ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-772-FP-079 甲状腺穿刺吸引細胞診後に気道狭窄を生じ気管挿管下に保存的治療で軽快した症例愛知医科大学 医学部 麻酔科学講座橋本 篤、木下 浩之、赤堀 貴彦、安藤 一雄、藤田 義人、畠山 登、藤原 祥裕甲状腺穿刺吸引細胞診(FNAB)後に頸部腫脹をきたし、気道確保が必要となった症例について報告する。FNAB後の血腫による気道狭窄は非常にまれな合併症で、数例の報告はあるが、気管挿管、外科的血腫除去または甲状腺切除を必要とし、致死的な状況にもなりうる合併症である。症例:58 才女性。甲状腺右葉小結節の組織診のためにFNABが施行された。既往歴に関節リウマチとバルサルバ洞動脈瘤の手術歴があり、ステロイド薬と抗リウマチ薬を内服していたが、抗血小板薬、抗凝固薬の内服はなかった。超音波ガイド下にFNABが施行され、2 時間後には頸部腫脹と嗄声が出現し、集中治療室で経過観察となった。3 時間後の頸部CT(図1)では咽喉頭の後方からの圧迫による狭窄が認められ、呼吸困難感も出現したため気管挿管された。CTと超音波の画像から血腫ではなく何らかの甲状腺と周囲組織の浮腫状の腫脹と診断され、外科的血腫除去ではなく、保存的治療となった。3日後には腫脹が軽減し、抜管、6 日後に退院となった。FP-080 気管切開を施行し周術期管理を行った舌癌罹患患児の一例兵庫県立尼崎総合医療センター山長 修、黒田 光朗、山崎 倫子、木山 亮介、前川 俊、若松 拓彦、山中 秀則、進藤 一男【はじめに】小児での舌癌発症例は極めて稀である。今回舌癌を発症した患児に対し気管切開を施行し周術期管理を行った症例を経験したので報告する。【症例】14歳男児、113cm(-8.3SD)、16.2kg(-3.8SD)。出生時に多発奇形を認めたため遺伝子検査を施行したところFanconi貧血と診断。3歳時に骨髄異形成症候群を発症、5歳時に同種骨髄移植を施行され寛解状態にあった。数ヶ月前より舌に潰瘍性病変が出現、その後急速に増大してきたため生検したところ扁平上皮癌と診断、舌腫瘍切除術が予定された。術前に関係者による合同カンファレンスを施行、術後の舌腫脹による上気道閉塞を懸念し、腫瘍切除術に加えて気管切開を行う運びとなった。手術は気管切開から行い、その後舌可動部半側切除術が施行された。術翌日創部を中心に舌の腫脹が認められた。術後2日目より飲水開始、舌の腫脹が消失した5日目には経口摂取を開始した。術後7 日目に気管切開チューブを抜去。以降発声、嚥下とも問題なく経過した。【考察】成人の舌腫瘍切除術では問題となる可能性は低いが、小児では術後の舌腫脹により気道閉塞を起こす可能性がある。そのため術後は腫脹が軽減するまで挿管もしくは気管切開による気道確保を行い管理すべきであると考えられる。挿管管理とするか気管切開管理とするかは双方ともメリット、デメリットが存在するため議論の余地が残るところである。今回我々は挿管管理とした際の事故抜管に伴う気道トラブルを最も危惧したため、気管切開による気道確保を選択して周術期管理を行い良好な経過が得られた。FP-081 大動脈弁輪拡張症術後に術後縦隔血腫のため重篤な気道狭窄をきたした1 例小樽市立病院 麻酔科大槻 郁人、高桑 一登<はじめに>胸部大動脈瘤や急性A型大動脈解離のため気道狭窄が出現した症例は散見されるが,開胸術後に気道狭窄をきたした報告は少ない.今回開胸術後縦隔血腫により重篤な気道狭窄をきたした1 例を経験した.<症例>70 歳代,女性.大動脈弁輪拡張症と上行弓部大動脈瘤に対してBentall+ 上行・部分弓部人工血管置換術を施行した.手術は順調に終了しICU へ帰室した.翌朝覚醒良好であり抜管したが同日夜急激にSpO2 低下し緊急挿管となった.再挿管し気管内吸引後は速やかにSpO2改善し,喀痰排出困難による呼吸不全が疑われた.その後順調に呼吸器をウィーニングし3PODに再度抜管した.しかし抜管直後から呼吸状態悪化し,補助換気下でSpO2 60%のため再々挿管となった.挿管後もFiO2 1.0 でSpO2 85% と低値のため気管支鏡を施行したところ,左主気管支入口部近傍の気管壁が腹側から高度に圧迫されて気道閉塞をきたしている状態であった.CT 検査で人工血管置換術末梢側吻合背側近傍に血腫を認め気道を圧排していた.気道狭窄を解除するため,翌日再開胸血腫除去術を施行した.術中気管支鏡を使用し血腫除去により気道狭窄が解除されることを確認の上手術終了となった.再手術翌日抜管し以降経過は順調である.<結語>開胸術後の呼吸不全の原因として縦隔血腫による気道狭窄も念頭に置き精査加療を行う必要がある.