ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-808-FP-187 大動脈弁置換術中に左冠動脈主幹部の冠動脈解離を発症した一例天理よろづ相談所病院 麻酔科中尾 謙太、浜川 綾子、石井 久成【背景】医原性の冠動脈解離(CAD)は経皮的冠動脈形成術(PCI)の合併症として知られている。大動脈弁置換術(AVR)の術中に手術操作によると思われる左冠動脈主幹部(LMT)のCAD が生じた症例を経験したので報告する。【症例】73 歳 男性。左中大脳動脈狭窄症の既往があった。大動脈弁狭窄症に対してAVRが予定された。術前の冠動脈造影(CAG)で有意狭窄は認めなかった。大動脈基部に著明な石灰化を認めたため、これを注意深く除去した後にAVR を行い、人工心肺から容易に離脱した。経食道心エコーでは、人工弁に異常はなかったが、LMT に限局した内膜剥離と解離腔への吸い込み血流を認め、CAD と診断した。冠動脈バイパス術(CABG)を考慮したが、カラーフロードップラー法で解離部位の末梢冠動脈の血流を認め、左室局所壁運動異常・心電図変化がなかったため、CABG は施行せず手術を終了した。術直後に、冠動脈造影(CAG)を施行し、LMTに75% 狭窄を認め、血管内超音波で内膜剥離を認めた。LMT に薬剤溶出性ステント(DES)が留置された。胃管からアスピリン・クロピドグレルを投与し、二重抗血小板療法(DAPT)を開始した。DAPT開始後、ドレーンから出血が急増し輸血を行ったが低血圧が遷延した。術翌日、覚醒したが右片麻痺を認め、頭部単純CT において左中大脳動脈領域に広範な脳梗塞を認めた。【考察】本例のCADは、大動脈基部の石灰化を除去する際にLMT 入口部の内膜剥離を惹起した可能性が高いと考えられた。CADの治療として、CABGは行わず、術直後にDES留置・DAPTを施行した。本例のように、心筋虚血所見がなければ、保存的療法で経過観察し、術後の止血が完了した後にPCIを施行すれば、脳血管合併症は回避できたかもしれない。【結語】術中に発症したCADに対し、その治療に苦慮した症例を経験した。FP-188 救急外来または救急搬送された心筋梗塞患者の検討1)愛知医科大学病院 高度救命救急センター 救命救急科、2)愛知医科大学 地域救急医療学寄付講座三木 靖雄1)、寺島 嗣明1)、渡部 篤史1)、波柴 尉充1)、富野 敦稔1)、青木 瑠里2)、梶田 裕加1)、津田 雅庸1)、井上 保介2)急性心筋梗塞に対するカテーテル治療に関してはDoor-to-Ballon の算定時間により加算される。そのため当院でも外来または救急搬送された患者の治療開始時間を行うべきかを検討した。調査した期間は2014年8月から2015年5月までの10ヶ月間に救急外来または救急車搬送された患者を対象とした。患者総数は37 人であり、救急車搬送された患者は25人、救急外来を受診した患者数は12 人であった。救急外来を受診した患者では来院時間から治療開始までの時間が1 時間以上を要していた。救急搬送された患者では来院から治療開始までは30から40分程度で行われていた。しかし、発症から治療開始までの時間では算定される90分以内の症例は37 症例中22 症例であった。この原因について調べたところ、救急外来を受診したが診察までの時間がかかっており、胸痛を主訴に来た場合はすぐに心電図を行うが、そうでない場合においては診察時間がかかっていた。また救急車で搬送された場合においては管轄する救急隊で分けた場合では覚知から現場出発までの時間はあまりかわらないが、病院までの搬送時間がかかっている場合もある。その対策としては救急外来では問診票の変更を加えた。救急車搬送患者では来院後の処置や検査を簡便に行い、循環器内科に搬送前に連絡する体制をつくった。また、救急救命士の処置拡大に伴い、病院で心筋梗塞と診断された症例の中にも救急救命士がアンフィラキーと判断し、現場処置時間を要した事例も認められ、今後は心筋梗塞であっても処置拡大の適応事例であれば、現場滞在時間が延びる可能性があり、その結果、治療開始までの時間がかかってしまうことにもなる。FP-189 術後ICUで心筋梗塞を発症した2 症例順天堂大学医学部順天堂医院櫻谷 初奈、佐藤 大三、三高 千惠子、安藤 望、稲田 英一最近、虚血性心疾患の増加とともに、非心臓手術においても潜在的あるいは顕在化した心疾患合併した症例も増加している。今回われわれは術後ICUで心筋梗塞を発症した2症例を経験したので発表する。(症例1)66歳、163cm、75kg、男性。腹腔鏡下胃切除術施行。手術時間10時間46分。ICU入室5時間後、突然R on T からVfに移行し、除細動によりROSCとなり、意識レベルも改善。心カテにてPCIを施行し、IABP装着した。(症例2)60歳、162cm、57kg、男性。急性汎発性腹膜炎手術施行。人工透析(慢性腎炎)、PCIの既往。術後ICU入室後血圧低下、II、III、aVfでST上昇がみられた。(考察)症例1に関しては、術前より時々胸の絞感があったが、検査異常は指摘されず、術前に胸の絞感を患者が話さず、特に心筋虚血の検査をしなかった。術後カテの結果、CHF傾向もあり、術中直後より虚血性に心不全をおこした可能性がある。長時間手術、術中水分バランス、低体温でその後のシバリングなども影響した可能性がある。症例2 では、心エコーにより、血圧の低下は血管内脱水の影響、RCA狭窄は以前PCIで難であったことにより、容量負荷にて循環は改善した。(結語)術後ICUで心筋梗塞を発症した2症例した。周術期の管理に注意が必要であった。