ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-692-CP44-1 重症心不全患者に対する早期経口摂取開始への意識向上に向けた取り組み1)社会福祉法人 三井記念病院 CCU、2)社会福祉法人 三井記念病院 循環器内科、3)社会福祉法人 三井記念病院 栄養部、4)社会福祉法人 三井記念病院 薬剤部藤澤 真季1)、前田 依久恵1)、谷本 周三2)、篠原 文1)、渡邉 英美1)、多形 沙枝1)、野津 佳代子3)、田中 良子4)、南雲 貴美子3)、高橋 亜由美1)【背景】重症心不全患者の急性期治療では、水分バランス管理に重点を置くことが多く絶食期間が長期にわたることも少なくない。多職種で構成する医療チームは、栄養状態の悪化が予後不良因子であることを念頭に、各々の専門性を発揮して絶食期間を短縮し早期経口摂取開始に取り組む必要がある。【目的】集中治療管理を要した重症心不全患者に対し、食事開始前観察項目表を使用して評価方法を統一することで、看護師の食事開始に関する意識が高まり絶食期間の短縮が図れるかを検証する。【方法】2014 年10月~2015年7月までCCUに入室した非挿管重症心不全患者55名を対象とし、食事導入前に調整を要する項目(口腔内汚染・むせ・自己喀痰・下痢・便秘の有無など)をリスト化した食事開始前観察項目表を用いて日々の評価を行った。医師・管理栄養士・薬剤師等を交えて毎日行う多職種カンファレンスにて、項目表に基づいて食事開始時期について看護師側から提言を行い、方針と対応策を看護計画に記録。看護師の意識調査を項目表導入前後に実施した。【結果】対象患者のCCU滞在日数は4.0±1.7日。項目表導入前後で絶食期間は2.3 ± 1.3 日から1.3 ± 0.8 日に短縮した。項目表の記入率は100%であった。摂食時に必要な観察項目の看護計画記載率は10%から80%と増加した。多職種カンファレンスにて、食事開始について提案・検討依頼が出来ている看護師は15%から94%に増加した。摂食・消化機能評価および食環境の調整に必要である、口腔内評価・嚥下・排便状況についての観察は、導入前89.4%から 100%へと増加した。【結論】食事開始前観察項目表を導入し評価方法を統一することで、看護師の食事開始に対する意識が向上し看護計画記載率が高まった。看護師による積極的な食事開始時期についての提言は、絶食期間短縮の一助となる可能性がある。ポスターCP 44 栄養管理② 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP44-2 集中治療部における経腸栄養プロトコールの有用性に関する検討金沢大学附属病院 集中治療部太田 浩世、長石 恭子、濱口 真実子【概要】早期経腸栄養の開始基準に該当する重症患者に対し、集中治療部(以下ICU)入室48 時間以内に経腸栄養を開始することができるよう当院ICU で経腸栄養プロトコール(以下プロトコール)を作成した。プロトコール導入前後でのICU入室から経腸栄養開始までの時間を比較検証し、プロトコールの有用性を検討した。【方法】2014年7月から2014 年12月中に経腸栄養を開始した患者(以下非プロトコール導入群)と2015年1 月から2015 年6 月中にプロトコールを用いて経腸栄養を開始した患者(以下プロトコール導入群)、2群のICU入室から経腸栄養開始までの時間を計算した。2群間の比較には統計ソフトJMP Ver.11.0.0を使用し、結果は平均±標準偏差で示しWilcoxonの順位和検定で行い、p<0.05をもって有意差をありとした。倫理的配慮は、当院外来に研究内容を掲示し、研究の意義や目的、方法、保有する個人情報の取り扱い等について情報を公開し、患者より申し出のない場合は同意とみなした。本研究は利益相反なし。【結果】プロトコール導入群が男性12名、女性7名の計19名、平均年齢は66±17.1歳であった。疾患は循環器2 名、呼吸器3 名、脳神経9 名、皮膚耳鼻科3 名、外傷1 名、その他1 名であった。非プロトコール導入群は男性16 名、女性2 名の計18 名で、平均年齢は67.6 ± 11.2 歳であった。疾患名は循環器7 名、呼吸器3 名、脳神経4 名、皮膚耳鼻科3名、外傷1 名であった。ICU 入室から経腸栄養開始までの時間はプロトコール導入群32.57 ± 12.12 時間、非プロトコール導入群50.27±32.39時間であった(p< 0.048)。【考察】2 群間で有意差が認められ、プロトコールは有用であった。非プロトコール導入群は循環器疾患が多く、循環が安定していた症例においても虚血性腸炎への危惧から遅延に繋がったと考えられる。早期経腸栄養を要する患者が正しく選択することができる有益なプロトコールとなるよう今後も内容を検討していく必要がある。CP44-3 当施設ICU での経管栄養プロトコルの有用性の検討~経管栄養速度調整ツールの導入~1)済生会横浜市東部病院看護部、2)済生会横浜市東部病院栄養部、3)済生会横浜市東部病院集中治療科大坪 慶子1)、石川 江里1)、工藤 雄洋2)、大村 和也3)、高橋 宏行3)【はじめに】当施設ICU では多職種協働のもと栄養管理を行い早期経腸栄養は定着している。また経管栄養管理時の合併症を調査した結果下痢が最も多く、続いて胃管排液量の増加であり、これらの合併症対応として経管栄養速度の減速が改善に繋がったと結果がでた。しかし投与速度の調整は医師により異なり、目標エネルギー充足までに時間を要していた。【目的】今回経管栄養投与速度調整を目的とした経管栄養プロトコルを作成、運用を開始したので、その有用性を検討した。【方法】プロトコル運用)看護師が主体となり運用開始し、下痢の評価にはKing’s Stool Chartを導入し客観的総合的評価を行った。毎朝胃管排液の1 日合計量とKing’s Stool Chartの合計点数からプロトコルに沿って評価、投与速度調整を行った。対象)プロトコル導入前の2013 年1 月~6月の症例をA群、導入後の2014年1月~6月の症例をB 群とし、経管栄養開始後3日以上ICUに在室した患者を対象とした。人工肛門造設患者は除外とした。方法)経管栄養開始日~14日目までの目標エネルギー、蛋白質の充足率、合併症の頻度を比較検討した。【結果】A群65 例、B 群72 例。年齢、性別、主科、入室経路に両群間有意差はなかった。エネルギー充足率80%達成日数はA群5 日、B群4 日、100%達成日数はA群14 日、B 群6日、蛋白質充足率80%達成日数はA 群5日、B 群4 日、100%達成日数はA群14日間で達成なし、B 群10日であった。下痢発症はA群21 例(32.3%)、B群22 例(30.6%)、2日以上の下痢持続はA群14例(21.5%)、B群9例(12.4%)。胃管排液増加症例はA群12例(18.5%)、B群10例(13.8%)、2日以上の増加持続症例はA群6例(9.2%)、B 群4例(5.6%)であった。【結語】プロトコル導入によりエネルギー、蛋白質の充足までの日数は有意に早まった。合併症の頻度は減少したが有意差は認められなかった。安全で効果的な経管栄養管理を進める上でプロトコルが有用である可能性が示唆された。