ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-857-FP-334 外科術後患者の睡眠管理におけるデクスメデトミジン(DEX)の有用性の検討潤和会記念病院 看護部池田 めぐみ、川野 マキ先行研究でで,外科腹部手術後患者の睡眠管理は,Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS):-2~-3 で管理すると主観的に良好な睡眠が得られることを報告した.本研究では睡眠管理におけるデクスメデトミジン(DEX)の使用の有用性を調べた.【対象】外科腹部手術後患者62 人.【方法】不眠を訴えDEX を投与したDEX 群と,不眠は訴えたがDEX を投与しなかったnon-DEX 群に分けた.両群でRASSを用い,DEX群は投与開始2時間後,non-DEX群は午前2時で評価した.両群のRASS:-2に到達した群,しなかった群の全体比,男女比,年齢,手術時間,手術部位,睡眠導入剤の内服でt 検定を用い統計学的処理を行った.【結果】全例に術後鎮痛で持続硬膜外麻酔(2%ロピバカイン:90ml+フェンタニル:10ml,2~5ml/hr)を用いた.術式はDEX群で腹腔鏡下手術は29 人で,non-DEX 群は28 人だった. DEX 群(男:15 人,女:15 人)とnon-DEX 群(男:18 人,女:14 人)だった.DEX 群の中で,14 人はRASS:-2 に到達し,16 人はRASS:-1 であった.non-DEX 群の中で,8 人はRASS:-2 に到達し,24 人はRASS:0~-1 であった.DEX群の投与量は,70%が0.4 μ g/kg/hr で投与開始していた. DEX群の中では全ての項目で有意差は認めなかった.non-DEX群では,性別と年齢別,手術部位別で有意差を認めた.【考察】外科腹部手術後患者でRASS:-2となった症例数は,DEX 群とnon-DEX 群で有意差は認められなかった.しかし,DEX 群でRASS-2 に到達している症例は30 人中14 人で半数を超えている.一方,non-DEX群は32人中8人だった.またnon-DEX群では,性別,年齢,部位別で有意差を認めた.DEX群は投与開始2 時間後のみでRASSを計測しており不十分な場合が多かったと考えた.DEXを投与量を調整する事で,RASS:-2 に到達していく症例は増加すると考える.【結果】持続硬膜外麻酔で鎮痛中の外科腹部手術後患者の睡眠管理は,DEX でRASS:-2 を目標とした鎮静管理するのが好ましいと考える.FP-335 せん妄対応アルゴリズム作成・導入によるICUでのせん妄予防、早期発見、早期対応の標準化に向けた取り組み慶應義塾大学病院高橋 知彦、田山 聡子、岡本 陽子近年、集中治療領域でのせん妄発症が予後悪化や認知機能低下に関連していることが示唆され、早期にせん妄対策を開始する重要性が認知された。当院集中治療室(以下GICU)では、高齢患者や認知症、脳梗塞の既往、アルコール多飲歴の患者など、せん妄を起こしやすい素因を多く抱えた患者の緊急・予定入室が増加傾向で、入室24時間以内にせん妄を発症するか、入室時から既にせん妄状態の患者も多い。これまでのGICU におけるせん妄ケアの現状として、せん妄の基礎知識、発症予測に必要な危険因子のアセスメントや具体的ケア内容に関しては看護師個々の経験や判断に委ねられており、看護師もケアに難渋していた。そこで今回は、全ての看護師がせん妄ケアを系統立てて患者に提供できるよう、せん妄の危険因子を早期にスクリーニングし、ハイリスク患者に対して予防的介入に迅速に繋げること、また発症を早期発見すること、発症した場合には原因の同定と除去・緩和を適切に行って早期離脱に向けた対策を講じるまでの一連のプロセスにおいて、J-PADガイドラインやDELTAプログラム、NICEガイドラインの内容を盛り込んだ「せん妄対応アルゴリズム」を作成し、日常の看護業務に組み込むことで体系的な仕組みを構築した。その結果、入室時から素因に関する情報をキャッチできるようになり、せん妄に対する患者の脆弱性を早期にアセスメント可能となった。それにより個別性のある予防的介入の計画立案、実践の充実や、発症予防とせん妄持続期間の短縮を意図して早期リハビリテーションが開始されるなど、具体的な対策へと素早く繋げられるようになった。また発症が疑わしい場合には精神科へ早期にコンサルテーションする件数も増加した。発症予防に重点を置く看護師の意識の向上と知識も補充されたことで、せん妄のリスクアセスメントから具体的ケアに至るプロセスにおいて、看護師が自信と根拠を持って系統的に提供できるようになった。FP-336 A 病院特定集中治療室看護師に対するPADガイドラインにおけるリフレクション1)石川県立中央病院 看護部 特定集中治療室、2)石川県立中央病院 麻酔科沖野 優子1)、高橋 麗子2)、太田 淳子1)【目的】A病院特定集中治療室(以下、ICUとする)では、2014年からPADガイドライン(以下、PADとする)ワーキンググループを結成した。今回、PADにおけるリフレクションを行い、看護師がPADの事例からの気づきや意味づけが明らかとなったので報告する。【研究方法】1.質的記述的デザイン、2.研究協力者:A病院ICUの教育担当看護師6名、3.データ収集期間:2015年6~8月、4.研究方法:PADにおける事例検討を実施後、看護師に半構成的インタビューを行った、5.倫理的配慮:A病院看護研究倫理委員会の承認を得た後、本研究の目的、データの取り扱い、匿名性などを研究協力者に説明後、本研究を開始した。【結果】事例検討を実施し、看護師は3症例を振り返った。その結果、事例を基に検討することで、看護師はPAD の知識向上や次の実践に活かせると述べていた。また。事例検討には多職種の参加もあり、看護師は【多職種カンファレンスの開催の必要性】を感じていた。以上を行うことで【質の高い看護実践の構築】につながると考えていた。特に看護師はせん妄患者の発症因子を学習することで【せん妄患者に関する根拠ある介入・評価】【せん妄スクリーニングの必要性】を再認識していた。また効果的な薬剤の選択に困難を感じることがあり、今回のリフレクションは【多職種で疼痛とその薬剤の共通理解】【適切な薬剤の使用方法の習得】【せん妄患者の多職種との協働】の必要性を見出していた。【考察】PAD に関する事例検討を行いリフレクションすることで、看護師はこれまでの看護実践の意味づけを行っていた。そこから看護師はこれまでの思考や行為の修正を考えられることが可能となった。しかし3症例のリフレクションのみ行っており、今後もこのようなリフレクションを継続することで質の高い看護実践、さらには患者の安楽につながると考えられる。