ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-791-FP-136 好酸球増多症に心室内血栓を合併した一症例群馬大学 医学部 附属病院 集中治療部神山 彩、金本 匡史、神山 治郎、松岡 宏晃、坂上 浩一、柳澤 晃広、戸部 賢、日野原 宏、国元 文生、齋藤 繁【症例】52歳、男性。【経過】半月ほど前から体動時の咳、めまいを認めていたが、朝礼中に失神し搬送された。好酸球増多を認めたため、入院し、精査を行うこととなった。心エコーを施行したところ、下壁と心尖部の壁運動が低下し、左室内に34mm のエコー輝度の高い腫瘤があり、拡張障害と肺動脈血圧上昇が認められた。ワーファリンによる抗凝固療法を開始し、ステロイドパルス療法を行った。一週間後、心エコーを再検したところ、腫瘤は拡大傾向で可動性があったことから、手術による摘出が計画された。待機入院中、SpO2の低下に気付き、意識レベルが低下しているところを発見された。CTと頭部MRIを施行し、胸部脊椎Th5,6 の圧迫骨折の他、頭部に異常はみられなかった。しかし、MRI 終了間際に全身性の痙攣が起こり、数分で自然消失したが、経過観察のためICU 入室となった。入室後は抗けいれん薬を投与し、痙攣発作の再発はなく、4 日後、左室内腫瘤の摘出術が行われた。左室内の腫瘤は器質化した脆弱な血栓で、心室中隔~後壁~側壁に付着しており、これを摘出した。また、心内膜は瘢痕化していた。術後経過は良好で、痙攣発作も再発せず、POD7 にICU を退室した。その後、Chronic eosinophilic leukemia,FIP1L1-PDGFRαの診断が確定し、イマチニブによる治療が開始されている。【考察】好酸球増多症に心室内血栓をきたすような重症な心筋炎を合併する病態が、、Loeffler心内膜心筋炎として知られている。今回、好酸球増多症に心室内血栓を合併した症例を経験したので、文献的考察を加え、報告する。FP-137 DIC をきたした大動脈瘤に遺伝子組み換えトロンボモジュリンが奏功した1 例川崎病院 救急科三砂 雅裕、竹内 庸浩、高田 昌紀症例は85歳女性。既往歴は、慢性C 型肝炎、脳血管認知症。抗血小板および凝固療法の既往はない。意識障害を主訴に当院救急部へ救急搬送された。来院時、意識レベルII-30、収縮期血圧は70mmHgとショック状態であった。右前胸壁に著明な血腫を認めた。血液検査で、白血球 7900/μ l、Hb 5.5g/dl、血小板7.7 万/μlと著明な貧血と血小板低値を認めた。また、凝固機能異常を認め、血清FDP 22.9/ μ g、Fib 33mg/dl、PT 27%、PT-INR 2.56 であった。厚生省研究班のDIC 診断基準で9 点とDIC と診断した。胸部造影CT で大動脈弓部から下行大動脈に大動脈解離を認め、DIC の原因として大動脈解離の関与が考えられた。未分画ヘパリンと濃厚赤血球・新鮮凍結血漿を投与開始したが、右前胸壁の血腫は増大し、再びショック状態となった。未分画ヘパリンを投与中止し、第3病日よりrTM 15360 万単位/日を6日間投与後、第10 病日DICスコア6 点と改善を認めた(血小板 6.1 万/ μl、Fib233mg/dl、PT 1.32、FDP 14.5 μ g/ml)。第11 病日右前胸壁の血腫除去術を施行した。その後、血腫は速やかに吸収され循環動態は安定した。第69 病日DIC スコア4 点(血小板 17.4 万/ μ l、Fib 267mg/dl、PT 1.08、FDP 32.7μ g/ml)と改善を認め、第78 病日施設へと退院となった。【まとめ】近年、rTMは感染症や血液疾患に起因するDIC で良好な成績が報告されている。大動脈瘤や大動脈解離のような大動脈疾患においても5.8%の頻度でDICを合併する。大動脈疾患によるDICは線溶亢進型DICを呈するが、rTMが有効である可能性が示唆された。FP-138 ECMO 管理中に筋肉内出血を認めた一例前橋赤十字病院集中治療科・救急科白戸 康介、小倉 崇以、中村 光伸、宮崎 大、高橋 栄治、町田 浩志、鈴木 裕之、菊谷 祥博、藤塚 健次、田中 由基子61歳男性。飲酒後の失神による温泉溺水にて前医救急搬送となった。胸部CTにて右肺優位の広範な浸潤影を認めた。温泉溺水による化学性肺炎と考え、気管挿管、人工呼吸管理を開始するもP/F:91 と徐々に酸素化の低下を認めた。そのためECMO(Extracorporeal Membrane Oxygenation)導入目的で当院に転院搬送となった。当院での胸部CT にて増悪傾向見られたため、右内頸静脈脱血、左大腿静脈送血にてECMO 導入となった。第2 病日に気管切開術施行。その後、端座位、起立訓練など積極的な理学療法を施行し、呼吸状態は改善傾向を認め、第7病日にECMO離脱となった。同日より腰痛の訴えあり、第八病日のCT検査にて右腸骨筋、左腸腰筋に血腫を認めた。外科治療やIVR(Interventional Radiology)などを行うことなく、保存治療にて縮小を認め、輸血を必要とすることもなかった。第四十病日に転院となった。ECMOは重症呼吸不全に対して、有用な治療の選択肢であるが、出血性合併症を認めることがある。出血のリスクを考慮した上で抗凝固や理学療法を施行する必要があると思われる。近年ではECMO患者の出血性合併症に後天性フォンウィルブランド病の関与が報告されており、本症例でも関与が疑われ、文献的考察を含め、報告する。