ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-699-CP47-4 肺炎を契機に発症した急性心不全にVV-ECMO導入した1 症例兵庫医科大学 救急・災害医学講座藤崎 宣友、岡本 彩那、西村 健、白井 邦博、中尾 博之、小谷 穣治【症例】35 歳男性【既往歴】高血圧症、睡眠時無呼吸症候群【現病歴】来院10日前から感冒症状、労作時呼吸困難出現。7日前、上気道炎の診断で抗菌薬を投与され以後経過を見られていたが症状増悪、重症肺炎による呼吸不全疑いで紹介となった。来院時、冷汗、末梢冷感、起座呼吸を認め、著明な高血圧と低酸素血症を呈していた。心エコーで左室壁運動は全周性に低下、胸部レントゲン、胸部CTで両側胸水と浸潤影、びまん性のすりガラス陰影を認めたことから、市中肺炎を契機に発症したクリニカルシナリオ1の急性心不全と診断した。非侵襲的陽圧換気療法を行い、血管拡張薬、利尿剤、抗菌薬を投与し加療を開始するも、呼吸状態は悪化。同日挿管、人工呼吸器管理となった。利尿剤への反応は良好であったが、第2病日PaO2/FIO2 ratio 50 台まで低下、Murray score 3点となり、肺炎によるARDSを併発していると判断しVeno-venous Extra corporeal membrane oxygenation(VVECMO)を導入した。Lung rest を行いながら加療継続。肺炎、心不全とも徐々に改善を認め、第7 病日ECMO 離脱、第8 病日抜管に至った。心不全、血圧管理を行ったのち第32病日退院となった。【考察】市中肺炎を契機に発症した急性心不全にVV-ECMOを導入した症例を経験した。重度の低酸素血症に対し早期にVV-ECMOを導入したことで良好な転帰につながったと考えられた。CP47-5 片肺患者の胃癌術後重症呼吸不全に対してVV-ECMOを施行し、独歩退院となった一例東京大学医学部付属病院 救急部 集中治療部前田 明倫、飯高 さゆり、小丸 陽平、浅田 敏文、上田 吉宏、土井 研人、石井 健、橘田 要一、中島 勧、矢作 直樹CESAR trial 等を受け、国内でも急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome, 以下ARDS)に対し体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation, 以下 ECMO)が施行される頻度が増えており、本施設でも導入症例が増加している。だが導入・除外に関する基準は明確に定まったものがなく、導入に迷う症例も少なくない。今回ECMO導入に際し相当の躊躇はあったが、最終的に自宅退院となった一例を経験したため報告する。症例は77歳男性。肺癌に対し右肺全摘術の既往があり、今回早期胃癌に対し幽門側胃切除術を施行した。第3病日にシバリングを伴う38.5℃の発熱を認め、誤嚥性肺炎の診断となった。第4病日にCO2貯留を伴うPO2/FiO2 100程度の呼吸不全となり、気管挿管下に人工呼吸管理を開始するも、アシドーシスを是正できず、第6 病日にveno-venous ECMO(VV-ECMO)を導入した。その後呼吸状態は順調に回復し、第16病日(導入10 日)で離脱に成功した。嚥下訓練を含めたリハビリテーションを行い、最終的に自宅に退院となった。片肺患者に対し、VV-ECMOを導入した症例は少なく、その適応も含めて文献的考察を加え報告する。CP47-6 respiratory ECMO救命例における長期健康関連QOLの検討群馬大学 医学部附属病院 集中治療部神山 治郎、徳江 彩、松岡 宏晃、坂上 浩一、柳澤 晃広、金本 匡史、戸部 賢、日野原 宏、国元 文生、齋藤 繁近年、重症呼吸不全に対する体外式膜型人工肺(ECMO)の普及により人工呼吸器管理のみでは救命なし得なかった症例の報告例が多数存在する.その一方でECMO管理下では長期の安静や精神的忍耐を強いられる可能性があり、例え救命できたとしても退院後の生活に大きく影響する可能性がある.今回我々は、respiratory ECMO救命例の退院から1年後の健康関連QOL(HRQOL)を調査したので報告する.今回HRQOLの評価にEuroQOL-5D-5Lを用いた.EuroQOL-5D-5Lは、健康状態を5つの項目(移動の程度、身の回りの管理、普段の生活、痛み/不快感、不安/ ふさぎこみ)に分けそれぞれ5つの水準で評価し、スコア化が可能である.またEuroQOL の視覚尺度(VAS)による評価も同時におこなった.症例1、60 歳男性、重症レジオネラ肺炎、murray score 3.25点で転院初日にECMO導入、第7 病日にECMO離脱、第8 病日に人工呼吸器離脱、第21病日に独歩退院となった.退院1年後のEuroQOL-5D-5L のQOL 値は入院前の1 から0.825 に低下、VAS 値は100 から75 に低下した. 症例2、45 歳女性、粟粒結核によるARDS で第15 病日にmurray score 3.5 点でECMO 導入、第23 病日にECMO 離脱、第53 病日に人工呼吸器離脱、喀痰抗酸菌塗抹検査の陰性化を確認した後、第108 病日に独歩退院となった. 退院1 年後のQOL 値は入院前の1 から0.817に低下、VAS値は100 から70に低下した. 2症例を通してECMO施行中のリハビリテーションや栄養管理をふりかえり、今後のECMO管理にどう生かしていくかの検討をおこなう.