ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
- ページ
- 839/910
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている839ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている839ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-837-FP-274 早期離床における慣例の影響~理学療法士の早期離床について~大阪労災病院 中央リハビリテーション部岡本 健佑、西村 真人、根来 政徳臨床現場において、循環や呼吸など全身状態の要因だけでなく、従来行われてきた慣例による問題で離床に遅れが生じることがある。当院では、2013年8月から早期離床を目的とした心臓外科術後リハのクリニカルパスが導入され、多職種で共通した離床基準や中止基準を定めた。現場で働く職種間やスタッフの経験や慣例による離床遅延があり、カンファレンスや病棟回診を毎週行い、離床に関する勉強会を開催し、病棟専属の理学療法士を配属した。当院の心臓外科術後の歩行開始までの平均日数は、2013年8月~12月では3.8±1.4 日で、2015年4 月~8 月では2.8±0.8 日となり、パス導入直後よりも離床が早期化している傾向がみられ、慣例が変化してきていることが窺える。理学療法士の業務内容改善を目的に、当院の看護師に対して離床に関するアンケート調査を実施した。職種間のコミュニケーションが不足しており、離床に対する共通認識が不十分であるといった課題が浮き彫りとなった。これらの結果を踏まえ、理学療法士の早期離床における現状の課題と今後の対応について述べる。FP-275 補助人工心臓装着術後に重度の骨格筋萎縮を呈して理学療法に難渋した劇症型心筋炎の1 例1)長崎大学病院 リハビリテーション部、2)長崎大学病院 ME機器センター、3)長崎大学病院 集中治療部、4)長崎大学大学院 内部障害リハビリテーション学分野森本 陽介1)、小柳 亮2)、関野 元裕3)、神津 玲4) 症例は39 歳の女性で劇症型心筋炎にて体外設置型LVAD 装着術施行.術後は循環不全にて鎮静下に人工呼吸管理が長期化し,術後2ヶ月でICUを退室された時点で重度の骨格筋萎縮と筋力低下をきたしていた.その後は精神的不安定のために離床困難となり,術後4ヶ月で歩行練習開始,7ヶ月で最大歩行距離は歩行器にて70m であった.その後,心臓カテーテル検査後に血腫による右大腿神経麻痺を呈し離床が困難となり,重度の骨格筋萎縮状態ではあるが歩行器歩行が10m 可能な身体機能まで回復した.術後9ヶ月に植込型LVAD装着術施行.右心系の補助も必要となりBiVAD装着でICU入室.術前から術後理学療法の難渋が予想されていたため,ベルト電極式骨格筋電気刺激法(Belt electrode Skeletal muscle Electrical Stimulation; B-SES)の適用を術前に決定し,術後早期から多職種で安全性を確認しながらB-SES を実施した.しかしながら,浮腫などの影響でその効果は乏しく,筋エコー図所見による大腿直筋筋厚は術後1ヶ月で術前値の約60%の減少を認めた.最終的には腸管壊死を契機とした多臓器不全が原因となり,術後1ヶ月半で死亡退院となった. 本症例に対する理学療法の最終目標は,植込型LVAD 装着後に母親として家庭復帰可能な身体機能の獲得であり,骨格筋萎縮の改善は必須であった.しかしBiVAD術前の身体機能向上に難渋し,術後理学療法を施行するも,骨格筋への介入は困難であった.最近,ICU在室中の重症例に対して早期理学療法を実施する機会が増加し,理学療法技術の発展も求められている.特に,身体機能を向上させる上で重要となる骨格筋量や筋力の維持は,鎮静期間中に昨今の理学療法手段を駆使しても困難な場合が多く,今回のような重症例にも効果が得られるような新たな理学療法手段の開発が望まれる.FP-276 フォンタン型手術後患者におけるICU-AWの発症状況とその特徴について1)群馬県立小児医療センター リハビリテーション課、2)群馬県立小児医療センター 循環器科、3)群馬県立小児医療センター 心臓血管外科熊丸 めぐみ1)、下山 伸哉2)、宮本 隆司3)、小林 富男2)【背景】筋力低下を主体とした機能障害であるICU-AW(Intensive Care Unit Acquired Weakness)は、先天性心疾患手術後にも多くの患者で発症している可能性が高いことが指摘されているが詳細は不明である。【目的】フォンタン型手術後患者のICU-AWの発症状況とその特徴について調査すること。【対象と方法】2012年4月から2015年4月までにフォンタン型手術を受けた21例(平均年齢2歳4ヵ月、男児11例、女児10例)。診療録より、患者基本情報、手術状況、手術後経過、リハ開始時MRCスコア、リハ経過、血液生化学検査値などを後方視的に調査し、診断基準に従ってICU-AW を判定するとともに、ICU-AW 群と非ICU-AW 群の2群に分けて比較検討した。【結果】ICU-AWと判定できたのは21 例のうち10 例(47.6%)、リハ開始時の平均MRC スコアは、ICUAW群31.5 ± 11.0、非ICU-AW 群51.6 ± 2.7 であった。手術時間(447.8 ± 61.5 分 vs. 344.5 ± 46.5 分)、体外循環時間(219.3 ± 61.0分 vs. 161.8± 32.4分)、挿管時間(11383.0± 7907.1 分 vs. 875.7± 900.9分)、PICU 滞在日数(14.1± 5.7 日 vs. 7.1± 3.7日)、リハ開始までの日数(8.1 ± 4.7 日 vs. 1.8 ± 1.3 日)、座位再獲得までの日数(24.1 ± 18.3 日 vs. 5.0 ± 2.0 日)、歩行再獲得までの日数(57.6± 37.1 日 vs. 20.5 ± 7.9 日)はICU-AW 群で有意に長かった(p < 0.05)。また、ICU-AW 群で手術後の肝機能障害、腎機能障害を合併する割合が高く、CHDFを使用した症例(6 例 vs. 0 例)が有意に多かった(p <0.05)。【まとめ】フォンタン型手術後患者の約半数にICU-AW が認められた。リハ開始時にMRC スコアが低い症例に対しては、集約的なリハビリテーションが必要であると考えられた。また、手術侵襲度が強く、手術後腎機能障害および肝機能障害を呈する症例に対しては、挿管中からの積極的なリハビリテーション介入が必要となる可能性が示唆された。