ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-832-FP-259 重症敗血症患者におけるSepXiris(AN69ST)とヘモフィールCH1.8W(PMMA)の臨床使用経験とライフタイムの比較1)藤田保健衛生大学 医学部 麻酔・侵襲制御医学講座、2)公立西知多総合病院 集中治療部・麻酔科原 嘉孝1)、早川 聖子1)、新美 太祐2)、若子 尚子1)、竹田 彩香1)、川治 崇泰1)、高木 沙央里1)、柳 明男1)、山下 千鶴1)、西田 修1)我々は重症病態に対しPMMA膜を用いた間欠的高効率血液浄化(SHEDD-fA)やCHF を積極的に行ってきた。我々は大膜面積PMMA膜であるCH1.8Wのライフタイムについて報告した。今回、メディエータ吸着能の高い新規ヘモフィルターであるAN69ST とCH1.8Wのライフタイムについて比較検討したので報告する。【方法】2013 年7月から2015 年5 月までのCH1.8W(C 群)とAN69ST(A 群)を用いた血液浄化療法を施行した重症敗血症・敗血症性ショック症例を抽出し後ろ向き検討を行った。24時間の施行を企図して行った施行を検討対象とした。1本のフィルターで22時間以上CHF を行えた場合を目標達成とした。検定は、Student t-test、カイ二乗検定で行った。【結果】(meanで記載)A 群22 例、C 群27 例、のべ施行本数はA 群で183 本、C 群で249 本であった。年齢( 歳)(A 群:C 群、71.7:66.6、p=0.14)、APACHEII スコア( 点)(A 群:C 群、27.5:24.7、p=0.23)、Max SOFA スコア( 点)(A 群:C 群、13.9:14.4、p=0.68)、MaxDICスコア(点)(A群:C群、5.7:6.3、p=0.26)、28日生存率(%)(A群:C群、95.4:74.1、p=0.04)であった。目標達成率(%)は(A 群:C群、90.4、90.0、p=0.84)であった。抗凝固療法については、両群ともメシル酸ナファモスタット(MN)を基本としていた。A群では、V-V ECMO施行のためヘパリンのみの使用が2例、未分画ヘパリン(UH)併用が2例であった。一方C群では、V-V ECMO施行のためヘパリンのみの使用が3 例、UH 併用が8 例、ダナパロイドナトリウム併用が1 例であった。【まとめ】APACHEIIスコアがA群で高い傾向であったにも関わらず、28日生存率はA群で高かった。メディエータ吸着能についての検討をしていないこと、膜素材がA群とC 群で異なること、膜面積がA 群で1.5m2、C 群で1.8m2であることから、単純な比較はできない。しかしながら、ライフタイムの比較において、少なくともAN69STはCH1.8Wと同等であると考えられる。FP-260 AN69ST膜使用により敗血症性ショックからの早期離脱に成功した症例がん研有明病院宮崎 恵美子、七松 恭子、山本 豊、横田 美幸敗血症や敗血症性ショックに起因する多臓器不全は極めて予後不良であり、不幸な転機をたどることが多い。昨年10 月に販売されたAN69ST 膜(商品名;セプザイリス)を使用して、この病態から早期に離脱することができた症例を経験したので報告する。症例;67 才 男性  体下部から前庭部小彎にかけての進行胃癌(T4N2M0 Stage3b)に対して幽門側胃切除術を施行。術後11日目に末梢血管閉塞に伴う腸管虚血から上行結腸壊死をきたし、結腸右半切除、回腸人工肛門・空腸瘻造設。その9 日後にEnterobactor aerugenesによる敗血症性ショックとなり、ICU入室。呼吸不全・腎不全の状態となり、一時気管内挿管による呼吸管理、CHDFが必要となる。このときに抗生剤の投与、全身状態を維持するための治療に加え、サイトカイン吸着能を有するAN69ST 膜を使用し、ICU入室より9 日後に一般病棟への転棟するまでに回復した。FP-261 非カフ型バスキュラーアクセスカテーテルにおける脱血不良に関する検討大阪警察病院 医療技術部 臨床工学科椋本 匡俊、根岸 美和、橘 慎也、濱津 宏太、濱田 直弥、加藤 大三、大畑 雄咲、高橋 俊樹【はじめに】急性血液浄化療法を行う上で非カフ型バスキュラーアクセスカテーテル(以下NCVA)は不可欠であるが、脱血不良によりカテーテル交換を要する事が少なくない. 今回、当院で汎用している2種類のカテーテルにおける脱血不良について検討し、その原因や対策について考察した.【対象と方法】本年7~8月に挿入されたNCVA23 本を対象とし、脱血不良の発生について後ろ向きに診療情報より検討した.内訳は「ブラッドアクセスUKカテーテルキット(NIPRO社製)」(以下UK)10本と「Power Trialysis(MEDICON 社製)」(以下PT)13 本であった. 脱血不良とは治療継続が困難となり抜去に至った物と定義した. 年齢は31-84歳(平均66歳)、全例腎不全に陥り、主たる疾患は敗血症11例、心疾患5例、肺炎2例、慢性腎不全2例、熱中症1例、肝不全1 例、尿路閉塞1 例であった. カテーテルの挿入血管は大腿静脈17 本(UK8、PT9)、内頸静脈6 本(UK2、PT4)で、挿入部位や患者背景に差はなかった.【結果】脱血不良は7 例(30.4%)で発生し、全て大腿静脈挿入症例で内頸静脈症例に閉塞例はなかった(41% vs. 0%、p=0.169).カテーテル別の脱血不良発生はUKで6例、PTで1例と有意にUKで発生率が高かった(60% vs. 7.7%、p=0.019).【考察】脱血不良の原因は、静脈壁のカテーテル脱血孔への吸着閉塞やカテーテルの屈曲、内腔の血栓閉塞等が考えられる.脱血不良がなかった内頸静脈は、全て右側挿入の為に脱血孔が大口径の上大静脈に留置される事となり血管壁への吸着が少なかったと考えられる. 逆に大腿静脈では体位によってカテーテルの脱血孔吸着閉塞や屈曲が起こり易く脱血不良発生に繋がりやすく又、PT は先端の形状や屈曲に対する強度から脱血不良を生じにくい物と考えられる.【まとめ】脱血不良を予防する為には右内頸静脈からのNCVA挿入が第一選択と考えられ又、大腿静脈からの挿入の場合、UK に比しPT でより脱血不良を回避できる可能性があると考えられた.