ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-841-FP-286 脾臓低形成に発症した劇症型肺炎球菌感染症によるWaterhouse-Friderichsen症候群の1 例神戸徳州会病院 心臓血管外科江森 一雅、竹内 庸浩、曽根田 純一【症例】50 歳男性【主訴】下痢・嘔吐、四肢のしびれ【既往歴】特記事項なし。2 か月前にう歯治療を受けた。【現病歴】前日より下肢疼痛・発熱が出現し、引き続き下痢・嘔吐を認めた。手足のしびれ・両下肢の無感覚により5月初旬救急搬送となる。来院時、意識清明、BP 85/64mmHg、HR 113/分、呼吸回数 30回/分、SpO2 測定不能。搬送時には全身チアノーゼ著明で、頚部から上の顔面全体がうっ血して紫色であった。【検査】血液ガスで代謝性アシドーシスの所見を認め、WBC 3300/ μl と低下していた。CRP 14.18mg/dl、PCT 100ng/ml以上と高値。肝腎機能障害にPlt 4.3万/l、PT 26%、Fib 37mg/dl、FDP 86 μ g/mlとATIII 57%とDICの診断基準を満たしていた。造影CTで脾臓は低形成のほか感染のフォーカスは明らかではなかった。救急来院時にすでに敗血症からDICおよび多臓器不全へと進行していると考えられた。【経過】集中治療室入室後に、直ちに気管内挿管、ブラッドアクセスを留置しCHDF+PMX を開始した。抗菌剤はIPM/CS+CLDM+PIPC で開始し、輸血RBC+FFP 同時に投与開始した。Methylprednisolone 1000mg も投与した。しかし、体幹部・頚部顔面の網状紅斑は拡大し、血圧低下から心停止となった。一旦蘇生するも、高カリウム血症とアシドーシスが進行し搬送より6時間の経過で死亡した。翌日の検査結果で、血液塗抹検鏡で莢膜が確認され、尿中肺炎球菌莢膜抗原が陽性と判明した。剖検で、脾臓は20g と低形成で、両側の副腎に広範囲な出血を認めた。血液培養の結果と、解剖所見により、本症例は劇症型肺炎球菌感染症により急性副腎機能不全を生じたWaterhouse-Friderichsen 症候群と考えられた。FP-287 中毒性表皮壊死症の一例中京病院 皮膚科田中 義人、鶴見 由季、稲坂 優、伊藤 有美、小寺 雅也77 歳男性。他院入院中に全身に皮疹が出現し、4 日後に重症薬疹が疑われて当院を紹介受診。来院時、粘膜疹は認めなかったが、躯幹・四肢に水疱を伴う紅斑とびらん(約6%)を認めた。中毒性表皮壊死症(TEN)への移行を懸念して被疑薬の中止とステロイドパルス療法を入院初日から実施したが,その後急激にびらんが全身に拡大した(最終的な表皮剥離面積は約90%)。第4病日には口唇と陰部にも粘膜疹が出現し、皮疹の改善が認められなかったため血漿交換療法と免疫グロブリン大量静注療法を併用した。その後上皮化を得たが、第21 病日に多臓器不全のため死亡した。スティーブンスジョンソン症候群(SJS)/TENの治療指針2009(厚生労働科学研究斑)では、SJS/TENに対して現時点では確立された薬物療法はないとした上で、現時点ではステロイド治療を第一選択とし、ステロイド治療抵抗例に対して血漿交換療法や免疫グロブリン大量静注療法を考慮するとされている。しかし血漿交換療法は発症早期(特に診断から3日以内)に実施した方が死亡率がより低下したとの他の報告も存在する。SJS/TENに対する治療方針について若干の文献的考察を交えて報告する。FP-288 敗血症性ショックを伴った水疱性類天疱瘡の3 例順天堂大学医学部附属浦安病院 救急診療科村田 健介、井上 貴昭、大野 孝則、末吉 孝一郎、角 由佳、松田 繁、岡本 健、田中 裕【背景】水疱性類天疱瘡(Bullous pemphigoid:BP)は、元来予後良好の皮膚疾患であるが、時に悪性腫瘍を合併し、また特に高齢者では、全身状態に影響を及ぼす致死的状態をきたすことがある。今回我々はBP を基礎疾患にもつ患者が敗血症を合併して致死的経過をたどった症例3例を経験したため、報告する。【症例1】84歳男性、市中病院皮膚科にてBPおよび院内肺炎のため入院加療中であった。経過中に腎機能の悪化、凝固障害及び全身状態悪化をきたしたため、当院に転院となった。肺炎による敗血症性ショック、DIC、急性腎障害を認め、人工呼吸管理及び血液浄化など各種集中治療を実施した。入院経過中に深在性真菌症を合併し、転院後23日目に多臓器不全(MOF)にて死亡した。【症例2】67 歳女性、当院皮膚科にてBPのために入院経過中、発熱、意識障害及び下血きたし、院内肺炎・敗血症性ショック・DIC を認めたため、当科転科となった。人工呼吸管理・血液浄化など各種集中治療を実施した。入院経過中にサイトメガロウイルス感染症を合併し、第14 病日MOF にて死亡した。【症例3】76 歳女性、当院にて4年前からBPおよび慢性腎不全のため外来followされていたが、食欲低下及びふらつきを主訴に救急搬送された。肺炎による敗血症と診断し、即日緊急入院となった。人工呼吸管理・血液浄化など各種集中治療を実施したが、経過中にニューモシスチス肺炎を合併した。各種治療に奏功せず、第25病日MOF にて死亡した。【考察】BPの患者は、ステロイド治療を要することが多く、易感染性宿主であることに加え、悪性疾患の合併で予備力に乏しいことがある。加えて活動性皮膚病変の存在は、混合感染のリスクも高く、BP患者の敗血症は、重症化して、本症3 例のように致命的経過を辿る可能性があり、注意が必要である。