ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-796-FP-151 小児の重症頭部外傷患者において外科的介入を要した症例の検討1)愛仁会 高槻病院 小児科、2)愛仁会 高槻病院 小児集中治療科、3)愛仁会 高槻病院 麻酔科近藤 淳1)、山本 和宏1)、大西 聡1,2)、起塚 庸1,2)、土居 ゆみ2,3)【はじめに】小児の重症頭部外傷の患者を治療する際、外科的介入の適応を判断することにしばしば苦慮する。そこで、今回我々は保存的加療のみの患者群(保存群)と外科的介入を要した群(介入群)について検討した。【対象および方法】対象は2012年4月~2015年7月までの3年4か月の間で頭部外傷のために当院小児科または小児脳外科を受診し集中治療室にて加療を要した28例。診療録を用いて後方視的に臨床像、検査所見等について検討した。【結果】保存群が15 例(2 ケ月~14歳、中央値6 歳)、介入群が13例(1ケ月~7歳、中央値5ケ月)であった。主訴は保存群で嘔吐5例、痙攣2例、意識障害3例であったのに対し介入群は嘔吐2例、痙攣6 例、意識障害2 例であった。画像所見は保存群においては頭蓋骨骨折の合併8 例、急性硬膜下血腫4 例、急性硬膜外血腫4例、脳挫傷6例、くも膜下出血2例であり、midline shiftを認めた症例はなかった。一方、介入群は頭蓋骨骨折の合併例4例、急性硬膜下血腫8例、慢性硬膜下出血の合併3例、急性硬膜外血腫4例、脳挫傷2例、くも膜下出血1例、midline shiftを4例で認めた。脳外科的介入を判断した要因を検討したところ、受診時の臨床および画像所見が9例、継時的な臨床所見や画像所見の悪化が4例であった。また、介入群は全例に頭蓋内血腫を認めたが、血腫の厚さ5mm以上が8 例あり、そのうち1 例のみが経時的評価が有用であった。一方、厚さが5mm以下の5 例では経時的評価が3 例で有用であった。短期予後評価では保存群では明らかな後遺症を認めたのは1 例のみであったが、介入群は5 例に後遺症を認めた。【まとめ】小児の重症頭部外傷症例においては若年で痙攣を主訴とする患者は外科的介入を要する可能性が高い。また、画像では血腫が薄くmidline shift などの頭蓋内圧亢進を示唆する所見に乏しくとも、外科的介入を要する症例が2/3以上存在するため、継時的な臨床および画像評価が外科的介入の判断に重要である。FP-152 演題取り下げFP-153 小児急性脳症(けいれん重積型)に対するICU治療とレドックス制御1)岡山大学病院 小児科、2)岡山大学病院 高度救命救急センター、3)岡山ろうさい病院畑山 一貴1)、野坂 宜之1)、塚原 紘平2)、クナウプ 絵美里2)、氏家 良人2)、森島 恒雄3)【背景】当院では小児急性脳症患者に対して厚労省インフルエンザ脳症ガイドラインをもとに、34℃48 時間低体温療法、ステロイドパルス、大量ガンマグロブリン、エダラボンを主軸とした脳保護・集中治療管理を提供している。酸化ストレスは小児急性脳症において病態形成や予後と関連することが既に報告されているが、治療介入後の動態に関する知見は乏しい。私たちはICU管理中の小児急性脳症(けいれん重積型)患者の酸化ストレス環境の推移を後方視的に検討し、神経学的予後も含めて治療効果を評価した。【方法】対象はけいれん重積型脳症として上記治療を施行した6例(原因:HHV-6 4例, Flu A 1例, 不明1 例)。検体は、来院時・低体温療法中・低体温療法後の3点の血清と来院時の髄液を用いた。酸化ストレスの評価には血清中のヒドロペルオキシド(d-ROMs)と抗酸化力を表すbiological antioxidant potential(BAP)を用いた。【結果】神経学的後遺症(てんかん、精神運動発達遅滞)を残した患者群の治療介入前の髄液中d-ROMsは予後良好群に比較し高かった。治療介入により血清中のd-ROMs、BAPはいずれも統計学的に有意な低下を認めたが、復温完了後の時点ではいずれも抑制されたままであった。【結論】酸化ストレスが小児急性脳症の病態形成に関与し、予後予測マーカーになる可能性が示唆された。当院の脳症に対するICU治療は酸化ストレス抑制を果たしたが、血清中の抗酸化力も低下させていた。低体温からの復温に際しては抗酸化戦略を強化する必要があるかもしれない。