ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-787-FP-124 NPPV 施行中のNasal CannulaによるEtCO2 のモニタリングの検討1)小倉記念病院 検査技師部 工学課、2)大分大学 大学院 医学系研究科、3)小倉記念病院 麻酔科・集中治療部、4)大分大学 麻酔科学講座道越 淳一1,2)、宮脇 宏3)、丹生 治司1)、瀬尾 勝弘3)、松本 重清4)、北野 敬明4)【はじめに】Non-invasive Positive Pressure Ventilation(以下NPPV)による治療中のモニタリングとしてEtCO2 の測定は重要である。しかし、マスク内環境でのカニューラによるEtCO2測定はフローの影響を受けるため一般的でなく詳細な検討は行われていない。【目的】NPPV 施行中にカニューラタイプのカプノラインでのモニタリングが可能か否かについて検討するため、NPPV非装着時と装着時のEtCO2を比較した。【対象および方法】対象は健常成人ボランティア11名。使用装置はCapnostream TM20P(COVIDIEN JAPAN)を使用し、5分ごとにNPPV(IPAP=8cmH2O、EPAP=4cmH2O、RR=4回/分)の脱着を計3回行った。計測はNPPV 非装着時と装着時のEtCO2 を2 秒間隔で行い比較した。統計学的検討はMann-Whitney のU 検定(Stat-View5.0)で行い有意差有をp<0.05とした。【結果】NPPV マスク非装着時EtCO2 は30 ± 3mmHg、NPPV マスク装着中EtCO2 は28 ± 3mmHgであった。(p=0.24)【考察】NPPVマスク装着中は非装着時と比べて、明らかな差が認められなかったことからも、NPPVマスク装着中においてEtCO2の経時的な測定を捉えることが可能であると思われた。しかし、血液データとの乖離が懸念されるため、さらなる検討が必要である。【結語】カニューラタイプのカプノラインでのEtCO2 測定はNPPV のマスク換気下において測定可能であり、モニタリングとして使用できる可能性が示唆された。FP-125 V-V ECMO管理中に後腹膜血腫を認め、抗凝固療法を中止して管理した一例1)公立陶生病院 臨床工学部、2)公立陶生病院 呼吸器アレルギー疾患内科、3)公立陶生病院 集中治療科小山 昌利1)、横山 俊樹2)、川瀬 正樹3)、春田 良雄1)【はじめに】V-V ECMO管理は長期管理を要することがあり、長期使用に耐えうるデバイスの開発が望まれている。近年、抗血栓性に優れるデバイスが開発され長期使用が可能になりつつあるが、ECMO 管理中は血栓を防止するために抗凝固療法が必要であり、出血はもっともよくみられる合併症である。今回、V-V ECMO導入後に後腹膜血腫を認め抗凝固療法を中止し管理した症例を経験したので、デバイスの状況を踏まえ報告する。【症例】 72歳、男性、数日前より気道症状、酸素化の悪化を認め、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)にて挿管人工呼吸管理をされ当院搬送となった。来院時Severeな低酸素を認め、V-V ECMO導入となる(Murray Score 3.75 The RESP score -4)。脱血カニューレ右大腿静脈22Fr、送血カニューレ右内頚静脈20Fr 挿入、遠心ポンプはGyro pump、人工肺はNHPエクセラン、回路はNSHコーティング回路を使用した。導入17日目に回路内の血栓疑いにて回路交換施行、導入20 日目に後右後腹膜への血腫を認めたためヘパリンをOFF にて管理を継続となった。右後腹膜血腫の改善は乏しく、導入28 日目脱血カニューレを右から左大腿静脈へ変更、同時に回路交換を行った。その後もヘパリンOFFにて2回の回路交換を経て管理を行ったが、80 日目に脳出血を合併し、85日目に死亡した。【考察】 今回、V-V ECMO 導入後に後腹膜血腫を認め抗凝固療法を中止後66日間、計3回の回路交換(全4回)を行ったが、遠心ポンプからの異音はなく経過することが可能であった。抗凝固療法を中止後の交換した人工肺や遠心ポンプ・回路内の血栓を交換後に確認したところ施行中の外観からでは確認できない血栓が認められた。V-V ECMO 管理中の血栓による明確な回路交換の時期はなく、医療者による判断や点検が重要になる。そのためデバイスの点検や観察をチームで取り組んでいくことが重要であると考える。FP-126 PSV からPAVへ変更することで炭酸ガスが拡散した1 症例神戸赤十字病院 医療技術部勝木 亮介【はじめに】整形外科手術後に高炭酸ガス血症を呈した、既往に肺気腫がある患者に対し、人工呼吸モードを、PSV(PressureSupport Ventilation)からPAV(Proportional Assist Ventilation)に変更することで炭酸ガスの拡散を得られた症例を経験したので報告する。【症例】76 歳男性。既往に肺気腫がある整形外科患者で、Th12の骨折のため全身麻酔下で後方固定術を行った。術前よりPaCO2が高く、術直後もPaCO2が高く覚醒不良もあったため、抜管を延期した。翌日、覚醒は得られたが、PaCO2が更に高くなったことで、人工呼吸モードをPSV からPAVへ変更した。PAV 変更直前はPaCO2:113.5mmHg、変更1時間後は90.2mmHg、2時間後には84.1mmHgと低下した。人工呼吸モード変更前後で1回換気量の増減は無く、呼吸回数、分時換気量は微減した。最高気道内圧は、変更前後で17 → 20cmH2O と増加した。PAV 変更翌日朝には、PaCO2:67.1mmHg まで低下したため抜管となった。【考察】 人工呼吸中の炭酸ガスの拡散に寄与するパラメーターは1回換気量、呼吸回数、分時換気量であるが、モードの変更前後で1回換気量の増減は無く、呼吸回数と分時換気量は微減した。本症例で炭酸ガスの拡散が得られた要因の1つとして、PAVは患者の横隔膜の動きに応じて吸気フローを調節するため、PSVに比べて腹式優位の換気が得られ、換気血流不均衡が改善した可能性が考えられる。PAV は自発呼吸の同調性が優れていると評価されているが、その結果、換気血流比の改善が得られるのではないかと示唆された。