子、金井 尚之、中岡 香織【諸言】過活動型せん妄に対して早期離床に向けた援助を試みたが、せん妄コントロールに難渋し、家族関係の調整を実施したことでせん妄は次第に改善したので報告する。【症例】60歳代、男性、心筋梗塞により重症心不全となり、人工呼吸器・大動脈バルーンパンピング・補助人工心肺装置管理となった。【経過】ICU入室6 日目、補助人工心肺装置離脱後よりせん妄症状を呈した。そのため、多職種で協議した上で低心機能患者の個別のリハビリテーションプログラムを構築し離床を目指した。併せて環境調整など多面的アプローチによりせん妄コントロールに努めた。しかし、せん妄スコアは悪化し、患者は看護師を長女と誤認して不穏になるなどの兆候が見られた。そこで、せん妄の原因について従事者間で話し合いを重ね、入院前の生活に於ける家族関係の縺れが影響していると考えられため家族間の調整を実施したところ、せん妄は次第に改善した。【考察】せん妄の原因は多因性であり断定はできないとされるが、今回、主に患者の「気掛かり」に着目した。せん妄管理において、山内1)は「患者の体験を想像し過去を含めた気掛かりを知って満たす」などの支持的介入が重要であると述べている。すべてのスタッフ記録から支持的介入に関連した内容を抽出したところ、せん妄症状を呈していても常に患者が納得するまで傾聴する姿勢が多くみられた。そこで得られた情報から患者の根底にある「気掛かり」を想像することに繋がった。せん妄管理に難渋しながらも、患者理解を深めようとした支持的介入が、患者の気掛かりを満たすことと家族関係の再構築に繋がり、せん妄改善に大きく寄与したものと考えられる。【倫理的配慮】本研究は当院倫理委員会の承認を得ており、また患者のプライバシーを保護するとともに、患者の安全確認を優先し患者にとって不利益が生じないよう最大限に配慮することを御本人と家族に説明し同意を得ている。FP-339 ICU でのせん妄の実態~CAM- ICU を用いて~公益財団法人 長野市保健医療公社 長野市民病院 ICU山崎 さゆり、清水 祐【目的】せん妄評価ツールCAM-ICU を用いて、当院ICU におけるせん妄の発症率や分類の比率、せん妄患者にみられる特徴を明らかにし、評価方法の統一を図り、早期からのせん妄の看護介入を援助する。【方法】1、期間は2014 年11月7 日~12 月19 日、対象はICU入室全患者で、小児や意思疎通が図れない患者は除外とした。2、データの収集方法1)CAM-ICUとせん妄についてICU全看護師に勉強会を開催した。2)勉強会開催後、対象患者にCAM-ICUを8 時間毎に評価し、RASSに変化があった場合に追加評価を行った。3)せん妄の発症に関連があると考えられる3 因子に分類した調査用紙を作成した。3、データ分析方法1)CAM-ICU評価結果をもとにせん妄陽性患者を選別し、せん妄の分類を行った。2)CAM-ICU評価対象となった患者の入室中の状態をせん妄発症因子ごとに分析を行った。【結果】入室患者は63名中、CAM-ICU評価対象者は47名で男性35名、女性12名であった。循環器内科、神経内科などの内科系疾患患者は9 名、消化器外科、脳神経外科、口腔外科などの外科系疾患患者は33 名、救急科5 名であった。せん妄の発症状況は、陽性患者4 名の内、低活動型せん妄3名、過活動型せん妄0 名、混合型せん妄1名であった。 4名中3 名が入室2 日目からせん妄を発症していた。【結論】1、CAM-ICU 評価で陽性と判断されたせん妄のうち低活動型せん妄が多かった。2、せん妄陽性患者はチューブ類または点滴カテーテル類が長期間留置されていた。3、人工呼吸器装着中であっても昼間に鎮静剤の減量、中断を検討し、概日リズムを整える必要がある。