ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-836-FP-271 救急ICUに入院した高齢患者の年代別リハビリテーションの進行状況1)倉敷中央病院 リハビリテーション部、2)倉敷中央病院 総合診療科・救命救急センター沖 圭祐1)、川田 稔1)、下雅意 崇亨1)、福岡 敏雄2)【目的】EICUに入院し、リハを施行した高齢患者を前期高齢者(65-74歳)、後期高齢者(75-84歳)、超高齢者(85歳以上)に分け、年代別のリハ進行状況と退院時のADLを明らかにすることを目的とした。【対象】EICUに入院しリハを施行した65 歳以上の患者231例を対象とした。前期高齢者106例、後期高齢者81例、超高齢者44例である。【方法】前期高齢者、後期高齢者、超高齢者の3 群間に分けて検討した。背景因子は、入院前ADL、BMI、APACHE2 score、強心薬使用率、PT 開始時のMV 装着率、入院・退院時Alb 値、maxCRP 値、maxWBC 値、リハ開始・退院時MRCS、退院時膝伸展最大筋力値を調査した。リハ進行状況は、入院からPT開始日数、入院から端座位・立位・歩行までの開始日数と開始率、初回端坐位保持率、入院から歩行自立までの日数と自立率、入院からEICU 退室日数、在院日数、開始・退院時FIM(運動)、(認知)を検討した。【成績】退院時Alb、退院時膝関節伸展最大筋力値、入院前ADL、APACHE2 score、初回端座位保持率、開始時FIM(運動)、開始時FIM(認知)、終了時FIM(運動)、終了時FIM(認知)に有意差を認めた。年代に関わらず端座位開始から歩行開始までのリハ進行状況に有意差を認めなかったが、退院時のFIMに有意差を認めた。この理由として、1. 加齢、2.入院前ADL、3.疾患の重症度、が影響したと考えた。【結論】年代別に関わらずリハ進行状況に影響はなかった。しかし、加齢に加え入院前ADL低下を認める患者では、退院時のADLの低下を認めた。今後は入院前ADLの低下した患者に対しては早期離床だけでなく、EMS、ベッド上でのサイクルエルゴメーター等を使用した治療法の検討も必要である。FP-272 重症破傷風に対して急性期理学療法を実施した1 症例1)高知赤十字病院 リハビリテーション科、2)高知赤十字病院 糖尿病腎臓内科、3)高知赤十字病院 救命救急センター・救急部遠山 真吾1)、武田 陽平1)、戸梶 慎也1)、山崎 優1)、松村 雅史1)、辻 和也2)、西山 謹吾3)はじめに破傷風は重篤な中毒性感染症で,主症状は全身横紋筋の持続緊張・強直性痙攣などである.理学療法の介入時期は第3~4期と報告により様々である.今回重症破傷風に対して,多職種との情報交換の中で介入時期を検討し,第3 期より理学療法を開始した症例を経験した.症例提示性別:男性 年齢:59 歳 疾患名:破傷風,糖尿病 BMI:33.2kg/m2現病歴:右下腿部にボルトが刺さり,2 週間後に喉の痛み出現.翌日後弓反張出現し当院へ救急搬送.onset timeは約17時間であった.経過3病日喉頭痙攣を来たし緊急気管切開術施行,人工呼吸器管理となった.マグネゾール開始も吸引操作で筋緊張亢進を認めていた.7病日無気肺発症.13病日理学療法開始,四肢の可動域制限,筋緊張亢進は認めず,可動域の維持と肺合併症悪化回避目的に受動座位,体位ドレナージを導入.17病日人工呼吸器関連肺炎発症.21病日体位変換後に発汗,血圧上昇出現.37病日第4期へ移行し,端座位開始.54病日右大腿神経麻痺発症.68病日人工呼吸器離脱.86 病日両腓骨神経麻痺発症.98 病日筋力低下,可動域制限残存,Barthel Index30点にてリハビリ目的に転院となった.考察破傷風第3期では,筋緊張亢進や自律神経障害により介入に難渋した報告が多い.本症例ではICU専従理学療法士のメリットを生かし,毎日実施するカンファレンスで情報交換を行い筋緊張亢進の有無などを基準に介入時期を検討した.介入により後弓反張をはじめとした重篤な有害事象は認めなかった.重症例では筋緊張コントロールを目的に筋弛緩薬を使用することが多く,筋力低下が問題となる.本症例においても筋弛緩薬の長期使用による筋力低下が著明で人工呼吸器の離脱,筋力の改善には時間を要した.本症例より,第3期ではリスク管理下での肺合併症改善に対する呼吸理学療法,拘縮予防が主軸であり,第4期では残存する機能障害に対する積極的な運動療法が重要であると考えられた.FP-273 気管内挿管中に端坐位練習が可能であった5 例からみた当院における早期リハビリテーション取組みへの課題1)加古川東市民病院リハビリテーション室、2)加古川西市民病院救急科、3)加古川東市民病院看護部大西 伸悟1)、切田 学2)、木下 直彦3)【はじめに】近年、集中治療における早期リハビリテーションが重要とされる一方で、離床中止基準等の安全性に関する報告も散見される。今回、当院での気管内挿管中の端坐位練習実施例におけるリハビリテーション施行状況、端坐位練習時状況から早期リハビリテーション、早期離床における当院の課題を検証した。【方法】2014年4月から2015 年3月の1年間に気管内挿管下人工呼吸管理中に端坐位練習が実施された73歳食道癌術後誤嚥性肺炎、65歳急性喉頭蓋炎と心房細動、73歳慢性心不全急性増悪(CS1,BNP302pg/ml)、83歳術後胸部大動脈瘤、74歳CABG術後不安定狭心症の5例を対象とし、気管内挿管から理学療法開始までと端坐位開始までの日数、端坐位練習時のカテコラミン投与の有無とRASS、人工呼吸器設定(換気モード、PEEP、FiO2)、P/F比、FSS-ICU、端坐位練習による有害事象、ICU滞在日数を検討した。【結果】気管内挿管から理学療法開始までの日数は5±5日(1から13日)、気管内挿管から端坐位開始までの日数は13.0±17.0日(1から42日)であった。端坐位練習時のカテコラミン使用は術後胸部大動脈瘤例のみで、RASSは0.8±0.8、人工呼吸器の設定はCPAP2例、BIPAP2例、SIMV1例、PEEP6.4±1.5cmH2O、FiO20.4±0.1であった。P/F比306±82.6、FSS-ICU8.6±3.9点であった。5例全例とも端坐位練習による有害事象は認めなかった。【考察】当院では、比較的安定した状態で端坐位練習が開始されていたため、端坐位練習による有害事象は認めなかった。しかし、気管内挿管から理学療法開始や端坐位練習開始までに日数を要しており、早期リハビリテーションとは言えない状況で、ICU滞在日数も長かった。担当医師のリハビリテーションオーダーの発行の遅れが問題と思われた。今後、先行研究を参考とした勉強会をとおして理学療法士、担当医師、看護師への早期リハビリテーション取組みへの意識改革が重要と思われた。