ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
820/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている820ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-818-FP-217 当院における循環動態モニターのこれまでの推移と現状1)独立行政法人 労働者健康福祉機構 千葉労災病院 臨床工学部、2)同 循環器内科、3)同 救急・集中治療部小倉 健1)、長見 英治1)、山内 雅人2)、高村 卓志3)、伊良部 真一郎3)、森脇 龍太郎3)【背景】千葉労災病院はこれまで主に心疾患のある患者の術中モニターとしてVigileoを使用し、重症疾患に対してはSwan-Ganzカテーテルを挿入してのVigilanceによるモニタリングを行っていた。その後、平成23年7月にHCUを4床で開設し、平成25年10月には新診療棟の完成に伴い4床のICUを運営開始。平成26 年8月には6床へ、更には平成27 年3 月に8 床へ増床したことで循環動態モニターの使用頻度が増加した。当院は現在までEdwards社製のVigileoを4台、Vigilanceを2台、EV1000を3台、PULSIONMedical systems社製のPiCCO2を1台、オスピカメディカル社製のエスクロンミニを2台と徐々に所有台数が増加しており、導入対応、保守管理を臨床工学技士(CE)が行っている。【目的】HCU開設から現在(ICU:8床)までの当院における循環動態モニタリングの推移と現状を報告する。【対象】平成23年7 月のHCU 開設時からH27 年6月までのHCU/ICU 入室患者のうち、循環動態モニターを導入した症例を対象とした。【結果】導入件数(導入率):H23年(7 月~12月)18件(9.1%)、H24年46件(11.5%)、H25 年45 件(16.5%)、H26 年90 件(24.1%)、H27 年(1 月~6 月)62 件(25.3%)と年々増加を示した。診療科別導入率では内科が59.8%と高い導入率を示した。【考察および結語】救急・集中治療領域では早期診断、治療が求められ、循環動態モニターを用いることで指標データを数値化、グラフィック化することで、他職種間で状態把握や情報共有が容易となり得る。他方で循環動態モニターの低侵襲化、測定項目の充実化・明瞭化に伴い今後、集中治療患者においてはレントゲン撮影せずに肺水腫の状態把握などが可能となるレベルまでの精度向上を期待したい。FP-218 胸部大動脈ステントグラフト内挿術後に合併した敗血症性ショックの1 例日本大学病院 臨床工学室山中 光昭、三木 隆弘、二藤部 英治、古川 エミ、関根 玲子、江口 友英、辻 一宗、岡本 一彦【はじめに】急性大動脈解離の中でも、臓器虚血等を合併した症例は極めて予後不良である。近年、胸部ステントグラフト内挿術(以下TEVAR)は合併症を有するStanford B 型急性大動脈解離の治療法として期待されている。そこで、当院で臓器虚血を来した急性B 型大動脈解離に対し、TEVARを施行したが、術後の敗血症性ショックにて救命できなかった1症例について、今後の治療に対する方策を含め検討した。【症例】50 歳代男性。仕事中に背部から腰部の痛みを自覚し、右下肢の痺れ、息苦しさを感じて搬送された。入院後のCT検査にて急性B 型大動脈解離と診断された。【経過】CT 画像より腎動脈および腸間膜動脈血流は確保されていると判断され、降圧および鎮痛管理による保存的治療を行う方針となった。第3病日に尿量低下による肺水腫を来すも利尿薬の投与およびNPPVによる呼吸管理にて改善した。しかし、第5 病日に大量の嘔吐と腹部膨満、腎機能の増悪を認めた為、TEVARを行なった。術後、急速な呼吸・循環不全となり、人工呼吸管理とPMX-DHPおよびPMMA膜を用いたCBPを施行した。しかし、循環動態の改善得られず、第6 病日に死亡退院となった。【考察】術後の虚血再灌流障害( 以下I-RI) によりBacterialTranslocationを引き起こし、敗血症を合併したと思われる。I-RIや敗血症の病態には炎症性メディエーターの関与が推測される。その為、メディエーター除去は病態改善に有効であると考えられる。本症例にてメディエーター除去の目的で血液浄化を導入するも救命には至らなかったが、今後は血液浄化療法導入のタイミングや施行方法などについて検討する余地がある。また、臓器障害を合併している症例に対し、術後のI-RIが生じる可能性があることを認識し、術前より合併症を軽減する対策を整えておくことが重要であると考えた。【結語】臓器虚血を伴う急性B型大動脈解離にTEVARを行う際は術後のI-RI の対策を十分考慮する必要があった。FP-219 PCPS を用いて救命できた1 症例の経験医療法人沖縄徳洲会 中部徳洲会病院 集中治療部仲地 勝弘、宮城 翔太、古謝 竜太、森山 めぐみ、上 恵理子、渡慶次 賀博、永井 優子、翁長 朝浩、西島 功、伊波 潔【はじめに】重症呼吸不全から心肺停止となった症例に対し補助循環、急性血液浄化療法等を用いた集学的治療により救命できた症例を経験したので報告する。【症例】43歳女性。発熱を主訴に独歩で来院された。来院時の所見では会話は可能であったが血圧、SpO2 は測定できず、心拍数150 回/ 分、呼吸回数35 回/ 分、体温39.1℃、インフルエンザ迅速検査はA 型陽性であった。入院後より人工呼吸器管理にて治療が開始されたが、翌朝に突然の徐脈から心肺停止となり心肺蘇生を行うもVT波形によるPEA が持続したためPCPS、IABPの導入となった。同日にSHEDD-fA、PMX-DHP、終了後からはCRRTを施行し、さらに劇症型抗リン脂質抗体症候群が疑われたため血漿交換療法を追加施行した。第5病日より胸部X線写真ではWhite outとなりECMOへの移行が検討されたが、皮下気腫等の影響により体表心エコーによる心機能評価が困難であり、ECMO 移行への判断が難しい状況であった。第6病日には人工肺より血漿リーク、遠心ポンプからも異音が発生したため人工肺回路一式交換を余儀なくされたことから、経験的判断を考慮しECMO への移行が決定した。その後は第13 病日にECMO、第14 病日にIABP、第16 病日にCRRT を離脱し、第22病日にICUから病棟への転床となった。【考察】本症例のように重症呼吸不全を伴う循環不全に対して導入されたPCPS の場合、心機能の回復とともにMixing Zone が下がってくると考えられるが、自己肺機能が改善されていない場合はECMOへ移行するタイミングが非常に重要となる。しかしながら現在はどの程度の心機能改善でV-V ECMOへ移行できるのか明確な基準がなく、さらに評価が困難な場合は判断がさらに難しくなるため、今後の検討課題であると考えられた。【結語】今回の症例経験から、各種ガイドラインに経験的要素を組み合わせた院内基準の策定と見直しが必要であると考えられた。