ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-814-FP-205 小児における血管内治療周術期輸液管理の盲点 術野で大量輸液されていた一例1)学校法人聖路加国際大学 聖路加国際病院 麻酔科、2)マサチューセッツ総合病院橋本 学1)、岡部 宏文1)、藤田 信子1)、青木 和裕1)、長坂 安子2)、片山 正夫1)、岡田 修1)背景小児周術期の輸液管理は成人に比べ循環血液量が少ないため簡単に過剰輸液に陥りやすい。また、近年、低侵襲である血管内治療の症例数は増加傾向にある。こうしたことから、小児における血管内治療では不感蒸泄が少なく注意が必要である。小児病院ではない当院において、小児の血管内治療の周術期管理を経験したので報告する。症例7ヶ月男児。身長62cm、体重5200g。在胎38週1 日に帝王切開にて出生。出生時体重3116g。右半身の不全麻痺を認め脳動静脈奇形が指摘された。5ヶ月時より脳動静脈奇形による水頭症の状態が悪化し痙攣が発症、同疾患に対する血管内治療目的で当院に転院となった。当院来院時、痙攣についてはフェノバール内服でコントロール良好であった。既往歴ヒルスシュブルング病に対して、前医にて全身麻酔下で回腸瘻増設、胃瘻増設施行。周術期に大きな問題なし。右腎は多発性腎嚢胞で無機能腎。周術期管理合計4 回の血管塞栓術が企画された。術前より回腸瘻からの水分漏出が多く、経口摂取に輸液を加えて脱水を防止した。1回目の手術において、麻酔時間6時間44分に対し静脈ラインからの輸液量は192ml、尿量78ml、出血少量であり通常の輸液管理を行った(3.2ml/kg/hr)が、術野より造影剤とともに700mlの生理食塩水が付加されていることが術後にわかった(23.2ml/kg/hr)。集中治療室に入室し、利尿剤投与により合併症なく周術期管理を行うことができた。2 回目以降は術者と水分付加について話し合いを設けることで、過負荷を防ぐことができ、順調な経過をたどった。結論血管内治療では、静脈ライン以外の水分付加があり、循環血液量の少ない小児では特に考慮が必要である。特に当院のような小児病院ではない一般病院では、注意が必要である。術者との密なコミュニケーションをとることにより安全に周術期管理が行えた。FP-206 右心不全に対する中心静脈圧を指標とした輸液管理について。1)堺市立総合医療センター 集中治療科、2)徳島大学病院 救急集中治療部小原 章敏1)、村上 紗羅1)、熊澤 淳史1)、小畠 久和1)、西村 匡司2)2015年3月-6 月に当院ICU に入室したショック患者で右心不全と考えられる症例は7 例であった。右心不全の明確な定義はないが、肺うっ血のない低血圧と中心静脈圧が10mmHg 以上かつ中心静脈圧波形がnoncompliant patternを示した場合とした。5 例がdistributive shock で、 2 例がhypovolemic shockであった。臨床上輸液を躊躇するのはこのような状況であると考える。Trendelenburg positionは持続的な血圧効果はないが、一時的な反応を見る目的には有効であると考えている1)。Trendelenburg position もしくは下肢を90度挙上し、平均動脈圧の上昇が中心静脈圧の上昇を上回った場合、輸液有効と判断している。逆の場合、強心剤、ECMO の適応と考えている。当院のCVP guided infusionのアルゴリズムを提示し、実際の臨床応用例を動画で供覧する。また、一般的なショックの分類に右心不全の概念が欠落していることが輸液管理を解かりにくくしている可能性があると考え、当院の臨床に則した分類も併せて提示する。1)Shock. 2013 Oct;40(4):303-11FP-207 当院における成人ECMO症例の検討1)京都府立医科大学附属病院集中治療部、2)京都府立医科大学附属麻酔科学教室三井 誠司1)、井上 美帆1)、田畑 雄一1)、加藤 祐子1)、石井 祥代1)、黄瀬 ひろみ1)、成宮 博理1)、木村 彰夫1)、佐和 貞治2)背景)京都府立医科大学附属病院においても成人ECMO症例が増加しつつある。当院集中治療部(当ICU)における2014 年4 月から2015 年8 月の間の成人ECMO 症例について調査し、文献的考察を交えて検討した。方法)当ICU において独自運用しているデータベースから成人ECMO症例を抽出、症例の背景・死亡率・ECMO稼働日数・ICU滞在日数・在院日数・合併症を調査した。結果)当該期間におけるICU 入室患者610 例のうち、ECMO 症例は12 例で全例VA-ECMO であった。内訳はECPR4 例・Cardiac8例で死亡率はそれぞれ75%・50%で生存例は全員が生存退院していた。循環不全の原因としては心筋炎または急性冠症候群に伴う循環器疾患が過半数を占めていた。生存例における合併症で大きな問題となったのは下腿のコンパートメント症候群による末梢神経障害であった。考察)”2011 年のELSOのECLS 介入タイプと予後の累計要約” によればAdult-Cardiacの生存退院率は39%、ECPRにおけるそれは29% である。症例数が少ないために断定的な結論を出すことは性急であるが、Cardiac indicationに対するVA-ECMO症例の予後に比べるとECPR 例の成績には改善の余地があると考えられる。