ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
759/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている759ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-757-FP-034 縦隔リンパ節炎穿破から波及した化膿性心外膜炎の1 例日本海総合病院 呼吸器外科渡辺 光、高森 聡、金子 昌行、鈴木 香菜、金内 直樹【はじめに】化膿性心外膜炎は致死的で急性の経過を辿る疾患であり、心外膜炎の中で0.7%と稀な疾患である。その多くは易感染性の背景を有した患者で、肺炎や膿胸からの直接伝播を起因とする症例報告がほとんどである。今回、我々は縦隔リンパ節炎穿破から波及した化膿性心外膜炎を救命し得た1 例を経験した。【症例】92 歳の女性。呼吸困難感を主訴に当院救急外来を受診。CT検査で縦隔炎及び心外膜炎を疑い、ドリペネムの点滴静注を開始し入院加療とした。抗生剤投与に反応を示さず、採血上炎症の増悪及びCT検査で心嚢液の増量を認めたため、心膜開窓持続ドレナージ術を行った。手術所見では心嚢内が膿性心嚢液で満たされており、心嚢内に連続する縦隔に膿瘍腔を認めた。心嚢液の培養からはHeamophilus aphrophilusが検出された。以上の経過から縦隔リンパ節炎穿破に伴う化膿性心外膜炎と診断した。術後は順調な経過を辿り、術後28日で退院した。【結語】化膿性心外膜炎は致死的な疾患であるにも関わらず、最善の治療についてのコンセンサスは未だに得られていない。抗生剤不応である場合、心嚢開窓術は治療選択肢として十分考慮できる点について文献的考察を加えて報告する。FP-035 当院における心臓外科手術104症例の術後感染の現状1)医療法人医誠会医誠会病院 麻酔科、2)医療法人医誠会医誠会病院 集中治療科江藤 孝史1)、田中 暢1)、鈴木 久人1)、森口 哲也2)【目的】心臓外科手術における術後感染予防対策は術後全身管理の必須事項である。ICUに専従する我々医療従事者(医師、看護師、検査技師、臨床工学技士等)にとって術後感染発症の現状を知ることは、感染予防の重要性を示す貴重なデータとして集中治療の質の更なる向上に寄与できるものと期待され、今後の術後感染対策の改善に貢献できると考えられる。【方法】今回我々は2014年1 月から2015 年3月までの期間における当院心臓外科手術104 症例(緊急手術10 例、待機手術94 例)の術後感染症発症の現状を非ランダム化、後ろ向きの臨床研究(倫理委員会承認番号H27-3)として調査した。【成績】104 症例中、術後感染(創部感染、尿路感染、肺炎、縦隔洞炎等)、術前からの診断(感染性心内膜炎)により抗菌薬を2 剤以上使用した症例は32 例(30.8%)であった。また、104例中、術後死亡は23 例(22.1%)に認め(術後1 日目~362日目)、この23 例中術後感染併発症例が8 例(7.7%。術後8 日目~60 日目に死亡。肺炎5、敗血症2、縦隔洞炎1)であった。この8例の重症因子として、緊急手術3件、透析患者2 件、術後再手術施行2件であった。この8例において術後抗菌薬は2~6剤投与し(MINOミノサイクリン4例、SBT/CPZセフォペラゾン・スルバクタム3例、CLDMクリンダマイシン2例、TAZ/PIPCタゾバクタム・ピペラシリン2例)、投与期間も8日間~43日間であった。この8 例の術後培養検査結果からは肺炎桿菌2 例、多剤耐性緑膿菌1 例、MRSA1 例が検出された。【結論】緊急手術、透析患者といった重症因子を有する症例では適切な抗菌薬投与等、術後感染対策を慎重に行い術後肺炎や敗血症等の重症化を防ぐことが術後ICU 管理に重要となる。FP-036 当院において治療を行った破傷風患者8 名の検討徳島赤十字病院 麻酔科藤本 智子、加藤 道久、福田 靖破傷風は、破傷風菌(clostridium tetani)が産生する毒素の一つである神経毒素により強直性けいれんを引き起こす感染症である。1952年に破傷風トキソイドワクチンが導入され、1968年にはジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチンの定期予防接種が開始されて以降は患者数は減少し、年間の患者報告者数は30 から50人にとどまっている。しかし依然致命率が高く、診断の遅れが予後に大きく影響するため症状から破傷風を疑ってかかることが大切であり、医療者が遭遇する機会が減少している今日、過去の症例検討は有用と考える。今回、過去5年間に当院で治療した破傷風患者8名の診療録より、受傷機転、ICU入室までの経過、臨床症状、治療経過等を検証した。また当院では痙攣の治療に低用量マグネシウム持続静注を用いており、マグネシウム投与により挿管を回避できたと考える症例が3 例存在した。文献的考察を踏まえて報告する。