ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-724-CP60-1 外傷性気管後面血腫による気管圧排のため気管挿管後にも気道狭窄を来した1 例1)太田西ノ内病院 救命救急センター、2)福島県立医科大学救命救急センター千田 康之1)、佐々木 徹1)、大野 雄康2)、伊藤 文人1)、石田 時也1)【症例】69 歳男性。既往に急性心筋梗塞があり抗血小板薬2 剤服用中であった。歩行中に乗用車にはねられ数メートル飛ばされ、ショック状態で当院に救急搬送された。来院後各種検査にて、多発頚椎骨折(第4~7椎体、第7頚椎棘突起の安定型骨折)、両肺挫傷、左脛骨・腓骨放骨折、左腎損傷・左腰動脈損傷による後腹膜出血と診断された。初診時に肺挫傷による喀血を認めたためダブルルーメン気管挿管チューブにて緊急気管挿管の上、腎動脈・腰動脈塞栓術を施行。第2病日、全身麻酔下に左脛骨・腓骨の骨折の固定術を施行した。術後、活動性の喀血が無いため、シングルルーメンの気管挿管チューブに入れ替えてICUに帰室した。しかし、第4病日に人工呼吸中にもかかわらずシーソー呼吸を呈し呼吸不全に陥ったため、胸部CTを再検した。CTでは気管チューブ先端より遠位の主気管支が、気管後面血腫により圧排され狭窄を来していたため気管チューブを深く挿入して気道を確保し得た。精査するも食道・気管損傷を示唆する所見はなく、気管後面血腫は頚椎骨折由来と考えられた。その後呼吸状態は安定し、血腫は保存的に消退し、第10 病日に抜管することができた。経過は順調で、抗血小板薬内服再開後も血腫の再出現なく、第120 病日に後遺症無く独歩退院した。【考察と結語】安定型の頚椎骨折由来の気管後面血腫により気道狭窄を来した症例を経験した。外傷性の気管後面血腫で気道確保を要した報告は稀である。治療としては気道確保の上、血腫の吸収を待つ・必要に応じて出血源の手術を行うことが基本とされる。しかし、本症例のように、出血源が安定型頚椎骨折であり、気管挿管中であったにも関わらず気道狭窄を来した報告はない。特に抗血小板薬や抗凝固薬内服中の患者、肝硬変などで凝固異常を来している患者の胸部外傷の場合は、気管挿管後であっても気道閉塞が起こりえるということを考慮し厳重に観察、対応する必要がある。ポスターCP 60 気道・呼吸・呼吸管理⑨ 2月14日(日) 9:30~10:30 CPポスター会場CP60-2 体外式膜型人工肺ECMO補助下にDumon Y stentを留置し得た気管分岐部狭窄の1 例1)日本海総合病院 呼吸器外科、2)日本海総合病院 病理診断科鈴木 香菜1)、金内 直樹1)、渡辺 光1)、高森 聡1)、西田 晶子2)【はじめに】腫瘍性気道狭窄は極めて多様だが、通常の気管挿管では呼吸の安定化を確立できない症例もあり、その管理は困難を要する。今回我々は、前縦隔腫瘍により高度気道狭窄をきたし、体外式膜型人工肺(ECMO)補助下にdumon Y stent留置を行った症例を経験した。【症例】58 歳男性。2 週間前より増悪する呼吸困難感のため近医受診。低酸素血症、胸部X線で異常陰影を指摘され当院に紹介受診となった。来院時、仰臥位は困難、座位で呼吸維持している状態であった。胸部CT検査で前縦隔から広がる腫瘍性病変を認め、腫瘍の圧排による気管狭窄を認めた。仰臥位での酸素化維持が困難であるため、右大腿静脈脱血- 左大腿静脈送血にてV-V ECMO を確立しdouble lumen を挿管し気道確保を行った。第5 病日に気管狭窄部に硬性鏡を用いてDumon Ystent留置し、気管内腔が開存。翌日自発呼吸のみで酸素化維持可能なことを確認し、ECMO離脱した。【考察】気道狭窄が緩徐に進行したため、高度気道狭窄になるまで呼吸不全を呈さなかったと考えられる。挿管のみでは十分な酸素化を得られなかったが、ECMO 補助下でDumon Y stent留置を安全に施行することができた。本症例について、若干の文献的考察を加え報告する。CP60-3 喉頭腫瘍による上気道狭窄のため再挿管した急性硬膜下血腫の1 例高知赤十字病院 救急部泉 江利子、廣田 誠二、本多 康人、安岡 やよい、藤本 枝里、村上 翼、原 真也、島津 友一、山崎 浩史、西山 謹吾症例は88 歳男性。既往歴に心筋梗塞があり、抗凝固薬を内服中。意識障害のため他院へ救急搬送された。JCS 200 であり緊急気管挿管(内径8mm)され、CTで左急性硬膜下血腫を認めたため当院へ紹介搬送された。来院時意識レベルはGCS;E2VTM4、血圧133/76mmHg、脈拍89 回/ 分、SpO2 100%(酸素8L)、体温36.7℃だった。頭部CT でmidline shift を認めたため同日左急性硬膜下血腫に対し緊急開頭血腫除去術を施行した。術後1 日目、意識レベルはGCS;E3VTM6 に改善し、カフリークも問題なかったため抜管した。約5 分後から上気道狭窄を認め、さらに数分後酸素化も低下してきた。観察と再挿管目的でMcGrath を使用して喉頭展開したところ声帯に腫瘤を認めた。耳鼻科医により喉頭ファイバーで確認すると左声帯の浮腫状の腫瘤があり、前交連左後方にポリープ状の腫瘤も認めた。内径7mmのチューブで再挿管を行った。意識障害を来たした状態で搬送されたため術前の症状を確認できず、耳鼻科的に精査を行った。術後3日目に気管切開施行し、その後に同部位の生検を行った。声門の中~後方は欠損しており、同部位に壊死と思われる組織を認めた、肉眼的には外傷が疑われた。後日の病理検査で扁平上皮癌と診断され、Stage 1 T1aN0M0 であったため放射線治療を行い転院となった。挿管による声帯損傷の頻度は0.07~0.1%で左側に多いとされている。また、挿管期間が長期になるにつれ浮腫や肉芽形成の頻度は高くなる。しかし喉頭癌の発生数は癌全体の0.6%ほどで高齢男性に多いとされており、病理検査を行うことで確定診断がつくため、声帯損傷を認めた場合には悪性新生物の可能性も疑い病理検査を行うことも検討すべきと思われる。