ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-691-CP43-4 気管内チューブのカフ圧の継続モニタリング1)名古屋掖済会病院 救命救急室、2)名古屋掖済会病院 臨床工学部山内 ゆり1)、田中 誠子1)、牧野 高明1)、高橋 幸子2)【背景】 気管内チューブのカフ圧は、継時的に自然低下、体位変換や首・頭部の位置などでも変動することが一般的に知られている。当院、救命救急室でも、それを念頭に置き口腔ケア前後、体位変換前後などカフ圧が低下することが予測されるときにカフ圧計を用いて管理・調整を行っている。しかし、急なカフ圧の低下が生じ、慌ててカフ圧調整を行うという事がある。そのため今回、カフ圧の継続モニタリングを行い、変動について観察を行った。その結果について報告する。【目的】カフ圧を継続モニタリングすることで可視化し変動を知る。【期間】平成27年5月1日~8月1日【方法】挿管患者、気管切開患者のカフチューブにトランデューサーを接続し、継続モニタリングを行い後ろ向きに調査した。  【結果】1. カフ圧が1時間30分毎で低下がみられた。2. 継続モニタリングすることにより体位変換などに関係なく圧変動が確認できた。3.圧格差は大きいときで7mmHg(約10cmH2O)であった。4.継続モニタリングにより、カフ圧が適正かどうかリアルタイムに知ることが可能。【考察】時間の経過とともにカフ圧が低下することは予測できるが、急な原因のはっきりしないカフ圧変動にたいして、カフ圧計のみでの管理は難しいと実感した。リアルタイムに変動を知ることで低下する前に調整が行え、ルーチン以外でのカフ圧調整の減少となり看護師にとっては管理しやすく、また患者にとっても、安全であると考える。今回、継続モニタリングしたことで、カフ圧の変化がリアルタイムに測定したことは気管内チューブの管理について有用であったと考える。【結語】 カフ圧の変動は激しく看護師にとってカフ圧管理は重要。CP43-5 人工呼吸器装着中患者の発声に対する取り組み地方独立行政法人 神戸市立医療センター 中央市民病院飯塚 瑞恵、池田 理沙【はじめに】医療の進歩に伴い重症者、高齢者の回復が可能になってきた現在、人工呼吸器を装着した状態で生活することを余儀なくされている患者がいる。長期にわたり人工呼吸器を使用している患者の「話したい」という希望を叶えるために、発声することで生じるリスクを最小限にして希望を叶えることができたので報告する。【患者紹介】80歳代 男性 僧房弁閉鎖不全 大動脈弁狭窄症にて人工弁置換術 肝細胞癌 拘束性肺障害 キーパーソンは妻【倫理的配慮】患者家族へ不利益が生じないことを説明し、書面での同意を得た。【看護の実際】心臓手術を施行後、人工呼吸器からの離脱が困難であった患者、術後11日目に肝腫瘍の破裂から全身状態の悪化を認め、DNRの方針が決定した患者から「話したい」という希望が聞かれた。この時点での患者の呼吸器設定はPC:27cmH2Oであり、患者の気道内圧は30cmH20 を超えることが多くCO2が蓄積しやすかった。通常では呼吸器使用中の発声は不可能な状態であったが、患者の意思を尊重し人工呼吸器を使用中でも発声できる気管切開チューブシステムであるBLOMの使用を考えた。看護師から主治医へ患者の思いを伝え、当院のRST(呼吸サポート)チームと相談した。患者と妻へはBLOMを使用することによる効果とリスクを伝えた上で使用することになった。BLOM を使用するにあたり、医療スタッフへ説明を行い使用中の注意点を説明した上で実施した。患者は自分の思いを医療者、妻へ伝えられ「満足した」との言動があった。この後はこまめな観察と呼吸器設定の調整によって患者は呼吸状態の悪化をきたすことなく経過ができた。【考察】事前にBLOM使用に関して医師、看護師へ説明を行ったこと、使用中は医師が患者のベッドサイドで呼吸器の管理を行ったこと、使用中止の基準を看護スタッフへ指示していたことが、患者の呼吸負荷にならず安全に発声を行えたのではないかと考える。CP43-6 術後HCU に入室する患者の対応困難な場面での看護師の援助秋田赤十字病院森元 彩華、石黒 洋子【はじめに】術後患者の疼痛は、患者の回復過程に影響を及ぼすため、早期に軽減することが重要である。そこで、看護師が術後患者の苦痛の訴えと病状をどのように捉え、アセスメントを経て援助しているのか、そこにどのような感情が存在するのかを明らかにすることを目的に取り組んだ。【方法】模擬患者「鎮痛剤を使用しても苦痛が続き感情的になっている患者」を設定し、「患者に対する行動・援助・声掛け」「アセスメント」について、その後、模擬患者の情報を追加し、「更なる対応」「場面での看護師の感情」について調査した。「鎮痛剤使用群」「鎮痛剤使用しない群」に分類、「鎮痛剤使用しない群」について、質問項目ごとに集計した。「場面での看護師の感情」については、看護師経験年数により比較分析した。【倫理的配慮】A 病院看護部倫理員会の承認を得て実施した。【結果】26 名中有効回答は23 名、追加の鎮痛剤を使用しない群は18 名で「鎮痛剤が使用されたばかりであることの説明」「体勢を変える提案」「心理的側面へのアプローチ」が15名に共通した対応であった。更なる対応では「医師への連絡手段をとり鎮痛剤を使用する」と「指示通りの時間まで使用しない」に分かれた。患者の苦痛を取り除きたいが、術後に完全な安楽は困難なため〔仕方ない〕と考えたのは経験年数6年以上で、5年以下では見られなかった。【考察】鎮痛剤を使用しない群では術後に劇的に変化した自分の環境を不安に感じている患者に誠意を持った対応をしていきたいと思う反面、鎮痛剤の使用時間の間隔をあける医師の指示の存在や薬剤の副作用を懸念し、鎮痛剤以外での対応で苦痛を取り除くことが可能かを考えての行動がみられた。【結論】疼痛緩和が優先としながら、鎮痛剤を続けて使用することへのためらいからか説明や代替手段、心理的アプローチをとって対応しようとしていることが明確となった。