ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-830-FP-253 敗血症性ショックに対するPMX-DHPの開始時期の検討1)滋賀医科大学 救急・集中治療部、2)滋賀医科大学 麻酔科、3)滋賀医科大学 救急・集中治療学講座田中 智基1)、宮武 秀光1)、水野 隆芳2)、今宿 康彦2)、山根 哲信1)、藤野 和典3)、辻田 靖之1)、田畑 貴久3)、高橋 完1)、江口 豊3)【背景】敗血症性ショックに対するPMX-DHP は国内外においてその有効性を示唆されているが、継続時間、開始時期等に関する知見はまだ十分には得られていない。今回我々はPMX-DHP の開始時期に注目し、当院で経験した症例を元に、開始時期による死亡率の違いがあるかどうかにつき検討を行った。【方法】2010年5月から2015年3月までに滋賀医科大学附属病院集中治療室において、敗血症性ショックに対してPMX-DHP(継続時間24 時間目標)を施行した48 例を対象とし、心肺停止蘇生後症例を除外した43 例を後ろ向きに調査した。集中治療室入室からPMX-DHP開始までの時間において、中央値の7時間以内に開始したEarly 群(25例)と、7時間より後に開始したLate群(18例)に群わけし、両群の患者背景、入室時APACHEIIscore、28日死亡率につき検討を行った。【結果】入室時のAPACHEII スコアはEarly 群においては24.12 ± 9.46、Late 群においては26.28 ± 9.21 であり、重症度において2群間に統計学的有意差を認めなかった。また性別、体重においても同様に両群間に差を認めなかった。しかし、28日死亡率においては、Early 群にて有意に低く(Early群20%、Late群61.1%; p=0.006)、入室時APACHEIIscore、年齢、性別、体重にて調整したロジスティック回帰分析においても、28 日死亡率はEarly 群にて有意に低下した(odds ratio: 0.170, 95%CI:0.030-0.946,p=0.043)。また、腹腔内疾患症例(27例)においても同様の検討を行ったが、28日死亡率はEarly群が有意に低いが(Early群6.2%:16 例、Late 群45.4%:11 例; p=0.016)、同様のロジスティック回帰分析においては有意差は認めなかった(odds ratio:0.088,95%CI:0.05-1.545, p=0.096)。【考察】本検討において早期PMX-DHP は、敗血症ショック症例に対する28日死亡率を有意に低下させた。後ろ向きの検討ではあるが、敗血症性ショック症例に対して、7 時間以内の可及的早期のPMX-DHP は有用である可能性が示唆された。FP-254 敗血症性急性腎障害患者における持続的血液濾過透析の血液浄化量と予後の検討1)東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科、2)東京大学医学部付属病院集中治療部、3)東京大学医学部附属病院血液浄化療法部眞弓 健吾1)、土井 研人2)、山下 徹志1)、野入 英世3)、南学 正臣1)、矢作 直樹2)【目的】急性腎障害患者の持続的血液濾過透析の血液浄化量と予後の関係について検討する.【方法】当院集中治療部で2011年6月~2014年4 月に急性腎障害に対して持続的血液濾過透析を施行した症例(維持透析, 小児例を除く)125例と, そのうち敗血症性急性腎障害と考えられた56例について, それぞれ血液浄化量と60日死亡率の関連を検証した. 【結果】急性腎障害患者125例に60日死亡に対しCox 単変量回帰分析を行ったところ血液浄化量は有意な予後予測因子とならなかった. 次に敗血症急性腎障害患者56 例に60日死亡に対しCox 単・多変量回帰分析を施行したところ, SOFA スコア(ハザード比: 1.270 , p=0.002), 血液浄化量(ハザード比1.029 , p=0.009)が有意な予後予測因子となった.【 結語・考察】敗血症性急性腎障害症例において高血液浄化量が予後悪化と有意に関連する結果となった. 敗血症という病態に注目し, 文献的考察を加えて報告する.FP-255 敗血症ショックに対してPMX-HP に直列回路で繋いだCRRT 膜の検討(~AN69ST膜とPMMA膜~)飯塚病院 集中治療部安達 普至、鶴 昌太、生塩 典敬、太田黒 崇伸、竪 良太、臼元 典子、鮎川 勝彦【背景】腹腔内感染症からの敗血症性ショックに対するPMX-HP(PMX)の有効性を否定したABDOMIX試験の結果が報告されたが、本邦では敗血症性ショックに対して長時間PMX やCRRT との併用など各施設で様々な工夫がなされPMXの有効性が報告されている。当ICUでも重症の敗血症性ショックに対して、長時間PMXとCRRTを直列回路で繋いだ血液浄化療法(PMX+CRRT)を行っている。2014年にサイトカイン吸着能を有するCRRT 膜であるAN69ST 膜が発売されその効果が期待されているが、同様にサイトカイン吸着除去能をもつPMMA膜と比較検討した報告はない。【目的】重症の敗血症性ショックに対してPMX+CRRTを施行する際のCRRT膜において、AN69ST膜がPMMA膜より有効であるか検討すること。【方法】対象は2014年5月から2015年6月に当ICUに入室し、PMX+CRRTを施行した重症の敗血症性ショック患者24名。CRRTをAN69ST膜で施行した12名(A群)とPMMA膜で施行した12名(P群)の2群に分け、遡及的に比較検討した。主要評価項目は院内死亡率で、副次評価項目はICU内死亡率およびICU在室日数とした。【結果】重症度は、APACHE 2(中央値)A群30.5:P 群29.5、SAPS 2(中央値)A群79.5:P群69で2群とも非常に高く、2群間に差はなかった。主要評価項目の院内死亡率は両群とも50%で差はなかった(p = 1.000)。副次評価項目のICU 内死亡率はA 群33.3%:P 群41.7% と差はなく(p = 0.766)、ICU 在室日数はA 群11 日:P 群10 日と差はなかった(p = 0.844)。【結論】重症度が非常に高い敗血症性ショックに対してPMX+CRRT を施行する際のCRRT膜は、AN69ST膜とPMMA膜では予後に差がなかった。今後、症例数を増やしたさらなる研究が必要である。