ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-819-FP-220 心筋保護液ミオテクターR の有用性(院内調剤St.Thomas第2 液との比較検討)1)岡村記念病院ME 科、2)岡村記念病院麻酔科、3)岡村記念病院心臓血管外科吉沢 崇1)、竹内 均1)、小林 涼1)、高橋 美帆1)、山口 智也1)、芳賀 拓1)、飯塚 宏1)、水口 紀隆1)、大竹 一信2)、榎本 栄3)【はじめに】当院では、開心術の心筋保護液としてSt.Thomas第2液をベースとした薬品点数6点の院内調剤薬(ST)を使用していた。業務の簡素化や安全性の向上を目的に市販のをミオテクターR をベースとした薬品点数2 点でカリウム濃度をST 同等にした調剤薬(M)へ変更した。今回、M液に変更後の安全性、心筋保護効果、手術成果について後向きに比較検討した。【対象及び方法】2012年8月~2014年7月に行われた予定大動脈弁置換術(AVR)連続58症例を対象とした(2013年7月31日にM液に変更)。変更前27症例(ST 群)と変更後31 症例(M群)を比較検討した。ST 液の組成は5%糖液、マンニットールS、マグネゾール、メイロン8.4%KCL、リドカインであり、注入回数により組成を変更した。M 液では注入回数によりKCl の濃度を変更した。患者背景、術中因子、血液生化学検査(CK、CK-MB、LDH)、術中の使用薬剤(ノルアドレナリン、ドパミン、ドブタミン、ニトログリセリン、ニカルジピン)の術中投与量・投与時間、インシデント数について比較検討した。【結果】年齢(平均±標準偏差、ST群vsM 群)75 ± 9vs73 ± 11 歳p = 0.63、LVEF58 ± 10vs56 ± 12%、p = 0.53 人工心肺時間96 ± 12vs100 ± 18 時間、p = 0.35、術後CK-MB 418 ± 147vs430 ± 131IU/L、p = 0.75 術中使用薬剤、インシデント数に差はなかった。心筋保護液量1930 ± 231vs2365 ±606mL、p=0.0008と心筋保護注入回数3.3±0.4vs4.2±1.0回、p=0.0004はM群が有意に多かった。【まとめ】M群で心筋保護液量、心筋保護注入回数が増加したのは、M液に変更後、術者が交代した影響と考えられる。M液に変更することによって薬品点数を減らして業務を簡略化した。心筋保護効果、手術成果に影響なく、安全に変更できたと考えられた。FP-221 IVR-CT導入によるE-CPR 施行への影響1)大阪府立急性期・総合医療センター 臨床工学室、2)大阪府立急性期・総合医療センター 高度救命救急センター砂原 翔吾1)、森本 良平1)、佐藤 伸宏1)、菊池 佳峰1)、上野山 充1)、木田 博太1)、木口 雄之2)、藤見 聡2)【はじめに】2011年8月より高度救命救急センター内の初療室にCTとAngio装置を備えたIVR-CTを設置し、全ての救急患者の初期診療をそこで行っている。設置する以前は、来院時心肺停止患者における侵襲的心肺脳蘇生法(以下 E-CPR)のための送脱血管挿入はブラインド下で行ってきた。【目的】IVR-CT導入前後で、E-CPRにおける送脱血管挿入の安全性やPCPS導入までの時間などがどのように変化したかを明らかにする。【方法】2009 年2 月から2015 年3 月までに当院に搬送された来院時心肺停止患者のうち、E-CPR にて心肺蘇生を行った28 例を対象に、病院到着からPCPS導入までの時間、1ヶ月後の生存率、生存退院率、PCPS導入に伴う合併症の有無について後ろ向きに分析した。従来の初療室で行われた11 例(従来群)とIVR-CT導入後の17 例(IVR-CT群)に分けて比較検討を行った。【結果】患者背景では年齢・男女比・心原性疾患における2 群間の有意差を認めなかった。病院到着からPCPS 導入までの平均時間は従来群vs IVR-CT 群にて35.6 ± 11.2 分vs25.9 ± 7.3 分(p < 0.05)であり有意差を認めた。1ヶ月後の生存率は63.6%vs52.9%(p=0.70)、生存退院率は54.5%vs52.9%(p=1)であり、生存退院患者のうち神経学的予後良好率(CPC:1-2)は50.0%vs66.7%(p=0.62)で有意差を認めなかった。PCPS導入に伴う合併症では、送脱血管の誤挿入が従来群で2例あったが、IVR-CT群では大きな合併症は認めなかった。(p=0.15)【考察】IVR-CTの導入に伴い、送脱血管挿入の際も透視下にて行うことで、短時間で確実に行う事ができるようになった。【まとめ】IVR-CT の導入により、PCPS導入時間の短縮および合併症の減少につながった。FP-222 動画を含めたECMO回路交換マニュアルの作成と交換実施後の改訂東京女子医科大学東医療センター 臨床工学部坂口 祥章、今泉 力也、石井 真佐隆、松本 健一、鮫島 麻子、岡本 遼、小林 利道、芝田 正道、川名 由浩【目的】ECMO回路交換には迅速な対応が求められる。当院、臨床工学部のマニュアル整備の一環としてECMO回路交換マニュアルを動画にて作成した。今回、ECMO回路交換を経験し、動画マニュアルの有用性を確認する一方、不備や修正点が見えたので報告する。【マニュアル】大腿動静脈アクセスでのV-A ECMO 施行時を想定したマニュアルであり、手順の要旨は以下のようになっている。1.バックアップ遠心ポンプによりプライミングを行う。2.ポンプ回転数および酸素流量を同条件でセットし鉗子を噛んでおく。3.医師1 名、臨床工学技士1 名、看護師1 名により交換作業を行い、鉗子操作により直ちに循環を再開する。【回路交換】今回の症例は右内頚静脈送血、左大腿静脈脱血にてV-V ECMO を導入したが、4 日目に遠心ポンプより異音がしたため回路交換に至った。カニューレ挿入部位が離れていたことや人数の確保が可能であったことから、ECMO 循環停止時間短縮のため当日の救命ICU担当技士以外に他部署技士3名に協力を依頼し、医師2名と技士4名で行った。回路交換手順は技士全員が把握しており、役割を確認し、技士主導のもとトラブルなく速やかに回路交換作業を遂行できた。しかし、回路と送血カニューレの接続を外した際に少量の失血があったことや新旧回路の絡まりが発生した。【改訂点】アクセスが離れている場合を想定した交換手順や回路の取り回しについての追記、遠心ポンプを回転させたままの交換であるため交換時に鉗子操作についての注意喚起の追記、さらにブレンダー酸素濃度や人工呼吸器設定変更についても追記する必要があると考えられた。【結語】動画を含めたマニュアルは回路交換手技の理解度を高め、安全で速やかな回路交換の遂行につながったと思われる。今回得られた課題以外にも考えられる危険や注意事項を追記しマニュアルを改訂する。