ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-716-CP56-1 HRV をもちいた、ICUベッドのポジションが自律神経活性に与える効果の解析1)埼玉医科大学 総合医療センター 高度救命救急センター、2)日本医療科学大学 保健医療学部 看護学科間藤 卓1)、中田 一之1)、山口 充1)、大井 秀則1)、大瀧 聡1)、奈倉 武朗1)、杉浦 潤1)、有馬 史一1)、土屋 守克2)、杉山 聡1)フルチェアポジションなど各種ポジションがとれる、呼吸機能の改善や術後早期離床に配慮した高機能ICU ベッドは、集中治療領域において普及しつつある器具の一つであるが、その効果についての客観的評価は少ない。我々は、我々は心電図R波を用いた心拍変動を周波数解析する方法:HRV(Heart Rate Variability)の一つであるFluclet解析法(長岡実業)を用いて、高機能ICUベッド(トータルケアSpO2RT;パラマウントベッド)の各ポジションによる自律神経機能活動評価を測定し、その臨床的意義の検討を試みた。【方法】ベッドサイドモニターなどから得られた心電図記録をPCに取り込みFlucletを用いて解析し、自律神経活動をLF成分(交感神経)、HF成分(副交感神経)などに分けて経時的に解析し、記録されたベッドのポジションとの関連を検討した。【結果と考察】ICU ベッドのポジションによってHRV の変化は異なっていたが、患者毎にその程度は異なっていた。特にチルトポジションやフルチェアポジションはその変化が大きく、成分別ではLF > HF の傾向であった。経時的な変化では、興味深いことにポジション変更直後に一時的に変化する成分と、同じポジションを続けていると増加/低下する成分に分けられる傾向が見られた。これらを検討することでICU ベッドの評価とともに、患者病態に適したポジションの選択や継続時間などの示標が得られる可能性があると考えられた。ポスターCP 56 鎮静・鎮痛・せん妄・早期離床⑤ 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP56-2 重症慢性閉塞性肺疾患の患者に対するラメルテオンの使用経験と自律神経活動への影響1)愛知医科大学医学部麻酔科学講座、2)愛知医科大学病院周術期集中治療部藤原 祥裕1)、藤田 義人2)、小松 徹1)、安藤 一雄1)、吉野 博子1)、安田 吉孝1)、中村 絵美1)、住江 百合1)、木下 浩之1)、畠山 登2)重症慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)の患者に対する鎮静薬・睡眠薬の使用は呼吸抑制によるCO2ナルコーシスを誘発する可能性がある。今回、われわれは重症COPDを有する患者の術後管理にメラトニン受容体作動薬ラメルテオンを使用するとともに、心拍変動解析により自律神経活動への影響を解析したので報告する。症例: 71歳女性、身長152cm体重30kg。転倒による右大腿骨頸部骨折に対し緊急手術が予定された。以前よりCOPDの診断で、チオトロピウム、ブデソニド、プロカテロールの吸入を行っていたが、会話するだけで呼吸困難がひどくなり、ひとりでの歩行は不可能であった。呼吸機能検査上、肺活量1740ml、1 秒量440ml、一秒率35%と高度の閉塞性障害を認め、術前の動脈血液ガス分析では、1L/分の経鼻酸素吸入下でpH7.339、PaCO264.8mmHg、PaO2 74.3mmHg、BE 6.4であった。 全身麻酔による呼吸機能の悪化を懸念し、手術は脊髄くも膜下麻酔下におこなわれた。術後全身管理のため患者は周術期ICUに入室した。夜間、40回/分以上の頻呼吸となり経皮的酸素飽和度(以下SpO2)は90%前後であった。呼吸困難の増悪によって患者は不眠を訴え、興奮気味になったため、ラメルテオン8mg を内服した。30分後より、患者は傾眠となり4時間ほど睡眠した。その間呼吸回数は20回前後に減少し、SpO2はむしろ94-100%に上昇し、高炭酸ガス血症はPaCO2 48.6mmHgと改善した。事後、生体情報モニターより自動記録されている心電図波形を用いて心拍変動周波数解析を行った。自律神経バランスの指標とされるLF/HF は内服によって1.25から0.99に低下し、副交感神経活動が優位な状態になったことが示唆された。 ラメルテオンは重症COPDの患者でも呼吸抑制を起こすことなく良好な睡眠をもたらし、交感神経活動の抑制と呼吸回数の減少を通じた有効肺胞換気の増加によって肺のガス交換を改善する可能性があると考えられる。CP56-3 術後患者に対する薬液投与用ルーメン付き尿道カテーテルの使用経験愛媛県立中央病院 麻酔科首藤 聡子、飛田 文、原田 佳実、矢野 雅起、藤谷 太郎外科系術後にICUに入室する患者に対して、薬液注入ルーメン付き膀胱留置用フォーリーシリコンカテーテル(NMOC-3WAY カテーテル TM、富士システムズ株式会社)(以下3WAYカテーテル)を用いて、その有用性を検討した。対象:全身麻酔下の手術で3WAYカテーテルを使用され、ICU に入室した男性患者53名(17歳から85 歳)の尿道カテーテルに対する痛みや尿意の訴えを後ろ向きに調査した。方法:患者は麻酔覚醒前に、3WAYカテーテルの薬液注入口から2%リドカイン10ml を投与された。麻酔覚醒直後、ICU入室直後、ICU入室2時間、4時間、6 時間、ICU退室時の各時間帯での、尿意や違和感など尿道カテーテルに対する訴えの内容と尿道カテーテルの痛み(NRSで評価)を調査した。結果:すべての調査時間帯で、多少ばらつきはあるものの約90%の患者が痛みはNRSで0 または1 であると答えていた。また、同じくすべての時間帯で、約90%の患者が、尿道カテーテルは気にならないと答えていた。この状態はICU 退室時までほぼ維持されていた。考察:3WAY カテーテルは、尿道全体に表面麻酔を行うことで尿道カテーテルの痛みを軽減する目的で開発された。実際、ICUに入室した術後患者に用いたところ、大部分の患者が尿意や痛みを訴えなかった。また、麻酔覚醒前の1 回の注入でICU退室時まで訴えのない患者が多数を占めた。ICUでの術後患者は、創部痛や多数のカテーテルの挿入によるストレスから不穏になることもあり、3WAY カテーテルを用いて尿道カテーテルの刺激をとることは、ストレス軽減の一助になると考えられた。