ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-736-CP66-1 けいれん重積発作後に急性尿酸性腎症を来した一例1)沖縄県立中部病院 集中治療部、2)沖縄県立中部病院 腎臓内科中山 泉1)、毛利 英之1)、西岡 典宏2)、耒田 善彦2)急性尿酸性腎症は主に造血器腫瘍の急性期や化学療法開始直後に生じる高尿酸血症から進展する急性腎障害である。急速に崩壊した腫瘍細胞からの過剰な血中および尿中尿酸による尿酸結晶が腎尿細管を閉塞するとされる。一方、腫瘍崩壊や結晶性尿細管閉塞以外の機序による急性尿酸性腎症の報告も稀ながら認められる。けいれん発作後に高尿酸血症を伴う急性腎障害を来した症例を報告する。高血圧、痛風、アルコール多飲歴のある41歳男性が初回けいれん発作にて救急搬送された。病歴からアルコール離脱に伴うけいれん発作が疑われた。2回のけいれん発作後に重積状態となり、第1病日からICUにて人工呼吸管理を行った。第2病日に高尿酸血症(15.4 mg/dl)と腎機能悪化を認めた。血清クレアチニン値は0.89 mg/dl(第1病日)から4.1 mg/dl(第2病日)、10.1mg/dl(第6病日)と急激に上昇した。第3病日には無尿となり、腎機能回復まで2回の血液透析を要した。第3病日に施行した腎生検では軽度の腎硬化とわずかな尿細管炎のみが認められた。補液、血液透析、フェビキソスタットを使用し、第28 病日に入院前の腎機能まで回復した。経過中、複数の薬剤投与はあったが高度な間質性腎炎像は認められず、また横紋筋融解や低血圧など腎障害の原因は認められなかった。急激かつ可逆的な腎障害に先行して血中尿酸高値、尿中尿酸結晶の出現を認めていたことから、急性尿酸性腎症と診断した。高尿酸血症が急性腎障害を来す機序として、腎血管攣縮、血管内皮細胞障害、局所炎症による細胞浸潤などが提唱されている。病理所見では典型的な結晶性尿細管閉塞は認めなかった。今回の症例ではけいれん重積に伴う嫌気代謝環境を契機とし、高尿酸血症による非閉塞性機序から急性腎障害をきたしたと推察された。ポスターCP 66 腎臓・腎機能・血液浄化② 2月14日(日) 9:30~10:30 CPポスター会場CP66-2 MgO(マグミット錠)内服が原因と思われる高Mg血症により意識障害に至った2 症例那覇市立病院 麻酔科町田 紀昭、伊波 寛、宮田 裕史、富山 洋長期入院患者または高齢者における便秘症に対してMgO処方頻度は高いが、頻度不明の副作用として高Mg血症があり意識障害・呼吸抑制・不整脈・心停止などの症状が報告されている。治療法としてはカルシウム製剤の投与や、重症例ではICUにて全身状態の管理が必要であり人工透析も実施する必要がある。今回、定期的なMgO 内服が原因と思われる高Mg 血症にて意識障害を来した2 症例を経験したので報告する。 症例1 は69歳、男性で既往に慢性心不全、脳梗塞、高血圧などのある患者。便秘症にてMgOを処方・内服されていた。普段可能であった車椅子移乗が困難となり、意識レベルの低下を認め救急搬送となった。来院時はショックバイタルであり意識レベルはJCS200。頭部CT では明らかな異常なく血液検査にて血中Mg 値9.3mg/dlの高Mg 血症を認めたためICUにて人工透析を開始。Mg値の改善とともに意識レベルの改善を認め、その後も経過中に時折PVC散発を認める程度で致死的な不整脈の出現なくバイタルサインは安定し、血中Mg 値も正常範囲内となったためICU から一般病棟へと転棟となった。 症例2 は57歳の女性。既往に脳出血、症候性てんかん、脊髄梗塞がある患者。下半身麻痺にて自宅で訪問看護利用しながら療養中。普段から便秘症であり、MgO 内服後も排便無いため自宅で浣腸を実施。その後から泥状便が持続するため御家族が訪問看護師へ連絡し、意識レベルと低下とショックバイタルにて救急搬送となった。血液検査にて血中Mg 値8.7mg/dl の高Mg 血症を認めたため、ICU 入室し人工透析を実施。透析後に高Mg 血症の改善とともに意識レベルの改善も認めたためICUから一般病棟へ転棟となった。 MgO内服中の患者では経過中に高Mg血症を発症し意識障害を引き起こす可能性がある。そのため、原因不明の意識障害患者を診察した際には高Mg血症を疑う必要があると思われる。CP66-3 Tolvaptanにより限外濾過を回避した末期腎不全による急性肺水腫の1 例川崎病院 循環器内科竹内 庸浩、高田 昌紀症例は89歳、女性。既往歴は、狭心症、慢性閉塞性動脈硬化症、2型糖尿病、糖尿病性腎症。狭心症の入院加療中に腎機能の悪化により乏尿状態となった。著明な全身浮腫、肺水腫をきたし、呼吸状態が悪化したため集中治療室へ入室した。酸素13L 高濃度酸素投与を必要とし、代謝性アシドーシスも出現した。限外濾過の適応と考えられたが高齢のため希望されなかった。フロセミドによる利尿効果が弱く、トルバプタン15mg/ 日を併用投与開始したところ、7 日後に利尿がつき始めた。同時に、全身浮腫,肺水腫は改善し、酸素投与を中止できた。トルバプタンは新しい水利尿薬であり、他の利尿剤で効果不十分な心不全における体液貯留に対して適応がある。しかし、重度の腎機能障害を有する患者では投与経験が少ない。今回われわれは、トルバプタン投与により限外濾過を回避できた心不全を合併する末期腎不全による急性肺水腫の1例を経験したので考察を含めて報告する。