ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-733-CP64-4 VA-ECMOの際に逆行性下肢潅流法は下肢虚血を改善するか福岡大学病院 救命救急センター星野 耕大、水沼 真理子、川野 恭雅、金山 博成、鈴木 祥子、西田 武司、石倉 宏恭【はじめに】当センターではVA-ECMOの際に下肢虚血を予防するため、送血側の足背動脈に対してローラーポンプを用いた逆行性下肢潅流法を行っている。また、その際に下肢の血流評価目的に局所混合血酸素飽和度(Regional saturation of oxygen: rSO2)の測定を実施している。【対象と方法】2012 年1 月から2014 年3 月の間にVA-ECMOに対して、下肢虚血改善目的に逆行性下肢潅流法を行った10症例を対象とした。対象症例に対して、逆行性下肢潅流法前後のrSO2値を検討した。【結果】対象症例の平均年齢は41歳、男性は9例であり、全例が心肺停止症例であった。送血管のサイズは全例15Frであり、送血管の挿入部は右大腿動脈が4 例、左大腿動脈が6 例であった。逆行性下肢潅流法施行前に大腿部及び下腿部のrSO2 を送血側と非送血側で比較したところ、大腿部及び下腿部において送血側のrSO2 は非送血側と比較して低い傾向にあった(44± 19% vs 58 ± 10% ; p=0.07、36± 22% vs48 ± 20% ; p=0.22)。また、逆行性下肢潅流法前後で送血側の大腿部及び下腿部のrSO2を比較したところ、大腿部及び下腿部において施行後のrSO2 は施行前と比較して改善傾向にあった(59 ± 17% vs 44 ± 19%; p=0.09、54 ± 18% vs 36 ± 22%; p=0.05)。VAECMO施行中に下肢虚血によるトラブルを生じた症例はなかった。【考察】VA-ECMO の際にrSO2 を用いて下肢の血流を評価したところ、VA-ECMOによって送血側の下肢は虚血を呈し、逆行性下肢潅流法は送血側の下肢虚血を改善させる可能性が示唆された。CP64-5 当院でのPCPS 導入基準設定後の実態聖路加国際病院磯川 修太郎、田中 裕之、三谷 英範、鈴木 皓佳、遠矢 希、望月 俊明、太谷 典生、石松 伸一【背景】当院では心肺停止患者が搬送されてきた場合に、救急科・循環器内科などが連携して診療にあたることが多い。心肺停止患者に対するPCPSの導入基準に関しては議論が分かれるところであり、各科の連携・診療を円滑にするため、共通の基準が必要と考えた。そこで、2013年4月より当院では、1)目撃あり、2)初期波形VF、3)従来のACLS(薬剤投与、DC)に反応なし、4)目撃から来院まで30 分以内(60分以内にPCPS の確立)の4 項目を満たすものを導入の基準とした。【目的】今回、PCPS導入基準設定後の実態を調査するため、後方視的に調査を行った。【対象患者】2013年4月から2015年7月までに当院の救急外来に搬送され、来院時心肺停止状態であり、PCPS導入された患者を対象とした。【結果】対象患者は10例であった。全例が男性、目撃あり、初期波形VF、従来のACLS に反応しない症例であった。bystander CPR があったのは4 例であった。10 例のうち6 例が急性心筋梗塞による心肺停止と考えられ、その他の4例は冠動脈に原因病変は認めなかった。目撃から来院まで30分以内を満たす患者は4例、60 分以内にPCPS 確立した患者は3例で、両方を満たす症例は1 例のみであった。退院時にCPC1~2 を得られた症例は3例であり、いずれもbystander CPR があり、来院までの時間・PCPS 確立までの時間をいずれも達成できている例はなかった。【考察】bystanderCPR がある症例で神経学的な予後良好が多くみられ、早期のCPR 開始は重要と考えられた。今後、導入基準の見直しが検討される。CP64-6 ECMO(Extracorporeal Membranous Oxygenation)カニュレーションのチーム・トレーニング1)あいち小児保健医療総合センター 集中治療科、2)あいち小児保健医療総合センター 看護部、3)あいち小児保健医療総合センター 臨床工学部、4)あいち小児保健医療総合センター 救急科、5)あいち小児保健医療総合センター 循環器部池山 貴也1)、今井 一徳1)、東 見穂2)、丹羽 雄大1)、亀井 祐介3)、早川 政史3)、伊藤 友弥4)、村山 弘臣5)【はじめに】ECMOは循環不全・呼吸不全に対して集中治療室が持ちうる最後の手段であるが、その導入ではしばしば緊急で行われ、経験があるチームでなければ安全にカニュレーションを完了することは困難である。また、カニュレーション手技を行うには、乳児・小児では特に合併症に対応できる外科医が必要で普段から多職種で訓練を行う必要がある。【目的】 当センターのカニュレーションに係る、1)システムなどの改善点を同定する、2)看護師が作成した看護師用チェックリストの妥当性確認する、3)関連する人員および部署が手順を確認できるようにする。【方法】実際にカットダウンでカニュレーション可能なシリコン製の乳児カニュレーションモデルを低規格シミュレータの頸部に装着し、カニュレーションが必要な模擬患者とした。当センターの集中治療室 にて、関連部署の周知からECMO回路接続までを実際の機材・人員をできるだけ用いてシミュレーションを行った。その直後に30分程度の振り返りを行った。評価は、Likert スケールを用いた主観的評価およびアンケートを用いた。【結果】30分程度のシミュレーションで用意したシミュレータにてカットダウンを行い実際のカニューレを挿入し、ECMO回路を接続することが可能であった。参加者の満足度は高かった。Closed-loop コミュニケーションなどのチームスキルの問題が同定された。チェックリストの修正点や実際の運用法が検討された。【考察・結論】本トレーニングは実際の機材や人材を用いるため人的・物的資源も必要とするが、シミュレーションセンターやコースで行われるものよりも、実際の場所・人員・機材を用いるため、その場で行われる臨床を振り返り改善する可能性がある。一方でECMO を頻回に行うセンターの品質向上および維持するために必要な訓練及びその頻度に関して検討を行う必要がある。