ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-730-CP63-1 挿管患者の鎮静コントロールについて当院の現状 ~第一報~埼玉県立小児医療センター森 智史、石井 直樹【はじめに】COMFORT スケールは小児で使用されている鎮静スケールの中で一般的なものである。過去の先行研究から、小児集中治療室でCOMFORTスケール使用後に人工呼吸管理日数が減少したとの報告がある。そこで、疾患、重度心身障害者、性別、月齢、人工呼吸器管理日数および在院日数に対して、鎮静スケールを使用していない当院の現状を明らかにし人工呼吸器装着日数および在院日数が延長しているか検討し鎮静スケールの効果を判定する必要があると考えた。今回、鎮静スケール導入前の当院の現状調査を行ったため、結果を第一報として報告する。【目的】挿管患者の現状を明らかにし、鎮静スケールの効果を検討する。【結果】先行研究では術後の患者を対象としていたが、当院では主に内科系の患者を対象とし、手術室で挿管した術後の患者は対象外とした。当院で過去19ヶ月間に「救命のための気管内挿管」を算定した患者はのべ77名であった。その中で死亡(16名)、転院(6名)、気管切開または喉頭気管分離(10 名)に移行した患者および現在(2015年7 月1 日)も入院中の患者(4 名)を除くと41名であった。疾患の割合は呼吸器疾患39%、先天性心疾患24%、感染症17%、血液疾患10%、その他10%であった。男女比は21:20。重度心身障害者の割合は19.5%であった。月齢の平均値/中央値は42.5ヶ月/19ヶ月、人工呼吸器装着日数の平均値/ 中央値は10 日間/9 日間、入院日数の平均値/中央値は52 日間/49 日間であった。【考察】先行研究では鎮静スケール導入後1.5 日の人工呼吸器装着日数の短縮がみられていた。鎮静スケール導入前の先行研究と当院の人工呼吸器装着日数はそれぞれ12.5日/10日であり、2.5日の差がみられていた。改めて内科系の患者を対象とした比較が必要であるとの示唆を得た。また、先行研究においては疾患、重度心身障害者の割合、性別および在院日数に関しては情報がなく、小児特有の事情を考慮した比較が必要である。ポスターCP 63 小児・新生児③ 2月14日(日) 9:30~10:30 CPポスター会場CP63-2 小児専門病院ICU 病棟における鎮静深度スケールの開発神奈川県立こども医療センター ICU病棟村上 菜穂子、岡本 充好、赤峰 薫、行貝 有希子、永渕 弘之はじめに小児ICU病棟における安静の維持には鎮静剤を使用せざるを得ないことが多い。しかし患者の状態に適した鎮静剤の投与量でない場合、過少投与では安静を保てず、逆に過量投与では薬剤の効果が遷延し、QOLの低下を招く例が少なくない。適正な鎮静管理を行うために既存の鎮静スコアを用いた鎮静管理を試みたが、臨床使用には適さなかった。そこで今回我々は、既存の鎮静スケールを参考に鎮静深度評価スケール(kanagawa Sedation Scale:KSS)を作成し、同一患者を異なる2 名の看護師で評価することで客観的な評価が可能となるか検討した。目的 ・ICU 病棟の現状に即した鎮静深度スケールの作成 ・KSS の客観性に関して評価する方法スケール作成にあたっては、患者に刺激を与えずに判定可能である、人工呼吸器管理下にある患者にも使用可能である、術後の麻酔薬の効果が切れた際の急激な覚醒状態にも適用可能であるなどの点に注意した。覚醒、入眠の深さから鎮静スコアとして鎮静の深いものから-3~3点(7段階)の大項目に分類し、各大項目には、それぞれに具体的な状態を表記した小項目を設け、少なくとも小項目を2つ以上満たすことで大項目を選択できることとした。スコア評価は勤務交替時および患者の覚醒時とし、研究者と研究協力者の1 名ずつが対象患者1名に対して同時にスコアリングを行い、一致率を算出した。結果対象患者は事前に家族に同意を得られた心臓血管外科術後患者16名で、48回分の評価データが収集された。患者背景は、年齢の中央値(四分位範囲)は17か月(7.0~61か月)であった。全患者において何らかの鎮静剤が投与されていた。スコアリングの結果、研究者と研究協力者の評価は83.3%の場面において一致した。考察KSS は評価者の経験年数に関わらず一定の評価を得られる、概ね客観的な評価システムであることが推察されたが、より客観性の高いものにするためにブラッシュアップが必要である。CP63-3 小児術後急性期における疼痛に関する意識調査茨城県立こども病院小針 里江子、塙 恵子<はじめに>小児における術後急性期の疼痛評価は、適切に判断するスケールが無いため、その判断の妥当性は明らかではない。そこで今回私達は、看護師の術後急性期疼痛への関わりを意識調査することで、疼痛評価スケール作成への可能性を見出すことができたためここに報告する。<倫理的配慮> アンケートは無記名とし、得られた情報は本研究以外の目的では使用しないことを説明し回答をもって同意とした。<調査内容と結果> ICU 看護師24名からアンケートによる術後急性期疼痛の意識調査を行った。回収率は88%であった。調査内容は、1こどもの術後急性期疼痛の判断方法、2こどもの術後急性期疼痛への対応方法とした。1 では、新生児、乳児は、啼泣、顔色、表情、バイタルサインの変化(22 名)、分らないは(2 名)であった。学童では、本人からの訴え、家族からの訴えから(24 名)であった。2 では持続鎮痛剤投与なしの新生児、乳児、幼児、学童とも、追加指示鎮静剤の投与(24名)持続鎮痛剤投与ありの新生児、乳児、幼児では追加指示鎮痛剤の投与(14名)タッチング(9名)玩具であやす(4名)体位変換(9名)学童ではタッチング(15名)話をする(14名)体位変換(4名)であった。(複数回答)<考察> 今回特に判断の難しい新生児、乳児等の非言語小児では、表情、動作、バイタルサインの変化などから疼痛の強度を判断しており、持続鎮痛剤投与下では、追加鎮痛剤を使用するよりもタッチングなどの感覚刺激や、玩具、音楽等視聴覚刺激によって痛みから注意をそらす対応方法が積極的に行われていることが明らかになった。それは、追加鎮痛剤を使用しなくても疼痛コントロールができることを示しており、疼痛の強度によってその対応方法が選択できれば、判断の難しい小児でも適切な疼痛コントロールが可能となる。それは小児における術後疼痛評価スケール開発の可能性を示唆しており、今後開発に着手していきたい。