ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-798-FP-157 長野県立こども病院における気管切開症例78 例の検討長野県立こども病院 麻酔科壹岐 陽一、阿部 世紀、松岡 由子、庄司 康寛【はじめに】新生児、小児集中治療の進歩に伴い、長期の人工呼吸管理や在宅医療への移行のために気管切開術を必要とする症例が増加している。【目的】気管切開を施行した症例の患者背景及び気管切開チューブ選択について検討する。【対象と方法】2011年から2015 年までの5 年間に気管切開術を行った78例を、診療録をもとに後方視的に検討した。患者背景及び気管切開チューブのサイズ選択に関して検討し、チューブ先端位置を術後の胸部写真を用いて評価した。チューブの選択に際しては、児の挿管チューブサイズ、年齢相当のチューブサイズ及び正側2 方向の胸部レントゲン像を参考にサイズを決定している。【結果】対象症例は、月齢7ヶ月(中央値、1ヶ月~35 歳)、身長58cm(中央値、38cm~170cm)、体重5.5kg(中央値、2kg~30kg)、63 例が何らかの先天性疾患を有した。気管切開の主たる目的は、気道確保目的が26例、呼吸管理目的が23例、気道確保+呼吸管理目的が29例であった。気管切開チューブの内径は、術前の挿管チューブに比べて平均で0.5mm(±0.41mm)太いチューブが挿入されていた。気管切開チューブ内径と身長(r=0.94、r2=0.88)、体重(r=0.93、r2=0.86)、術前の気管挿管チューブ内径(r=0.93、r2=0.87)、年齢相応の気管挿管チューブ内径(r=0.90、r2=0.80)には相関関係を認めた。気管切開チューブの先端位置は、Th3レベル(中央値、Th1~Th5)、気管分岐部から15mm(中央値、4~54mm)であった。【結論】小児気管切開におけるチューブサイズの選択には、身長、体重、術前の気管挿管チューブ内径、年齢相応の気管挿管チューブ内径が参考となる。FP-158 完全社会復帰した小児溺水の一例福島県立医科大学 附属病院 高度救命救急センター三澤 友誉、小澤 昌子、矢野 徹宏、佐藤 ルブナ、反町 光太朗、鈴木 剛、根本 千秋、塚田 泰彦、伊関 憲、田勢 長一郎プールにおける溺水は、保護者や監視員が目を離した数分で起こると言われている。今回我々は完全社会復帰を来した小児の溺水症例を経験したので報告する。【症例】7才、女児。身長114cm、体重17kg。8月某日夏休み中に小学校のプールで泳いでいた。腹臥位で浮かんでいるところを監視員の教師が発見し、引き上げた。プールサイドで胸骨圧迫を行ったところ意識回復し興奮状態となった。消防よりドクターヘリが要請されて、当院に搬送となった。【来院時現症】酸素10 リットル投与下で、SpO2 100%であったが、頻呼吸のため気管挿管を行った。胸部CTでは肺野の水腫と虚脱を認めた。また挿管チューブより泡沫様の血性痰を認めた。集中治療室に入室のうえ、心停止は明らかではなかったが平温管理とした。急性肺障害に対してシベレスタットナトリウムを投与し、抗生剤はスルバクタム,アンピシリンを用いた。また、背側無気肺の改善のため腹臥位療法を行った。第3病日には呼吸も安定したため、人工呼吸を離脱した。その後食事摂取も進み、全身状態改善して、第9 病日に退院となった。【考察】小児の溺水では現場での心肺蘇生が重要であり、病院到着時での心肺停止は予後不良因子といわれている。本症例では心停止に準じて平温療法を行った。また腹臥位療法などの肺理学療法を施行し、肺障害の改善を図った。また、本症例ではなかったが、てんかんなどの背景因子の検索を行う必要がある。FP-159 当院PICU におけるARDS腹臥位管理の現状静岡県立こども病院 小児集中治療科伊東 幸恵、佐藤 光則、小林 匡、伊藤 雄介、菊地 斉、金沢 貴保、川崎 達也【はじめに】2013 年PROSEVA studyにて成人ARDS における腹臥位管理の有効性が示されたが、小児を対象とし明らかな有効性を示した大規模な研究はまだない。小児では比較的少ないマンパワーで行える一方、気管チューブやライン類のトラブルの増加はより懸念され、腹臥位管理により得られる効果とリスクに関して疑問な点は多い。当院では開設以来腹臥位管理を取りいれており、その現状をまとめ検討した。【対象・方法】2008年1月から2013年12月まで当院PICUに入室した16歳未満のARDS患者(ベルリン基準による)のうち侵襲的人工呼吸管理が行われた患者を対象とし、後方視的に検討した。【結果】ARDS患者60例のうち、17例(28%)で腹臥位管理が施行された。ARDS診断時のP/F比は腹臥位群139 非腹臥位群 197と腹臥位群で有意に低く、ARDS の原因は直接原因が腹臥位群 15例(88.2%)非腹臥位群 21例(48.8%)と腹臥位群で有意に高かった。ARDSの診断から腹臥位開始までは 中央値 35 時間かかっており、1 回の腹臥位あたり平均 8.3時間、中央値 6 日間にわたって施行され、総腹臥位時間は中央値 42時間であった。腹臥位群ではAPRV、iNOの併用が有意に多かったが、ECMO を使用した患者はいなかった。持続の筋弛緩薬使用率は、腹臥位群 29.4% 非腹臥位群 9.3% と腹臥位群が有意に高率であった。腹臥位群と非腹臥位群で死亡率・Ventilator free days に有意差はみられなかった。気管チューブ計画外抜去や閉塞・位置異常、ラインの計画外抜去、褥瘡の発生率は腹臥位群と非腹臥位群で差はみられなかったが,腹臥位群の23.5% で腹臥位直後に血圧低下がみられ輸液の急速投与を要した。【結論】当院の腹臥位管理は、比較的時間が経過してから開始され、1 回あたりの時間も長時間ではなかった。症例ごとに様々な因子のばらつきも多く、腹臥位管理の有効性を調べるためには、プロトコールを作成しそれに則った一律の管理を行い、調査する必要がある。