ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-698-CP47-1 マイコプラズマ肺炎による重症呼吸障害急性期にECMO 導入が奏功した1 例1)国家公務員共済組合連合会新別府病院救命救急センター、2)国家公務員共済組合連合会新別府病院臨床工学室奥山 英策1)、廣重 滋夫1)、添田 徹1)、渡邊 圭祐1)、菊田 浩一1)、宮崎 貴士1)、矢埜 正実1)、中村 夏樹1)、岩田 浩一2)【症例】66 歳、男性。【主訴】呼吸苦【現病歴】咳嗽、息切れを主訴に近医受診。喘息の診断で内服薬が開始されたが、症状は改善せず、3 月18日に歩行困難となり当院ER へ搬送されICU入室。【現症・検査所見】意識:清、JCS:10 。体温:38.0℃、血圧:194/92mmHg、脈拍:106/ 分、呼吸数:33 回/ 分、SpO2:65%(10L/nasal)。NPPV 装着、FiO2 0.4, PS 5cm、PEEP 5cm でSPO2:88%。FiO2 1.0 へ変更。Na:137,K:5.0,Cl:104mEq/L,BUN:29.3,Cr:0.72mg/dl,WBC:29,600,CRP:25.1mg/dl. プロカルシトニン:0.7ng/ml、尿中肺炎球菌抗原(-)、尿中レジオネラ抗原(-),マイコプラズマ(CF)1024倍以上(3月27 日)。【入院後経過】NPPV(Fio2:1.0)で管理するも、酸素化は悪化し第2 病日挿管下の人工呼吸管理となる。挿管後7 時間FiO2:1.0、P/F:60.0.12 時間後FiO2:1.0、hypercapnea の進行(PaCO2:97.3mmHg)と酸素化の改善がみられない(P/F:58.1)ため第3 病日にVV-ECMO を導入した。脱血管は右大腿静脈、送血管は左大腿静脈から挿入した。ECMO設定:流量3L/min、FiO2:1.0。呼吸器設定:mode:VC,FiO2:0.7(適宜漸減)、VT:360ml、I/E:1:1、PEEP:15cm、Plateau圧は30cm以下。第11病日、ECMO導入後9日目に離脱。【まとめ】マイコプラズマ肺炎による重症呼吸不全にECMO導入が有効であった1例を報告した。早期から呼吸器内科医、救急科専門医、集中治療専門医とcollaborationすることがECMO の導入・管理に重要であることが認識された。ポスターCP 47 気道・呼吸・呼吸管理⑦ 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP47-2 PCP で発症したAIDS患者にECMOを導入して救命した一例1)八戸市立市民病院 救命救急センター、2)八戸市立市民病院 麻酔科長谷川 将嗣1)、昆 祐理1)、近藤 英史1)、大川 浩文2)、今 明秀1)【症例】27歳男性【現病歴】当院入院2ヶ月前に発熱と呼吸苦で肺炎の診断で前医入院となったが、呼吸状態悪化した為の当院へ紹介搬送となった。【来院後経過】血圧89/48mmHg、心拍数120bpm、呼吸数40 回/ 分、SpO288%(10 リットル酸素投与)、GCSE4V4M6、体温37.8度。るい痩あり発汗著明であった。複数との性交渉歴を確認後に鎮静し気管挿管を行い人工呼吸器管理を開始した。胸部Xp でびまん性の浸潤影あり。初診時にHIV抗体陽性で病歴や経過からニューモシスチス肺炎(PCP)による敗血症を考えた。前医でβ -D グルカンが異常高値で、PCP による影響も考えられたが、初診のAIDS 患者であり真菌感染とサイトメガロウイルス感染も考慮して投薬を行った。気管挿管後はHigh PEEP CPAP で人工呼吸器管理しOxygen Index14,P/F130程度で経過した。ECMO 導入も検討したがAIDS患者で感染コントロールが困難になる場合が想定されることや予後不良であることから、まずは人工呼吸器の調整を行った。しかし、第7病日に両側気胸となり急激に呼吸不全が悪化した。胸腔ドレナージチューブを留置したがair leek止まらず呼吸状態の改善が得られなかったため、VV-ECMO 導入を決定した。ECMO導入により速やかに酸素化改善し、その後は肺炎や尿路感染による菌血症を併発したが、抗菌薬投与でECMO回路の継続使用は可能であった。自己肺の状態が改善し、第37病日にECMO離脱し第56病日に人工呼吸器を離脱した。現在食事摂取良好で自力歩行している。【考察】AIDS 患者に対するECMOに関して除外基準の一つとしている施設もある。本症例では人工呼吸器管理により呼吸状態の改善を図ったが圧損傷による気胸を併発し、ECMO 導入となった。結果的に長期間の回路使用は可能であり、早期に導入を決定してもよかったことも推察された。【まとめ】AIDS患者にECMOを導入し、長期間の管理でも状態の改善が得られた例を経験したため報告する。CP47-3 麻酔導入後の血小板輸血が原因で発症したTRALIに対するECMO による救命例東京医科大学 麻酔科学分野 集中治療部竹下 裕二、今泉 均、関根 秀介、鈴木 直樹、羅 秀玉、石田 裕介、板橋 俊雄、福井 秀公、田上 正、内野 博之【症例】70歳代男性。169cm、74kg。【既往歴】AML、3年前にAVR+CABG手術。【手術】膀胱癌に対し膀胱全摘、回腸導管造設術。【術中経過】術前の血小板低下(7.6 万/mm3)に対する血小板20 単位輸血約30 分後に PFRが108 と低下し,気管からの湧き出る黄色透明の分泌物をBFで頻回吸引。血圧低下も持続し輸液・輸血及びNA持続投与を開始。手術は239 分で終了しICU 入室。【術後経過】ICU 入室後,腹腔内出血に対する再開腹止血術中、気管分泌物はさらに増加(1.8L/3h)、頻回の低酸素血症をきたすためECMO導入を決定。右大腿静脈に脱血路(24Fr)、右内頸静脈に送血路(20Fr)を挿入しECMO 開始(Capiox 回路R、TERUMO社製、1750 回転、流量4.2L/ 分,)。サイトカイン除去、体温・循環管理目的にCHDF(sepXirisR、Baxter 社製)を開始。ECMO 開始直後に気道分泌物は著減、肺野のスリガラス影は徐々に改善したが、循環は不安定でPMX-DHPも併用。7病日ECMOを離脱、9病日抜管。その後TRALIに伴う免疫抑制のためか、腸管の縫合不全・腹膜炎を発症し、18病日開腹ドレナージ、人工肛門造設術を施行。腹部の感染コントロールに難渋したが、経腸栄養・早期リハビリを進め、術後36病日一般病棟へ転床。HLA抗体は検索中。【まとめ】TRALIは輸血に伴う非溶血性副作用の中で最も重篤な病態の1つで、本邦では年間約20例の報告がある。症状発現は通常2時間以内で、48~96 時間で消失・改善することが多いとされるが、最重症例を含めた死亡率は5~10%となる。TRALIの病態が可逆性であることから、低酸素血症や高炭酸血症に長期に曝され不可逆性脳障害をきたす前に時期を逸せず、ECMOを導入・管理を行うことが重要と考えられる。