ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-722-CP59-1 集中治療室の年間外傷患者数の増加は低い外傷死リスクと関連する東京医科歯科大学 医学部附属病院 救命救急センター白石 淳、大友 康裕【背景と目的】多くの外傷患者を入室させ外傷診療の経験に富むICUが外傷死を減らすかどうかを検討した。【デザイン】多施設共同観察研究の後ろ向き解析【データソース】日本外傷データバンク 2004-2014(N=183,457)【対象】16 歳以上の重症(InjurySeverity Score, ISS 9以上)外傷患者のうち、集中治療室に入室した対象を選択した。熱傷例と病院外心停止例は除外した。【曝露因子】対象が診療を受けた医療機関のICU における年間外傷患者入室数を算出し、その四分位を独立変数とした。【アウトカム】全ての原因による入院中死亡【統計解析】年齢、ISS、受傷機転で背景因子調整後に、ICU年間外傷患者数の四分位とアウトカムの関連をロジスティック回帰分析で解析した。【結果】合計215施設のICUから74,292例の重症外傷症例を選択した。入院中死亡は9,314例(12.5%)に生じていた。ICU年間外傷患者数の四分位範囲(1Q―4Q)は、それぞれ1ー76例、77ー127例、128ー193例、194ー723 例だった。外傷患者の入院中死亡とは、1Q がオッズ比(OR)1.19[95%信頼区間 1.11, 1.27]、2Q がOR 1.00[参照値]、3Q がOR 0.91[0.85, 0.98]、4QがOR 1.03[0.96, 1.11]とそれぞれ関連した。【結論】ICUの外傷症例年間入室数の増加はより良い生死の転帰と関連した。一方で、外傷症例年間入室数が低いICUは悪い転帰と関連している恐れがある。ポスターCP 59 外傷・熱傷 2月14日(日) 9:30~10:30 CPポスター会場CP59-2 不安定型骨盤骨折に対してTAEと内固定を併せることで良好な転帰をとった1 症例東邦大学医療センター大森病院 救命救急センター菅原 一樹、一林 亮、豊田 幸樹年、小泉 雅之、佐藤 大輔、横室 浩樹、吉原 克則、本多 満【背景】不安定型骨盤骨折では出血が問題となりTAEやガーゼパッキング、仮固定には創外固定により初期は止血を中心とした救命が行われる。救命後は骨盤の安定性の獲得早期離床や変形のない骨盤を再建する必要がある。以前は創外固定後安静が中心であったが、現在では骨盤の安定性を獲得し早期離床を図るため積極的に内固定が行われるようになってきている。【症例】67歳女性、<主訴>高所より墜落<現病歴>建物の4階から飛び降り倒れている本人を発見し家族が救急要請、当院救命救急センターに搬送となった。<Primary Survey > A:開通B:呼吸音清、左右差なし、SpO2 99%< O2 10L/min>、胸部Xp:特記事項なしC:末梢冷感あり、BP 90/60、HR 80/min 、FAST陰性、骨盤Xp:不安定型骨盤骨折(AO分類C2)ありD:GCS E3V3M6、瞳孔径左右差なし、E:BT 36.9℃< Secondary Survey >前額部挫創あり、左右大腿変形あり、左踵部打撲痕あり<来院時whole bodyCT>外傷性くも膜下出血、肝損傷(Ib)、不安定型骨盤骨折(造影剤の血管外漏出を伴う)両側大腿骨骨折を認めた<臨床経過>CT施行後より血圧低下を認め恥骨・腸骨付近の血腫量の経時的増大を認めたことからTAEを施行。TAE は両側内腸骨動脈をゼラチンスポンジで塞栓した。TAE後に創外固定を行った。第9病日に骨盤に対し腸骨・恥骨をプレート固定、両側iliac screwを挿入した。術後経過は良好で第13病日ICU退室となった。【考察】本症例は血行動態不安定の骨盤骨折であり速やかな止血が必要と判断しTAE を行う方針とした。多発外傷の患者は複数回手術を必要とすることがあり適切な時期を選択しなければ機能障害や入院期間の延長が危惧される。骨盤骨折に対する初期治療の方針、根治的手術のタイミングが今後の検討事項と考えられた。【結語】血管内治療及び手術を組み合わせることで良好な転帰をとることができた症例を経験したため報告する。CP59-3 大量輸血を必要とした外傷症例における輸血量の検討長崎大学病院 救命救急センター猪熊 孝実、井山 慶大、上木 智博、山野 修平、田島 吾郎、平尾 朋仁、野崎 義宏、山下 和範、田崎 修【目的】大量輸血を必要とした外傷症例における輸血量を明らかにする。【対象と方法】大量輸血とは第2病日までに赤血球濃厚液(RBC)10単位以上の輸血を要した状態と定義した。2013 年4 月から2014年3 月までに当院救命救急センターに入院となった外傷患者のうち大量輸血を行った患者を対象とし、患者背景、injuryseverity score(ISS)、来院時体温、来院時pH、第2 病日までの輸血投与量(RBC、新鮮凍結血漿(FFP)、血小板濃厚液(PC))、probability of survival(Ps)、転帰について検討した。輸血投与量は診療にあたった医師の裁量で決定した。【結果】観察期間内に当院救急外来を受診した4,767 人のうち救命救急センターに入院となった外傷患者は337 人であり、そのうち大量輸血を行った12人を対象とした。年齢の中央値76.5歳(24 - 86歳)、男性5人、女性7人。ISSは中央値22.5(9 - 66)。来院時、体温35.0度未満が3 人であり、そのうち1 人はpH 7.2 未満をともなっていた。輸血投与量の中央値はRBC 14 単位(10 - 56)、FFP10 単位(4 - 28)、PC 10 単位(0 - 20)であり、RBC:FFPの中央値は1:0.73(1:0.29 - 1:1.14)であった。Psは0.5未満が2 人であった。死亡は2人。1 人は墜落により受傷した75 歳の男性。来院時には低体温、アシドーシスを認めなかった。ISS 66、Ps20.4。RBC 56単位、FFP 28単位(RBC:FFP 1:0.5)、PC 10単位を投与しながら手術、TAEを行ったが、来院当日に死亡した。もう一人は75 歳の女性であり、ISS 29、Ps 84.9。出血はコントロールできたが33 病日に敗血症で死亡した。【結語】大量輸血を必要とした外傷症例について輸血量を検討した。今後はさらに症例を蓄積し効果的な輸血量を検討する予定である。