ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-773-FP-082 気管切開術後に両側緊張性気胸となり換気困難を来した2 症例田附興風会 医学研究所 北野病院 麻酔科集中治療部若田 竜一、宮崎 嘉也、足立 健彦【背景】気管切開術は意識障害のある患者や長期的な人工呼吸器管理が必要な患者に対して行われるが、皮下気腫・縦隔気腫・気胸などを合併することが報告されている。今回我々は気管切開術を行い、両側緊張性気胸を合併し換気困難をきたした2症例を経験したので報告する。【症例1】73歳女性、急性硬膜下血腫・脳ヘルニアのため緊急開頭減圧術を施行、挿管のままICUへ入室となった。意識障害が遷延したため気管支鏡補助下に経皮的気管切開術を施行した。誤ってダイレーターとともにガイドワイヤーを抜去したため再度穿刺し、気管カニューレを留置した。人工呼吸器に接続した直後に換気困難となり心停止に至った。心肺蘇生中に皮下気腫を認めたため気胸を疑いトロッカーを挿入、エアリークがあり気道内圧の低下を得られたが心拍再開することなく死亡となった。【症例2】59歳女性、右脳出血を認めて緊急開頭減圧術を施行され挿管のままICUへ入室となった。意識状態の改善が得られなかったため外科的気管切開術を施行した。当初挿入しようとしていたカニューレが入らず小さいサイズのカニューレを留置した。夜間に人工呼吸器に接続した際に気道内圧の上昇を認めて換気困難となった。胸部X線検査で両側気胸を認めたため直ちに胸腔穿刺を行い呼吸状態は改善した。【結語】気管切開術後に両側緊張性気胸を合併した2 症例を経験した。気管切開術では気管壁損傷から縦隔気腫・気胸を引き起こすことが報告されている。また気管切開口からのエアリークが気胸・皮下気腫・縦隔気腫を引き起こすことも報告されている。両症例ともに気管切開術中に気管カニューレ留置に難渋しており、それらの影響も踏まえて文献的考察を加えて報告する。FP-083 抜管後の喉頭浮腫に対するアドレナリン・リンデロン希釈液投与の試み恩賜財団済生会 横浜市東部病院 救急科吉田 浩輔、倉田 沙織、中道 嘉、小林 陽介、明石 拓、佐藤 智洋、折田 智彦、山崎 元靖、北野 光秀【はじめに】抜管後の喉頭浮腫はICU患者の30%に発生するとされ、人工呼吸器の再装着の原因ともなる重要な合併症である。【目的】抜管前の喉頭に対してアドレナリン・ベタメタゾン希釈液を浸潤させ、その治療効果を評価検討する。【方法】24 時間以上の人工呼吸管理が行われた症例について、アドレナリン・ベタメタゾン希釈液をカフ上吸引口より注入し、抜管前の喉頭に直接浸潤させ、処置前後でのカフリーク音の変化、バイタルの変動などについて評価検討した。【結果】計8症例で試行し、48時間以内に再挿管に至った症例はなかった。カフリークテストでは処置試行前のリーク音は4 例で聴取されず、4 例で少量のリーク音が聴取された。処置後では3例でカフリーク音の増大を認め、喉頭ファイバー観察下でも肉眼的にあきらかな浮腫の改善を認めた。抜管後の頸部の聴診では全例で気道狭窄音は認めなかった。処置前後30分での血圧、脈拍はあきらかな上昇は認めず、不整脈の発生も認めなかった。【考察】抜管前の喉頭に対してアドレナリン・ベタメタゾン希釈液を浸潤させることによって、抜管後の喉頭浮腫を改善させる可能性があると考えられた。FP-084 気道熱傷治療中に気管チューブ閉塞を来し輪状甲状靭帯切開を行った一例聖マリア病院 救命救急センター 集中治療科爲廣 一仁、財津 昭憲、島 弘志、瀧 健治【はじめに】気管挿管中に気管チューブ閉塞を起こすと致命的となる。今回われわれは、気道熱傷のために気管挿管下に人工呼吸管理を行っていた患者に気管チューブ部閉塞を来した症例を経験したので報告する。【症例】65歳の女性。自宅の火災で顔面、頸部、気道熱傷を起こし気管挿管を行い人工呼吸管理中であった。気管挿管10 日目、気管吸引用のカテーテル挿入時に抵抗が出現したため、気管支鏡で確認を行っていたところ、気管チューブの閉塞が起こり気道緊急となった。気管チューブの入れ替えはリスクが大きいと判断し輪状甲状靭帯切開を行い、気道確保を行った。抜去した気管チューブ内は粘稠な気道分泌物で完全閉塞をしていた。【考察】気道分泌物による気管チューブの完全閉塞を経験した。普段経験しない合併症であったが、1.患者の病態から脱水気味に管理を行っていたことと 2. 当院の人工呼吸器の加湿は人工鼻で行っており、加温加湿器に比べ加湿が十分でなかったことが、原因であったと推察された。『人工鼻を使用しているから加湿が十分である』と過信するのは危険であり、人工鼻にも注意を注ぐ必要がある。