ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-702-CP49-1 97歳女性- 下部消化管穿孔・敗血症ショックの1 救命例-1)佐賀県医療センター好生館 集中治療部、2)佐賀県医療センター 好生館 救急部古賀 美佳1)、牟田 隆則2)、中村 覚粛2)、吉富 有哉2)、佐藤 友子2)、三溝 慎次1)【症例】97歳女性。ADLは自立していたが,3ヶ月前より誤嚥性肺炎,子宮瘤膿腫,低アルブミン血症等で入転院を繰り返していた。前医にて直腸ポリープ重積に対するEMR 施行後,発熱および腹痛が出現し,CT上S状結腸穿孔を認め当院に救急搬送となった。来院時E4V4M6,血圧113/74mmHg,脈拍130/ 分(心房細動),呼吸数24/ 分,SpO298%(O2 2L/ 分鼻カニューレ),体温37.9℃であり,APACHE2スコア14,SOFAスコア9であった。緊急手術を行ったところ,腹水は明らかに便汁様で,S状結腸はほぼ断裂状態であったため,洗浄を行い人工肛門を造設し手術を終了した。術中,循環動態不安定となり輸液負荷を行い,昇圧薬を投与し,人工呼吸器管理のままICU入室となった。入室後,エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)および持続的血液濾過透析(PMMA-CHDF)を施行し,ステロイド,γグロブリン製剤を投与した。抗菌薬は,ESBL 産生大腸菌の検出既往があり,院内発症の2次性腹膜炎であることからメロペネム,バンコマイシンを選択,DICにはrTMとAT製剤を投与した。また,加齢に伴う拡張障害に加え,敗血症性心筋症による心機能低下を認めたため,肺動脈カテーテルによる循環管理を行った。徐々に全身状態の改善を認め,入室9日目に抜管,10日目にCHDFを離脱,20日目にICUを退室した。【考察】近年,超高齢者(85歳以上)の敗血症,ICU 入室例が増加している。敗血症による死亡例の約80%は65歳以上であり,年齢は敗血症死亡のリスクファクターの1つである。今回,適切な集学的治療により救命しえた超高齢の敗血症ショック症例を経験した。年齢だけで必要な手術や治療を躊躇するのではなく,個々の背景や全身状態を十分に考慮した治療方針を立て救命に繋げることが重要である。ポスターCP 49 高齢者 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP49-2 高齢者に発症した破傷風の3 例1)水戸協同病院 総合診療科、2)水戸協同病院 救急・集中治療科、3)筑波大学大学院 人間総合科学研究科、4)水戸協同病院 グローバルヘルスセンター感染症科、5)順天堂大学付属順天堂医院 総合診療科五十野 博基1,3)、宮上 泰樹5)、片山 皓太1)、五十野 桃子1)、長谷川 隆一2)、矢野 晴美4)、小林 裕幸1)破傷風は、Clostridium tetani が産生する毒素により引き起こされる感染症である。Clostridium tetani は芽胞の形で土壌中に広く常在し、 創傷部位から体内に侵入する。日本では年間100 例前後の患者数と10 名弱の死亡数が報告されている。今回我々は、80歳以上の高齢患者に発症した破傷風の3例を報告する。症例のうち1例は外傷歴がなく、初発症状が嚥下困難であった。2例は庭仕事中の受傷あり、潜伏期は4日、5日であった。全例で当院来院時には開口障害を認め、ワクチン接種歴も無いため、破傷風と臨床診断した。ICUに入室させ、免疫療法、感染巣コントロール、全身管理を行い、2週間以内に気管切開を施行した。呼吸器離脱までの期間は2 例で18日と60 日を要し、1 例は離脱困難であった。3 例とも救命したが、筋痙攣治療の深鎮静で長期臥床となり、廃用は進行した。その結果、基礎疾患は無く、入院前のADL は自立していたにも関わらず、入院期間は38 日、101日、151 日で、自宅に退院したのは1 例であった。高齢者の破傷風治療は長期化し、救命したとしてもADLは著明に低下する。一方で、破傷風はワクチン接種によって予防可能な疾患である。DPTワクチンの導入以前に出生した年齢層や、追加接種を受けていない成人に対する破傷風ワクチンの普及が予防に重要である。CP49-3 当院の高齢者MRSA肺炎における、バンコマイシンとリネゾリドの比較1)国立病院機構災害医療センター、2)香川大学医学部付属病院救命救急センター高田 浩明1)、一二三 亨2)、金子 真由子1)、金村 剛宗1)、吉岡 早戸1)、加藤 宏1)、小井土 雄一1)【背景と目的】肺炎は本邦死因別死亡率第3 位の疾患で、高齢化に伴い増加を続けると考えられ、なかでも高齢者院内肺炎は非常に死亡率の高い重症疾患である。また、医療関連感染症の代表的起因菌はMRSA であり、疾患別割合では肺炎が最多である。代表的抗MRSA 薬であるバンコマイシン(VCM)と比べ、リネゾリド(LZD)には容量調整やTDM 測定が不要などの利点がある。災害医療センター救命救急科(以下当科)ではMRSA肺炎に対し、VCMだけでなくLZDを担当医師の判断で第一選択薬として用いている。そこで、高齢者MRSA肺炎においてVCMとLZDの効果を比較検討した。【方法】2011年4月1日から2015年5月31日の間に当科に入院し、MRSA 肺炎の診断でVCM(n = 20)とLZD(n = 12)が使用された高齢者(65歳以上)計32例を後方視的に抽出し、比較検討した。年齢・性別・基礎疾患(糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病・呼吸器疾患など)・30日死亡の有無や抗菌薬投与前後のSOFA スコア・CRP 値・eGFR 値・Alb 値などを抽出し、2 群間を比較検討した。Primary outcome を30 日死亡、Secondary outcome をeGFR 値とPlt 値の変化とした。【結果】VCM 群とLZD 群の平均年齢は77.6 歳と76.5 歳、男女比は(16:4、12:0)だった。2群間の比較では、年齢・性別・基礎疾患・SOFAスコア・CRP値・Alb値・eGFR値などに有意差を認めなかった。30日死亡はVCM 群9 名、LZD群1 名で有意にLZD群が少なかった(P <0.05)。投与7 日目まで両群でeGFR 値と血小板の有意な低下を認めなかった。【結論】高齢者MRSA 肺炎において、VCM 群に比べLZD 群で30 日死亡が有意に少なかった。高齢者MRSA肺炎では、VCMに比べLZDが予後改善に寄与する可能性が示唆された。