ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-849-FP-310 遅発性の意識消失を来したアモキサピン中毒の1 例兵庫県立尼崎総合医療センター 救急集中治療科野田 健仁、恒光 健史、橋本 由貴、堀田 幸造、生田 武蔵、豊田 将平、四宮 真利子、松本 優、鈴木 崇生、佐藤 愼一(症例)全般性不安障害で近医精神科通院中、過去に薬物大量内服で入院歴のある19歳女性。カミソリで手首を切りつけ、意識を失って倒れているところを発見され救急要請。ゴミ箱から多量の内服薬が発見された。アモキサピン44 錠(推定490-1120mg)をはじめ三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、抗不安薬を認めた。来院時JCS300、HR120/min BP100/58mmHg SpO2 99%(室内気)BT36.4度。右手首、頚部に切創を認めた。血液検査で明らかな異常なし。心電図でQT延長(QTc0.465秒)を認めた。胃管より活性炭投与し、緊急入院となった。入院翌日より覚醒あり、精神科医師の診察で明確な希死念慮なく、歩行可能となれば、自宅退院の予定となっていた。第3病日に突然の意識消失から呼吸状態の悪化あり、気管挿管し、人工呼吸器管理となった。神経学的診察上では明らかな左右差なく、頭部単純CT検査で異常なし、心電図では心室期外収縮の散発を認め、QT延長(QTc0.47秒)あり、血液検査では異常なし。第5 病日までプロポフォール投与下で鎮静管理を行った。第6病日に抜管となった。脳波検査するもてんかん波は認めなかった。第7 病日に退院となった。(考察)本例のようにアモキサピンに代表される三環系抗うつ薬の大量服薬では致死的不整脈、痙攣や低血圧などで致死的になる可能性があり、内服から5 日間はモニタリングが必要との報告もある。本症例と関連する複数の文献を交えて報告する。FP-311 除草剤服用による致死的高カリウム血症を救命できた一症例1)公立丹南病院 麻酔科、2)公立丹南病院 救急総合診療科三田 建一郎1)、岡田 亮太2)、瀧波 慶和1)【症例】72 歳女性【既往歴】うつ病【現病歴】自殺企図で除草剤(ラウンドアップマックスロードR)をコップで約20 mL 服用し、その後気分不快を訴え当院救急室を徒歩で受診した。意識清明で指示に従えたがふらつきあり、脈拍40 / 分、血圧54/23 mmHg、全身より著明な発汗があった。十二誘導心電図でP波なく、テント状T 波があり、採血ではK >10 mEq/L と著明な高カリウム血症を認めた。除草剤内服に伴う高カリウム血症と診断し、救急室にて各種薬物治療を開始し、集中治療室(ICU)入室後は持続血液濾過透析療法(CHDF)を開始した。呼吸に関しては酸素マスクで対応できたが、不安定な循環動態に対してはドパミンの持続投与と一時的な経皮的ペースメーカーが必要だった。CHDFは、開始後4時間ほどで閉塞してしまったが、利尿が得られていたこと、K 4.60 mEq/Lと低下していたことから一時中断した。ICU入室2日目、K 9.11 mEq/Lと再上昇し乏尿~無尿となったため、CHDFを再開した。3 日目はバイタルが安定していたため、血液透析(HD)に変更した。4日目、自尿が出始め、朝と夕の採血でK 値が4 mEq/L台であることを確認し、除草剤による高カリウム血症は改善したと判断しHD を中止した。その後、徐々に全身状態は改善し、8 日目にICU 退室した。【考察】ラウンドアップマックスロードR はグリコサートカリウム塩を有効成分とする除草剤である。大量のカリウムを含んでいるため、服用した場合は腸管から吸収され高カリウム血症を生じる。本症例は、来院時10mEq/L以上の致死的高カリウム血症だったが、救急室と集中治療室が緊密に連携し、迅速に治療を開始することができた。もともと腎機能障害があったこと、服用量が曖昧であったこと、腸管からのカリウムの吸収速度が不明であったため、CHDFの終了時期を決定するのが困難だった。【結語】除草剤服用による致死的高カリウム血症を迅速で適切な治療により救命することができた。FP-312 2014年名古屋大学医学部附属病院救急・内科系集中治療室へ入室した急性薬物中毒症例に関する考察名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野吉田 拓也、塩屋 悠斗、海野 仁、山本 尚範、東 倫子、田村 有人、江嶋 正志、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】2014年当科が集中治療室で管理した急性薬物中毒患者は39例であった。これらの解析より,当院における急性薬物中毒症例の管理を統合評価する。【方法と結果】2014年1 月から12月までの1年間で救急・集中治療部で管理した症例は, 39例でありは,男性9 名,女性30 名,男性の年齢は平均45.3歳(24~73 歳)であり,女性の年齢は平均32.2 歳(17~54)だった。ICU 滞在平均日数は2.7±0.3日であり,呼吸管理と利尿管理が中心的な管理事項だった。服用薬物は,ベンゾジアゼピン系と向精神薬が最多であり,その他として,リチウム,次亜塩素酸,トルエン,抗コリン薬,アセトアミノフェン,ロキソプロフェンナトリウム,フロセミドなどの急性薬物中毒と急性一酸化炭素を認めた。背景疾患としては,精神疾患が多く,多量服薬した動機では自殺企図や衝動性による場合が多かった。主症状は,JCS300 レベルの意識障害が最多だった。すべてが,院内死亡することなく,集中治療管理できていた。【結語】名古屋大学医学部附属病院は,救急科の設立により2014年より急性薬物中毒の初期診療を適正化できた。この診療過程において,消防などの病院前救護体制と搬送記録,さらに薬手帳管理などの適正化を含めて,院内薬剤師とともに連動を高めている。