ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-795-FP-148 Augmented Renal Clearance発症に関する前向き観察研究(第一報)福岡大学病院 救命救急センター森本 紳一、川野 恭雅、金山 博成、星野 耕大、市来 玲子、仲村 佳彦、石倉 宏恭【はじめに】近年、集中治療領域においてAugmented Renal Clearance(ARC)が注目されている。ARCとは、全身性炎症反応症候群などによる心拍出量の上昇に伴って腎血流量が増加し、薬物などの腎クリアランスが増大する現象を指す。今回、当センターの入院症例を対象に、ARCの発症に関して検討を加えたので報告する。【対象と方法】対象;2015年5月からの2ヵ月間に当センターICUに24時間以上入院し、入院時検査で血清Cr.値≦1.1mg/dlであった成人症例を対象とした。方法;ICU入室後に8時間蓄尿後、クレアチニンクリアランス(Ccr)を測定し、Ccr ≧ 130 mL/min/1.73m2 をARC と定義した。その後、症例をARC 発症群とARC非発症群の2 群に分け、年齢・性別・身長・体重・BMI・体表面積・SOFA score・APACHE2 score・血管収縮薬使用の有無・入院時疾患を比較した。【結果】解析対象症例は14例で、年齢中央値:67歳(21-93)、男性: 8例(57.1%)、SOFA score中央値:3(0-12)、APACHE2 score 中央値:21(6-34)であった。14 例中でARC を発症した症例は6 例(42.9%)であった。ARC 発症群と非発症群で年齢・性別・身長・体重・BMI・体表面積・SOFA score・APACHE2 score・血管収縮薬使用の有無・入院時疾患に差を認めなかった。【結論】 現時点では症例数は少ないものの、当センター入院時に腎機能障害を持たない症例において、ARCは高頻度で発症していることが明らかになった。一方、今回の検討においてARC発症に関連した因子を明らかにすることはできなかった。今後も継続して検討をおこなう予定である。FP-149 集中治療医の関与した小児緊急interventional radiology症例の解析名古屋市立大学 麻酔科・集中治療部長谷川 達也、徐 民恵、浅井 明倫、藤掛 数馬、加藤 利奈、伊藤 秀和、宮津 光範、平手 博之、杉浦 健之、祖父江 和哉【背景】近年、手技や器具の進歩により小児に対するintervetional radiology(以下IVR)の報告が散見される。しかし、その管理への集中治療医の関与についての報告はない。【目的】集中治療医が関与した小児緊急IVR症例を解析し、問題点を抽出すること。【方法】2005年から2015年、16歳未満の緊急IVR症例を後ろ向きに調査。【結果】対象は8例、平均年齢9.3歳(3 ~14歳)、全て男児。外傷6例、腫瘍などの非外傷2 例。全例が病院到着時ショックであり、IVR施行前からその後の管理を含めて集中治療医へコンサルトされていた。病院到着から集中治療医へのコンサルトまでの時間は、平均132分(1~445分)。全例で、IVR 施行中は集中治療医が鎮静を含め全身管理を行い、術後は挿管のままICUへ入室した。輸血を要したのは7 例で、うち5 例は24 時間以内に循環血液量以上の輸血を必要とした。止血が不十分で再IVRとなったのは2例で、どちらも2回目の術後数日で死亡した。救命しえた6例に合併症は認められなかった。【考察】緊急IVRを要する症例はショックであることが多く、止血術と平行して綿密な全身管理が要求される。当院では、全例でIVR 施行前から集中治療医が関与していた。小児IVR 症例では、予備力が少ない、鎮静が必要である、などの特徴があり、小児の全身管理に習熟した集中治療医の関与が円滑な治療に寄与していた。一方で、到着から集中治療医へのコンサルトに長時間要していることは問題である。集中治療医の早期介入により、全身管理戦略が早期に立案でき、より円滑な周術期管理が可能になると思われる。今後、当院における小児緊急IVR への集中治療医の協力体制を整えていく必要がある。FP-150 オープンICU における集中治療科のベッド管理 長期入床者に対する検討静岡県立総合病院 集中治療科秋本 剛秀、森本 恵理子、横山 順一郎当院の集中治療システムは、オープンICUであり、しばしば患者の入退室に問題を来す。当科は現在のところ各科調整役の域を出ないが、統一した診断基準により集中治療室の入退室を円滑に行い、ひいては治療の到達目標を各診療科に提示することで、合理的な集中治療が行えるよう介入していきたい。このため本研究は、現在の集中治療室利用の現状を把握し、診療科毎の差異を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】平成26 年度に集中治療室(10床)に8日以上入床した患者に対し、患者評価のために使用されている平成26年度版特定集中治療室管理料の算定項目である重症度を用いて、診療科ごとの比較を行った。【結果】集中治療室入室者はのべ729人で、利用診療科は15診療科、心臓血管外科220人、循環器内科216人、脳神経外科145人、救急科52人、外科28人、その他68 人であった。平均在室日数は7.0±5.0 日で、心臓血管外科4.3日、循環器内科4.4 日、脳神経外科4.5日、救急科8.1日、外科8.9 日であった。また、8日以上の入床者数は91人で、心臓血管外科11人(心臓血管外科入床者の5.0%)、循環器科25 人11.5%)、脳神経外科14 人(10,3%)、救急科14 人(26.9%)、外科10 人(35.7%)、その他7 診療科16 名であった。上記5 診療科75 人で重症度を退室日で比較した結果、A 項目は平均5.0点で、診療科間で比較すると脳神経外科と外科、救急科で有意差があった。B 項目では平均7.1点で、循環器内科と外科、救急科で有意差を認めた。【考察】 ICU 入床者の多い診療科は平均在室日数が少なく、退室日における患者の重症度が低かった。長期入床となる診療科間で、退室時のA項目、B項目それぞれに有意差があった。各科事情によらない客観的な重症度を評価することで、治療を平均的な方向へ誘導することが可能と思われ、オープンICUにおける集中治療医の介入初期段階として有用と考えられた。