ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-731-CP63-4 小児専門病院における先天性心疾患術後の離床ケア 第一報 ~離床の現状~地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立こども病院杵塚 美知【背景】術後早期離床の重要性は多く報告されているが小児領域での早期離床の必要性や方法の検討は行われていない。今回、小児専門病院の循環器集中治療室(以下、CCU)における術後離床の現状把握を行った。【目的】小児専門病院CCUにおける先天性心疾患術後の離床の現状を明らかにする。【方法】1.入室患者のデータを収集。2.看護師に対するアンケート調査。【結果】対象は2 歳以上とし、かつ術前自立歩行の獲得がない症例・術後重症例・軽症であるペースメーカー移植術などを除いた症例とした。対象は28 例で全予定手術患者(100 名)の28%であり、年齢は中央値5.3y(2.1y - 23.0y)であった。気管チューブ抜去は中央値で術後0 日目(0- 2日目)、動脈留置カテーテルおよび中心静脈留置カテーテル抜去は中央値で術後1 日目(1 - 3 日目)、CCU退室は中央値で術後2 日目(1 - 6 日目)・平均2.2 日目であった。ギャッヂアップを含めた座位は対象28 例のうち17 例(60.7%)が実施しており、立位・歩行の実施はそれぞれ13 例(46.4%)・7 例(25%)であった。アンケートではすべての看護師が術後早期離床ケアの必要性について「とてもそう思う」「そう思う」と回答したが、「年齢が高い患者が少ないためどのように離床をすすめていいかわからない」「疼痛を訴えられると進めにくい」「乳幼児が多いので離床を進めるという観点を持ちにくい」等の意見があった。術後離床ケアの実施は「よくある」15%「ときどきある」75%「ほとんどない」10%「まったくない」0%であった。【考察】小児専門病院CCUでは術後離床ケアの対象患者の割合が少ない上に年齢も幅広く、看護師はその経験の少なさから離床ケアに対する意識を持ちにくく具体的方法の習得が困難であると推測される。対象患者は滞在日数が短いため、術後離床ケアは限られた時間と条件の中で行わなければならず、ケアの質保持のためのシステムの構築が必要と考えられた。CP63-5 小児専門病院における先天性心疾患術後の離床ケア 第二報 ~早期離床プロトコールの導入~地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立こども病院杵塚 美知【背景】小児専門病院の循環器集中治療室(以下、CCU)では、術後早期離床ケアの対象患者が少なく滞在期間も短いため、看護師は離床ケアを進める意識を持ちにくく具体的方法の習得が困難であった。術後早期離床ケアを看護師主体で実施できることを目的に『心臓血管外科術後早期離床プロトコール』(以下、離床プロトコール)を作成し導入した。【目的】小児専門病院CCUにおける離床プロトコールの導入効果と課題を明らかにする。【方法】1.当院の状況に合わせた離床プロトコールを作成。早期離床についての学習会及び離床プロトコールの目的・使用方法を説明後、導入。2.導入後、看護師に対するアンケート調査。3.入室患者のデータを収集。【結果】アンケートで「離床プロトコールを使用したことがある」看護師は22.7%であった。術後離床ケアの実施が「よくある」「ときどきある」と回答した看護師の離床プロトコール使用率は14.2%であったが「ほとんどない」と回答した看護師では37.5%であった。使用した看護師の意見は「プロトコールに沿って行うことで自分の手技や判断に根拠を持って行えるため安心」「意識して離床のことを考えたり行動してみようと思うようになった」「進め方がわかりやすくなった」等があった。プロトコール導入前は離床ケア対象患者に対する座位・立位・歩行の実施率が60.7%・46.4%・25%であったのに対し、導入後は90%・60%・30%と上昇した。【考察】離床プロトコール使用率は低かったが、術後離床ケアの経験が少ない看護師にとって、術後早期離床ケアを安心して進めるためやその方法を知るために離床プロトコールは必要とされていた。導入後に患者の離床到達度が上昇したのは、離床プロトコールを含む早期離床への取り組みによって看護師の意識が向上したためと考える。今後更に離床プロトコールの活用を進めると共にその妥当性・安全性の検証が必要である。