ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-721-CP58-4 薬剤熱及び薬剤性肝障害に対する当院での取り組み1)淀川キリスト教病院 薬剤部、2)淀川キリスト教病院 集中治療科、3)淀川キリスト教病院 救急科片岡 優1)、三木 豊和2,3)、山本 幸治3)、長田 俊彦3)、的井 愛紗3)、原 悠也3)、藤本 善大3)、則本 和伸3)【目的】当院においてICU頻用薬に関する発熱・肝障害発生率をマニュアルに収載し、その有用性についての検討【方法】期間はマニュアル導入前を2012 年7月から2014年6月、導入後を2014年7月から2015年7月とし、ICUに入室した全患者を対象とした。有熱は38.3℃以上とし、肝機能異常は当院入室時AST,ALTに比して1.5倍以上を示した日数を測定、他にICU在室日数、ICU退室時生存率についても検討を行った。【結果】マニュアル導入前後でのICU入室患者数は1492名と995名であった。平均有熱日数は3.3と2.6日、AST,ALT異常日数はそれぞれ2.9 と 2.6日、3.6 と3.4日であった。ICU在室日数は4.8 と4.1日、ICU退室時生存率は5.29%(79/1492)と 4.22%(42/995)であった。有意差はないもののいずれの項目も短縮傾向にあった。【考察】マニュアル導入以前は、被疑薬があれば個々の症例に関して薬剤師への問い合わせがあったが、平日時間外や土日・祝日の対応は十分ではなかった。当院ICUに対応した薬剤の一覧表を作成することにより、簡便かつ迅速に薬剤性の障害の有無を確認し、使用の続行の可否を判断する材料になり得たと考えられる。また、チーム医療の一環として薬剤師も個々の患者データをモニタリングし、またラウンドカンファレンスに参加することにより、被疑薬についての情報を共有でき、より早期の対応へ繋がったと考えられる。今後他の検査項目についても検討していく予定である。【結論】薬剤熱や薬剤性肝障害には多職種におけるサーベイランスが有用である。CP58-5 集中治療における薬剤師の処方介入データ解析済生会熊本病院 集中治療室柴田 啓智、中村 通孝、永野 雅英、高志 賢太郎、坂本 美賀子、具嶋 泰弘、前原 潤一、上杉 英之、西上 和宏、中尾 浩一【目的】医療スタッフの協働・連携によるチーム医療が国の指針として示される中、薬剤師が主体的に薬物療法に参加することが求められている。集中治療室(以下、ICU)では、薬剤師がチームの一員として治療に参加することにさまざまなメリットのあることが米国で証明されている。済生会熊本病院(以下、当院)では、ICU に専従の薬剤師1 名を配置し病棟業務を行っているが、特に処方介入情報のデータベース化に取り組んでおり、その蓄積・解析を行っている。今回我々は、ICUにおける薬剤師の処方介入の詳細について分析を行ったので報告する。【方法】2014年7月から2015年6月の1年間を調査期間とした。薬剤師が処方介入を行った際、電子カルテに記載する情報を抽出し、器官系統別に解析を行った。加えて、薬剤名、投与量、投与期間、薬剤選択など具体的な介入内容について解析を行った。【結果】1年間の調査期間において、薬剤師の処方介入件数は622件であり、そのうち359件(57.7%)が専従薬剤師による介入であった。専従薬剤師による介入は、感染(17.8%)、代謝(15.3%)、循環(14.8%)に関する介入が多かった。感染における抗菌薬投与に関しては、増量が39.7%と最も高く、ついで抗菌薬の追加が25.4%、変更が15.9%、減量は4.8%という結果であった。介入した薬剤数は175 剤であり、回数の多い薬剤はフェブキソスタット、セファゾリン、酪酸菌製剤、アスピリン、リコンビナントトロンボモジュリン、ロスバスタチンなどであった。年間1 件のみ処方介入を行った薬剤は全体の54%をしめた。【考察】ICU における処方介入は専従薬剤師が大きな割合を占めることが明らかとなった。介入薬剤や介入内容は多岐にわたり、ICU薬剤師は幅広い薬剤知識と集中治療そのものに関する専門的な知識の併有が必要であることが考えられた。介入件数は未だ少なく、集中治療における薬剤師教育が今後の課題である。CP58-6 当院ICU常駐薬剤師による治療計画への関わり1)公立陶生病院 医療技術局 薬剤部、2)公立陶生病院 看護局、3)公立陶生病院 医局 救急部河村 隆登1)、伊藤 雄紀1)、和田 絵里香1)、山田 哲也1)、濱本 実也2)、川瀬 正樹3)、鷹見 繁宏1)【目的】近年、集中治療領域においてチーム医療の質の向上が望まれており、ICUに薬剤師を配置する施設が増加している。しかし、ICUでの治療計画に対する薬剤師の関わりを述べた報告は少なく、各施設において薬剤師がどのような観点からアプローチを行っているのかは明確ではない。今回、薬剤師が常駐することによって治療計画に対してどのような介入をもたらし、それらの介入は薬剤師の常駐年数によって量的または質的に変化するのかを調査したので報告する。【方法】薬剤師がICU常駐を開始した2013年8月から2015年7月を対象としてICUスタッフとの間で行われた治療計画への介入を記録した。これらをICUスタッフからの質問に対する応答(以下、受動的介入)または薬剤師からの積極的な提案(以下、能動的介入)に分類し、各介入における医師・看護師の割合を調査した。受動的介入については職種ごとの質問内容とその割合を調査した。また、能動的介入のうち治療計画が変更となった提案について常駐1年目と2年目で1000患者当たりの件数/ICU入院日数を比較した。【成績】受動的介入における医師・看護師の割合はそれぞれ57.7%、42.3%であった。医師からは薬剤投与量・速度・濃度の調節に関する質問が51.1%、看護師からは配合変化・点滴ルートに関する質問が88.1%を占めていた。能動的介入では医師への提案が91.4%を占め、薬剤の開始・中止・変更に関する内容が最も多かった。さらにこれらは常駐1 年目に比べ2 年目において有意に増加していた(p< 0.05 )。【結論】受動的介入における医師・看護師の割合は同程度であったが、職種によって薬剤師に期待する内容に違いが見られた。また、薬剤師はICUに常駐することで多職種連携と患者の病態把握が容易になり、それらの情報が薬剤の必要性や選択肢に関するアセスメントを可能にしていると考えられた。さらにこれらは常駐年数の変化に伴って向上することが明らかとなった。