ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-718-CP57-1 当院PICUにおける品質評価指標としての事故抜管の検討東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部森本 健司、本村 誠、居石 崇志、渡邉 伊知郎、中山 祐子、新津 健裕、齊藤 修、清水 直樹【背景】事故抜管(Accidental Extubation 以下、AE)は小児集中治療室(Paediatric Intensive Care Unit 以下、PICU)における重要な品質指標と報告されている。AEの原因として不十分な患者看護師比、不十分な鎮静などが挙げられているが、AEの発症頻度と共にその実情についてわが国からの報告は少ない【目的】当院ICUでのAEについて後方視的に検討する【方法】期間は2013 年4 月から2015 年3 月の2 年間。ICU入室患者を対象に総気管挿管日数、AE数、AE の症例背景を後方視的に検討し、また看護体制の異なるPICU と高度治療室(High Care Unit 以下、HCU)のAE について比較を行った。気管切開術後症例は除外した【結果】総対象患者数1477名、総気管挿管日数4146 日、AE5 例、AE率0.12/100 ventilation daysであったAE症例において性別は男児3例 女児2例、疾患内訳は呼吸器疾患4 例 神経筋疾患1例、AE原因内訳は不十分な患者看護師比4例不十分な鎮静1 例であったPICU とHCU においては、PICU でAE2 例(0.065/100 ventilation days)、HCU でAE3 例(0.27/100 ventilation days)、PICU:HCU=0.065:0.27でp=0.078 であった【考察】当院PICUでのAE率は0.12/100 ventilation days で過去の報告と比較して低かった。AEの原因は不十分な患者看護師比による例が多く、さらに患者看護師比の高いPICUにおいてより少ない傾向が見られた。十分な人員確保を行うことでAE発生率を減らすことができ、PICUの品質向上につながる可能性がある【結語】本発表では、AEについて文献的考察を加えて報告する予定であるポスターCP 57 保守管理・医療安全① 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP57-2 予期せぬ院内死亡症例を抽出するためのアドレナリン使用例の検討1)北里大学 医学部 救命救急医学、2)北里大学病院 RST/RRT室、3)北里大学 医学部 麻酔科学、4)北里大学 医学部付属 新世紀医療開発センター服部 潤1)、小池 朋孝2)、森安 恵実2)、黒岩 政之3)、新井 正康4)、浅利 靖1)【はじめに】予期せぬ院内死亡症例を減らすために、当院では集中治療部門のRRS、救急部門のCode blueというシステムを稼働している。これらのシステムは「呼ばれる」ことで機能するものであり、システムを起動せずに亡くなった症例については知りえない事も多かった。また院内リスクマネジメント委員会では予期せぬ死亡症例についての検討も行われるため、症例を抽出する事が課題となっていた。今回、RRS、Code blue起動例以外の「予期せぬ死亡が考えられる」症例を抽出する方法、得られた症例について検討した。【方法】一か月の入院患者に対して、アドレナリンが使用された患者を抽出。死亡退院が入院後一日以内、入院当日のアドレナリン使用、診療録に死亡の可能性が記載、死亡の可能性が説明されている、症例を除外した数を「予期せぬ死亡が考えられる症例」とした。【結果】アドレナリン使用例から抽出した症例数は連続する4ヵ月間で0,4,2,1 例であった。【考察】同時期のCode blue起動例から抽出した「予期せぬ死亡が考えられる症例」数は2,2,2,1 例であり、アドレナリン使用例と解離を認める部分があった。薬剤請求が成されていない症例もあり、アドレナリン使用例単独では全ての「予期せぬ死亡が考えられる」症例を網羅出来ていない。しかし、RRS やCode blue が起動されなかった死亡例も抽出出来た。従って予期せぬ院内死亡例を抽出するためには、双方の検討が必要と考えられた。【結語】予期せぬ院内死亡症例を抽出するためにアドレナリン使用例を検討することは有用だが、RRS、Code blue 起動例との検討が必要である。CP57-3 病院全館停電時の対応1)市立奈良病院 集中治療部、2)市立奈良病院 麻酔科、3)奈良県立医科大学 医療安全推進室後藤 安宣1)、呉原 弘吉2)、沖田 寿一2)、椿 康輔2)、西和田 史子2)、立野 里織1)、川口 竜助1)、安宅 一晃3)停電時の対応は災害訓練などで取り上げたりマニュアルを作成したりすることはあるが、実際に病院が停電となることはまれな事象と考えられる.今回、我々の病院で実際に停電が発生しICU としての対応の検証を行ったので報告する. 8 月某日、10 時21分に病院全館停電が発生.2 系統による送電システムのうちの1系統が送電に関する事故で機能せず、約10秒後に残る1系統に切り替わった.6床運用のICUで当時6名の患者が入室、人工呼吸器4台、CHDF2台、IABP1台が稼働中で、輸液ポンプ8台、シリンジポンプ15台使用中であったが、無停電電源装置接続によりアラームやトラブルはなかった.臨床工学技士・看護師とともに患者が安全である事を確認出来しだい(約2分後)事務へ連絡しICUの現状報告を行った.ベッドサイドモニターは問題なく稼働していたが、セントラルモニターの1台が復旧せず、UPS 装置に問題があることが判明した.諸手続きののち約3時間後に復旧.今回の停電は常設線が事故のため約4分間断線していたが、予備線との2系統で受電しており10数秒で切り替わり、重大な問題にはいたらなかったと考えられる.病院内では、エレベーターや放射線診療部、電子カルテやインターネット環境への対応も迫られたが、13 時15分には全ての問題が解決した. 集中治療部で検討し以下の問題点があげられた.1.指示命令系統の機能不全.(マニュアルの理解不足)2.自家発電時の準備・体制についての認識.3.輸血製剤保管庫、冷所保存用の薬品庫などのチェック.4.看護部はパートナーシップ体制をとっているが、パートナー間での情報共有がうまくいかなかった.後日、部内で検証し対策を講じたので報告する.