ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-803-FP-172 広範囲腸管壊死を呈した重症偽膜性腸炎の一例大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター竹中 隆一、内田 そのえ、吉田 光朗、黒澤 慶子、石田 健朗、塩月 一平、石井 一誠、下村 剛、和田 伸介、重光 修今回、集学的医療にも関わらず偽膜性腸炎から広範囲腸管壊死に至り救命することが出来なかった症例を経験した。症例は84 歳女性。左大腿骨転子部骨折に対して外科的治療を行った後、前医にてリハビリテーション目的で入院加療されていた。術後37℃台の発熱が持続していたが原因特定できず経過観察となっていた。前医入院中に腹痛と下痢が出現し、その夜に意識障害、呼吸不全を呈した為、当院へ救急搬送となった。敗血症性ショックおよび多臓器不全を呈しており、持続的血液濾過透析(CHDF)とエンドトキシン吸着療法(PMX)を併用して集中治療を行った。原疾患は第2 病日に提出したCD 毒素が陽性で、便培養からC.difficile を検出、更には内視鏡にて大腸粘膜に全周性の炎症性変化と偽膜形成を認め重症偽膜性腸炎と診断した。メトロニダゾール静脈投与とバンコマイシン経腸投与を併用して加療したが、麻痺性イレウスや著明な腹水貯留を呈し、状態改善なく第21 病日に永眠された。病理解剖所見では、回腸から大腸にかけて広範囲の腸管壊死を認め、粘膜面には偽膜形成が散見された。偽膜性腸炎は入院患者に比較的よく見られる病態であり、その多くは速やかに改善するが、時に重症化し死に至ることも報告されている。本症例の経験に文献的考察をふまえて報告する。FP-173 上行置換術後14 日目に再解離から大動脈基部破裂をきたした一救命例一宮西病院 麻酔科野手 英明、鳥居 隼、長谷川 祥子、仲野 実輝、川出 健嗣、高橋 伸二、坪内 宏樹、塚原 郁夫症例は77歳女性。Stanford A型大動脈解離に対して緊急手術を行い、術後2日目に抜管。その後、術後経過は比較的良好であった。緊急上行置換術後14 日後に、リハビリ中に意識消失あり、心停止であったためCPR行った。心エコー上は心嚢水が多量であり、心タンポナーデであった。すぐに術創を開創すると大量に出血をきたしたが、自己心拍は再開した。その後、中枢側吻合付近からの出血が疑われ、圧迫止血しながらPCPSを導入。出血源は中枢側の再解離による大動脈基部破裂であった。その後、緊急上行再置換術を施行。術後に右半身麻痺は認めたが、再手術後3日目に抜管し、現在もリハビリ加療中である。上行置換術後再解離の頻度は低いが大動脈解離術後突然死の原因となる。初期対応も含めて検討・考察し報告する。FP-174 膵頭十二指腸切除後遅発性に起こった膵空腸吻合部の動脈出血に対して経皮的動脈塞栓術を施行し救命した1 例新潟県立中央病院 救命救急センター広瀬 由和、小川 理【はじめに】膵頭十二指腸切除後の晩期合併症として消化管出血がみられることがあるが、多くは吻合部静脈瘤によるものである。今回我々は、術後1年8ヶ月経過して膵空腸吻合部の動脈性出血を起こした膵頭十二指腸切除術後の患者に対して、経皮的動脈塞栓術を施行し救命した症例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。【症例】60代男性。来院1 年8ヶ月前に胆管癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が施行された。来院2ヶ月前より黒色便と貧血のために計2 回入院したが、上部消化管内視鏡、造影CTでも出血部位の特定ができず、自然に止血されたため経過観察されていた。2 回目の退院から1ヶ月後、再び下血を認め救急外来を受診したが、この際には収縮期血圧70mmHg 台と低値であり、Hb 値も5.2mg/dL であったため、消化管出血に伴う出血性ショックと診断された。緊急で上部消化管内視鏡が施行されたが、胃内に多量の血液貯留が認められたものの出血部位の同定はできなかった。輸液・輸血でバイタルサインは安定したため自然止血を期待して一旦ICUへ入室したが、その後も下血は持続し貧血の進行も続いた。造影CTを撮影したところ膵空腸吻合部からの動脈性出血が疑われ、経皮的動脈塞栓術を施行する方針となった。脾動脈造影にて膵臓への分枝からの出血と判明したが、責任動脈を選択できず、脾動脈本幹を塞栓して止血を確認した。その後もしばらく黒色便は続いたが、血圧やHb 値は安定しており、第4病日に一般病棟へ転棟し第16 病日に自宅退院となった。経過中に膵炎などの合併症は来たさなかった。【おわりに】膵頭十二指腸切除後の遅発性吻合部出血の報告は過去にも散見されるが、多くは吻合部静脈瘤からの出血であり、本症例のように動脈性の出血を来たした症例は少ない。このような場合には内視鏡的止血が困難なことも多く、カテーテル治療が有用となる可能性があることを念頭におくべきである。