ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-793-FP-142 骨髄穿刺では診断がつかず、骨髄生検で診断がついた骨髄貪食症候群を伴う、致死的悪性リンパ腫の一例東海大学 総合内科柳 秀高、小松 昌道、真鍋 早季、桑野 公輔、小澤 秀樹38才男性。生来健康。入院3ヶ月前に高熱、悪寒、倦怠感、全身リンパ節腫脹のため1ヶ月前、近医受診。肝脾腫、多発性の関節痛も認めた。フェリチン高値、炎症反応高値などから成人発症スティル病と臨床診断され、プレドニン60mg/day が開始された。悪性リンパ腫の可能性も考え、骨髄穿刺が行われたが、ドライタップであった。しかし、ステロイド治療開始後も改善を認めず、高熱持続、意識障害を認めるために当院へ緊急で搬送となった。来院時39.4度の発熱、脈拍120と頻脈を認めた。検査結果ではヘモグロビン値7.6mg/dl と正球性貧血、肝機能高値(GOT 139IU/L, GPT 119IU/L, LDH 388U/L)、炎症反応高値(CRP 19.2, ESR124)、フェリチン3140mg/dlであった。画像上は肝脾腫あり。抗核抗体陰性、リウマチ因子陰性、sIL-2受容体陰性、血液培養陰性であった。緊急で骨髄穿刺および骨髄生検を行い、ステロイドパルス療法を行ったが、多臓器不全の急速な進行のため翌日に死亡した。後日、骨髄穿刺検体では診断がつかなかったが、骨髄生検検体からAnaplastic large cell lymphomaと診断がついた。当初より骨髄生検まで行っていればリンパ腫の早期治療が可能であったかもしれないケースであった。FP-143 ICU に入室した血液疾患の重症化症例の検討1)札幌医科大学 医学部 集中治療医学、2)札幌医科大学附属病院 臨床工学部巽 博臣1)、升田 好樹1)、吉田 真一郎1)、片山 洋一1)、数馬 聡1)、高橋 科那子1)、後藤 京子1)、千原 伸也2)、小川 輝之2)、島田 朋和2)【背景】血液疾患患者は移植前処置や骨髄移植などの治療に伴い免疫抑制状態となっているため、さまざまな合併症を発症する。重症化した場合、その予後は不良である。【方法】2011年1月以降にICUへ入室した血液疾患の重症化例63 症例(初回入室のみ)を対象とし、患者背景、ICUでの治療内容、予後などについて検討した。【結果】平均年齢は56.3歳、男性が43例(68%)であった。平均ICU 在室日数は11.9 日で、再入室例は8例(うち2例は3回入室)であった。原疾患は急性骨髄性白血病と悪性リンパ腫がそれぞれ19 例(30%)、入室理由はARDS・肺炎25 例(40%)、CPA・ショック18 例(29%)と多かった。ICU 死亡は29 例(46%)であったが、28 日死亡は35例(56%)、90日死亡は43 例(68%)と、退室後の予後はさらに不良であった。ICU退室時の予後で生存群と死亡群に分けると、それぞれCHDFは29%と72%、PMX-DHPは12% と24%、また人工呼吸管理は68%と97%に施行されていた。48時間以上在室した50例のうち、39例(78%)で経腸栄養が投与され、30例で入室後48時間以内に開始していた。19例で経腸栄養を中止したが、その理由は消化管出血4例、腸管蠕動麻痺4例、腸管GVHD 2例、腸管壊死2例、難治性下痢1例のほか、6 例は全身状態悪化に伴うものであった。経腸栄養施行例のICU死亡率は51% であった。【考察とまとめ】血液疾患の重症化例は人工呼吸管理や急性血液浄化療法の施行にもかかわらず予後不良であった。経腸栄養は他疾患と同様に施行できたが、治療に関連する粘膜障害やbacterial translocation、骨髄移植後に特有なGVHDなどの消化器合併症の発生に注意する必要があると考えられた。一度重症化すると予後は不良となるため、重症化以前の何らかの治療介入が必要と感じた。当院では2015 年4 月より血液悪性腫瘍患者に対して移植前からの早期経腸栄養に取り組んでおり、合併症発生率や死亡率の改善につながることを期待している。FP-144 当センターICUにおける血液疾患患者の治療成績の検討大阪府立成人病センター 麻酔科竹田 みちる、大橋 祥文、日生下 由紀、園田 俊二、鳥井 直子、菅島 裕美、藤田 泰宣、大川 恵、飯田 裕司、谷上 博信血液疾患患者でICU入室となる患者数は少ないが他の患者と比較し治療成績不良である事が多い。昨年のICU学会で当センターICUにおける血液疾患患者の治療成績向上に寄与する因子について発表を行った。その後の当院ICUでの血液疾患患者の治療成績について検討した。【対象と方法】2014 年から現在までに当センターICUに入室した血液疾患患者の入室理由、治療内容、成績を検討し以前との比較を行った。【結果と考察】2014年1月以降のべ19 名が入室した、入室理由の内訳は敗血症4名、急性呼吸不全13名、緊急手術術後2名であった。平均在室日数は2014年は11.2日、2015年は8日。9名(47%)が死亡した。死亡の内訳は敗血症4 名(在室日数2.8 日、4 名中)、呼吸不全5 名(平均在室日数15.3 日、13 名中)であった。以前と比較すると敗血症患者の比率が増加傾向にあり死亡率の増加、在室日数低下の一因と考えられる。一方で呼吸不全患者の在室日数は2013年から8.3日→ 11.8 日→ 12.5日と増加しておりより早期にICUに収容し治療を開始していると結果と考えられた。【結語】免疫抑制状態にある血液疾患患者では感染は長期化し重篤化しやすい。より早期にICU入室し治療を行う為に診療科との患者情報の共有が重要である。