ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-713-CP54-4 頚髄損傷後に機械的排痰補助装置を使用した3 症例1)公立陶生病院 中央リハビリテーション部、2)公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科、3)公立陶生病院 臨床工学部、4)公立陶生病院 集中治療部長江 優介1)、横山 俊樹2)、平澤 純1)、小山 昌利3)、川瀬 正樹4)【はじめに】機械的排痰補助装置(以下、カフアシスト)は、小児や神経筋疾患の排痰に有用とされているが、近年集中治療領域でも有用性が報告されている。今回、頚髄損傷後の排痰補助にカフアシストを用いた3 症例を経験したので報告する。【症例】40代(症例1)、70代(症例2)、60代(症例3)の男性で、いずれもFrankel分類Aで自発呼吸は温存、呼吸器疾患の既往歴なし。全症例で理学療法(以下、PT)介入時にPeak Cough Flow(以下、PCF)を評価した。症例1 はC6/7 頚髄損傷で第2 病日に後方固定術を施行し抜管。同日、去痰不全による無気肺で酸素化悪化し再挿管。気管支鏡にて吸痰。第3 病日にPT 介入。PCF75.6L/min でカフアシストを導入した。その後無気肺は改善し、第24 病日にICU 退室。症例2 はC4-7 頚髄損傷で、第2 病日のハローベスト固定中に去痰不全による酸素化悪化で挿管。指示動作困難で気管支鏡にて吸痰。第4病日にPT介入。PCF64.2L/minでカフアシストを導入し、第17病日にICU退室。症例1 および2 は看護師と協力しカフアシストを1 日複数回実施し、経過中に気管切開となった後も継続した。カフアシスト導入後は気管支鏡による吸痰は必要とせず、気管吸引で吸痰可能となり低酸素防止が可能であった。症例3 はC6/7 頚髄損傷で第2病日に後方固定術施行。第3 病日の抜管前にPT介入。PCF58.8L/min で抜管後の合併症予防目的にカフアシスト導入。再挿管や肺合併症なく第5 病日にICU退室。【考察】PCF160L/min以下では喀痰排出が困難とされているが、カフアシストを用いることで排痰が可能となったと思われる。【まとめ】頚髄損傷症例に対しPCFを評価の下、カフアシストを導入した。その結果、気管支鏡による吸痰を必要とせず、肺合併症による再挿管なくICU 退室に至った。CP54-5 精神機能に着目した作業療法の急性大動脈解離術後ARDS患者への効果1)佐久総合病院佐久医療センター 作業療法科、2)佐久総合病院佐久医療センター 理学療法科、3)佐久総合病院佐久医療センター 救命救急センター左嵜 壮一郎1)、松本 武志2)、渡部 修3)【はじめに】人工呼吸器管理患者の精神機能に着目した報告は少ない.今回,急性大動脈解離術後,ARDSを呈し長期人工呼吸器管理を要した症例において,術後早期からの作業療法(以下OT)施行により精神機能の維持に繋がった症例を経験したのでここに報告する.【症例紹介】74歳男性.近医入院中に急性大動脈解離を認めたため当院転院.同日,大動脈弓部全置換術を施行した.OTでは運動機能への介入に加え,精神機能の維持を目標に散歩による認知機能賦活やADL 拡大による抑うつ状態の改善を図った.【作業療法経過】第13 病日よりOT開始.開始時,GCS E4VTM6.意思表出は筆談,文字盤にて可能.基本動作は軽介助にて端座位まで可能だが,人工呼吸器やルート類による活動制限は大きく,PT,OT介入時以外は臥床状態.ADLはFIM30/126(運動:13/91,認知:17/35)と全介助であり基本動作能力が活かされていなかった.精神機能面では表情は暗く,OT にも消極的であった.認知機能賦活を目的に人工呼吸器管理下での散歩を第27 病日より継続的に行い,時間感覚や季節感を刺激した.抑うつ状態の改善を目的に,第36病日口腔ケア,第41病日髭剃り,第44病日上肢・体幹前面の清拭,第55病日尿器の使用,第58病日食事摂取を開始し,Nsと連携しADLを拡大した.第79病日ICU退室時,軽介助にて立位,移乗が可能となり,FIM56/126(運動:30/91,認知:26/35)と入浴以外のADLは見守りから一部介助へと改善した.表情は穏やかで笑顔を見せる場面も増え,「歩けるようになりたい.」等前向きな発言が聞かれるまでになった.第210 病日リハビリテーション病院退院後,現在はHOT を使用しADL 自立にて自宅生活を送られている.【まとめ】ICUにおいても,OT の主たる役割は他の領域と変わらず精神機能の改善,ADLの改善にある.チーム医療の中で術後早期のICU 入室中からOT を施行することが症例の回復に寄与した可能性があり有益であると考えられた.CP54-6 ARDS患者の退院時ADLについての報告 第4 報 体重減少と早期離床との関連について1)東京女子医科大学 リハビリテーション部、2)東京女子医科大学 麻酔科学教室 集中治療部、3)東京女子医科大学 リハビリテーション科工藤 弦1)、堀部 達也1)、増山 素道1)、後藤 圭介1)、菊地 剛1)、齋藤 岳志1)、筧 慎吾1)、内田 政行1)、小谷 透2)、猪飼 哲夫3)【目的・背景】ARDS患者のICU退室時には著しい体重減少と、長期において機能障害が継続することが先行研究で報告されている。今回我々はICU 退室時の体重減少に着目し、ICU での早期離床、退院時ADL との関連について検討したので報告する。【対象】2007年~2014年までの期間、集中治療医により呼吸管理され生存退院したARDS 患者で、入院前のADL が自立しICU 退室時までの体重変化が追えた24名。全例ICU入室時よりリハビリテーション(以下リハ)が行われた。【方法】体重変化はICU入室時から退室時までの変化とし、退院時のADL はBarthel Index(以下BI)、ICU 退室時の基本動作能力はFSS-ICU を用いた。重症度として入室時APACHE 2スコア、人工呼吸期間(以下DOV)、ICU滞在日数(以下LOS ICU)を、離床項目は端座位、立位、歩行開始日としてカルテより後方視的に抽出し、体重変化との関連を調査した。統計学的危険水準はp<0.05 とした。【結果】ICU退室時の体重変化は中央値で-4.8%と減少し、ARDS 重症度ではsevere 群-9.6%、moderate 群-2.7%、mild 群+8.2%と、有意ではないが重症な程減少傾向が見られた。APACHE2 スコア、DOV、LOS ICU はそれぞれ中央値にて23 点、14 日、18.5 日であった。体重変化は重症度項目とは有意な相関は見られなかったが、離床項目の立位開始日ならびにBIとの間に有意な負の相関がみられた。歩行開始日は早期開始ほど体重減少が少ない傾向であったが、有意ではなかった。体重変化は単回帰分析でも同様に立位開始日とBIで間に有意な相関を認めた。【考察】本研究の結果から重症度よりも立位開始時期が体重減少に影響することが明らかとなった。入室中の体重減少は退院時ADLの予測因子となる可能性がある。ARDS発症前の状態が立位開始に与えた影響について検討を要する。【結語】ARDS患者のICU 管理中の体重減少はICUでの立位開始と関連し、退院時ADLに影響することが示唆された。