ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-717-CP56-4 集中治療室におけるフットポンプのせん妄リスクの検討1)東京ベイ浦安市川医療センター 集中治療科、2)聖マリアンナ医科大学 救急医学岡本 賢太郎1)、川口 剛史1,2)、片岡 惇1)、内藤 貴基1)、藤谷 茂樹1,2)、則末 泰博1)【背景】集中治療室(ICU)においてせん妄は一般病棟同様の30%から、はるかに高い80%と発症率に関しては数値の幅がある。しかし一般病棟と同様に、せん妄の発症はICU滞在期間を延長するだけでなく、生命予後を悪化させることがすでに報告されている。近年ICUにおいてせん妄のリスクとされている因子の数は100以上存在する。【目的】現在ICUにおいて深部静脈血栓症(deepvenous thrombosis;DVT)予防目的にフットポンプ(intermittent pneumatic compression;IPC)が使用されている。DVT 予防の効果に関してのエビデンスは脳梗塞患者などに限られているが、低分子ヘパリン等が使用出来ない患者においての手段の一つとして広く普及している。現時点で先行研究においては示唆されてはいないが、このIPC による定期的な刺激がせん妄のリスクファクターとなるかどうかの検討を行った。【方法】2015/7/13-8/22の期間で当院ICUに入室した61人の患者うち、IPCを装着した群と装着しなかった群の2群に分けて検討を行った。年齢は平均68.1±15.1歳、性別は男性55.7%(34/61)、APACHE2は平均20.0±7.1、CAM-ICU 陽性率は39.3%(24/61)、人工呼吸器使用期間は平均2.4 ± 3.1 日、IPC 装着期間は平均3.2 ± 3.8 日であった。先行研究を参考にCAM-ICUに関して、年齢・APACHE2・IPC 装着日数を交絡因子として多変量解析を行った。【結論】結果としてIPC装着日数は、CAM-ICU 陽性に関して有意な関連を認めた(p=0.017, odds 比= 1.23, 95%CI:1.04-1.46)。本研究は後ろ向き観察研究の限界があり、IPCが睡眠を障害するなどの間接的なせん妄のリスクである可能性も否定は出来ない。しかし、本研究ではICUにおいてせん妄予防を検討する際に、IPCもリスクとして考慮する必要性があることが示唆された。本会においてはサンプルサイズを増やし、先行研究で示されているその他の主要なせん妄の因子も追加して発表を行う。CP56-5 集中治療室内での睡眠自己評価と一般病棟転棟後のせん妄発生についての関連 -術後患者での検討-1)福山市民病院 麻酔科・がんペインクリニック、2)福山市民病院 中央手術部集中治療室石井 賢造1)、小野 和身1)、日高 秀邦1)、小山 祐介1)、田口 真也1)、岡崎 信樹1)、山下 千明1)、白河 千加子1)、木村 由佳2)、柿原 由佳2)【背景】手術後のせん妄は患者の予後にも影響する重要な課題であり,集中治療室のみならず一般病棟でも問題となることが多い【目的】中央手術部集中治療室(以下ICU)での睡眠自己評価と一般病棟転棟後のせん妄の関連性について調査する【方法】前向き観察研究。調査期間は2014年9月と10月の2カ月間。当ICUに入室した手術後患者において前日の睡眠の程度を患者本人への質問形式で5段階(1~5,1:不眠,5:良眠)で自己評価。また,一般病棟転棟後7 日間のせん妄発生について調査した。一般病棟転棟後のせん妄は精神科紹介または抗精神病薬が投与された患者を手術後7日間まで抽出し、それらの症例について個別に診療録からせん妄の有無を判断した。また,ICU内でのせん妄発生(ICDSC,CAM-ICUで評価),他のせん妄発生要因についても調査した。統計解析にはMann-Whitney U test、Chi-squared test,ロジスティック回帰分析を用いた【結果】症例数は160 例。聴取した睡眠自己評価の結果は1:16例,2:21例,3:57例,4:24例,5:31例.一般病棟転出後のせん妄患者は22例(13.8%)であった。せん妄群と非せん妄群に分けて睡眠自己評価について統計学的に検討したところ,単変量解析ではせん妄群の方が有意に眠れたと答えた患者の割合が高かった(中央値:非せん妄群=3 せん妄群=4)。同様にICU 内でのせん妄発生と睡眠自己評価について検討したところ,睡眠の自己評価には差が無かった。また,ロジスティック回帰分析を用いて他のせん妄発生要因(せん妄既往,ICDSCの得点,ASA-PS,JSAによる年齢分類)で調整したところ,一般病棟でのせん妄発生とICU内での睡眠自己評価に関連性は認めなかった(オッズ比1.718,95%信頼区間0.987-2.989)【結語】ICUでの睡眠と一般病棟転棟後のせん妄発生について調査した。両者に関連性は認められなかったが,一般病棟でせん妄を発生する患者は集中治療室内では眠れたと答える傾向がある。CP56-6 小児ICU専従理学療法士配置によるリハビリ実施率の向上1)国立成育医療研究センター 集中治療科、2)国立成育医療研究センター リハビリテーション科、3)国立成育医療研究センター 看護部壷井 伯彦1)、林 健一郎1)、並木 亮2)、稲元 未来3)、金子 節志3)、江藤 瑞貴3)、福原 由香3)、上久保 毅2)、橋本 圭司2)、中川 聡1)【はじめに】当センター小児ICU(PICU)では、重篤小児に対する早期リハビリを推進している。2015 年より、PICU専従理学療法士(PT)を配置した。【方法】PICU専従PT配置前の2014年6-12月と、配置後の2015年6-12月(抄録作成時点では6-8月)の期間で、1ヶ月あたりのPICU内および一般病棟内の理学療法実施患者数、延べ件数、単位数を比較し、専従PT配置により得られた効果を検証した。【結果】PICU専従PT配置後、PICU 内と一般病棟内の双方で1ヶ月あたりの理学療法実施患者数、延べ件数、総単位数が増加した。結果として専従PT 配置にかかった費用を上回る病院増収が見込まれた。【考察】PICU 専従PT の配置により病院増収が見込まれた。PT 全体のマンパワー増加に伴い、PICU 内だけではなく一般病棟内での理学療法も増加した。また、直接的な増収という面以外にも、PICU 内でのチーム医療が促進され、集中治療科医およびPICU 看護師の早期リハビリに対する理解が深まった。