ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-816-FP-211 心臓手術後のECMO管理における病院間連携についての検討日本医科大学 付属病院 麻酔科・ペインクリニック大森 知恵、杉田 慎二、竹田 晋浩、坂本 篤裕他院での心臓手術後の呼吸循環不全に対して、当院でECMO 管理を行い救命しえた 2例を経験したので報告する。 症例1:71 歳男性。AMI に対し緊急でVSP 閉鎖、CABG を施行された。術後心不全から呼吸不全となり、腎不全を合併した。人工呼吸、IABP、CRRT を行ったがPOD3 にP/F 比< 100 となり循環不全も認めたためVA-ECMOを開始した。長期のECMO管理について相談を受け、同日に当院へECMOのまま搬送された。当院で1度ECMO回路を交換し、循環の安定をみてから心不全管理を開始し、POD7 にECMOを離脱した。POD8 に紹介元の病院へ人工呼吸、IABP 挿入のまま転院搬送した。症例2:65 歳女性。AS、TR に対して待機的にAVR、TAPを施行された。POD10にRCAの完全閉塞を認め、緊急CABG施行となったが、大動脈内の生体弁に血栓が付着しており、redo-AVR が追加となった。血栓症についてはHITが疑われた。術後右室梗塞により多臓し器不全となりPOD13に当院搬送となった。人工呼吸、カテコラミン投与、IABPによっても多臓器不全が進行したため、ECMO 適応ありと判断しCCUからICUに転棟し同日VA-ECMO導入となった。導入後は比較的すみやかに循環不全が改善し、多臓器不全も改善した。心機能の改善をみとめ、POD18 にECMO離脱に至った。POD19 に人工呼吸を離脱し、IABP 挿入のままPOD21 に紹介元へ転院搬送した。 今回の症例では、他院での心臓手術後の重篤な合併症に対して当院でのECMO管理が奏功した。適切に病院間連携をとれたことが救命できた理由の一つであり、搬送システムの構築でより救命できる可能性が示唆された。FP-212 肺結核による敗血症性ショックに対してECMO管理が必要となった1 症例東邦大学医療センター大森病院 救命救急センター豊田 幸樹年、一林 亮、小泉 雅之、佐藤 大輔、横室 浩樹、吉原 克則、本多 満【背景】重症敗血症/敗血症性ショックに対するガイドラインが発表され、以降敗血症性ショックに対する治療は標準化されつつある。循環蘇生に対し輸液・昇圧剤・強心薬の使用法についての解説があり、これにより敗血症の救命率が向上したとの報告もある。しかし、標準的治療に反応せず重篤な経過をたどる症例もいる。一方で、ECMOは敗血症性ショックで通常の循環蘇生に反応しない症例に対して効果的であったという報告がある。結核による敗血症性ショックでECMO管理を必要とした症例を経験したため報告する。【症例】49歳男性、<主訴>意識障害<現病歴> 2015年4月某日家族が訪ねて行ったところ意識障害を来している本人を発見し救急要請、当院救命救急センター搬送となった。<来院時現症> GCS E2V2M5、BP 64/-、HR 140/min、SpO290% < O2 10L/min >、BT 34.8 ℃、両肺にcoarse crackles(+) < 来院時検査所見> WBC 4600/ μ l、PLT 33000/ μ l、CRP15.1mg/dl、CT 上両肺に浸潤影、びまん性の粒状影を認めた<入院後経過>喀痰からGaffky 10 号結核菌を認め肺結核による敗血症性ショックと診断。EGDTに準じた蘇生を行うが多量の昇圧剤を使用しても循環改善なく心機能抑制も認めたためVA ECMOを導入。ECMO 導入後は循環改善、第3病日に心機能も改善したためVA→ VV ECMOへ変更した。集学的治療を継続したが第10病日臓器不全の進行のため死亡した。【考察】本症例は最終的には臓器不全の進行で救命できなかったが、ECMO を導入することで呼吸循環動態は維持可能となった。敗血症性ショックに対してECMOを必要とする症例は多くはないものの、標準的治療に反応しない症例に対してはECMOを使用しなければ救命できないと考えられる。VA→VVへのスイッチを必要としたがその方法も今後検討する必要がある。【結語】敗血症性ショックによる重篤な呼吸・循環不全に対してECMOは有用な治療選択肢になりうると考えられた。FP-213 大動脈内バルーンパンピング症例における直線加圧方式非観血的血圧測定の検討1)東北大学病院 麻酔科、2)東北大学病院 集中治療部、3)東北大学 医学部医学研究科 麻酔科学・周術期医学分野藤峯 拓哉1)、齋藤 浩二2)、亀山 良亘2)、吾妻 俊弘3)、江島 豊3)、星 邦彦2)、山内 正憲3)【背景】従来より行われている非観血的血圧測定は減圧方式で測定され、実際の収縮期血圧よりも高いカフ圧を要し、1回の測定につき一定の時間を要する。また、種々の要因によってエラーが発生し、連続して再加圧が行われる場合がある。肢が過剰に高いカフ圧に長い時間暴露されることで、被検者には不快感が生じるのみならず、出血、神経障害などの有害事象が懸念される。日本光電社製のLinear inflation tech NIBP(iNIBP)は直線加圧方式が採用されている。加圧しながら測定を行うため、収縮期圧測定とほぼ同時に測定が終了し、従来の減圧方式よりも短時間で加圧暴露時間が短いという利点がある。しかしながらiNIBPは従来の減圧方式と比較してノイズを有する症例に対しての検討は十分になされていない。【方法】対象は上肢で観血的動脈圧(ABP)測定がなされており、同側上肢にマンシェットが設置可能で、大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping ; IABP)を施行中の患者で構成した。循環動態が安定している状態でABPを記録した後、iNIBPによる血圧測定を1分毎に3 回行った。評価項目はiNIBPでの測定成功回数とした。iNIBPで測定不能の場合は自動的に減圧方式で測定が行われ、その場合はその回数を記録した。【結果】3 回成功3 例、2回成功例3 例、1 回成功例2例、iNIBP 測定不能例は3 例で、うち減圧法成功例2 例、減圧法測定不能例1例であった。【考察】オシロメトリック法ではノイズとなる波形の症例においてもiNIBPは減圧方式と組み合わせることで、より非侵襲的で実用的なモニターとなる可能性がある。今後はさらに症例数を増やし、評価項目にABP、iNIBPでの収縮期血圧、拡張期血圧を加えて比較検討する予定である。