ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-688-CP42-1 ICUにおける人工呼吸器装着患者の鎮痛・鎮静管理―看護師、医師、患者の視点より―1)日本赤十字社和歌山医療センター 本館7A 院内ICU、2)和歌山県立医科大学 大学院 保健看護学研究科高橋 悠1)、上松 右二2)、辻本 登志英1)【目的】ICUにおける人工呼吸器装着患者の鎮痛・鎮静管理について看護師・医師、そして患者の視点を明らかにし、より安全で快適にICUでの治療が受けられるような示唆を得る。【方法】ICUで集中管理を行っている医師、看護師に対し、鎮痛・鎮静管理についての同じ内容のアンケートにて調査した。調査項目は鎮痛に関する18 項目、鎮静に関する17 項目を調査した。ICUで人工呼吸管理を受けた患者に対し、入室中の記憶や人工呼吸器装着中の治療、看護ケアについて、鎮痛・鎮静管理の満足度、コミュニケーションの満足度を調査した。そして人工呼吸中のコミュニケーション方法6項目の有効性と鎮痛・鎮静管理の満足度の調査は、看護師、医師、患者とも同じ内容とした。【結果】鎮痛管理において、「痛みがほとんどない状態になるように鎮痛薬を使用するべき」と看護師、医師ともに約70% が考えていた。鎮静管理における適切な鎮静深度については、看護師よりも医師の方がより覚醒を促していた。医師はケアを行いやすくすること、看護師は安全性と快適性を維持することを重要視していた。鎮痛・鎮静管理の満足度においては医師よりも看護師の方が低く、また、看護師は「患者は現在の鎮痛・鎮静管理に満足していない」と考えていた。患者調査では、約5割は、なんらかの痛みや不快を感じていたが、約7割の患者が鎮痛・鎮静管理におおむね満足していた。【結論】ICUにおける人工呼吸器装着患者の適正な鎮痛・鎮静は深鎮痛・浅鎮静であることが示唆された。鎮痛・鎮静における看護師、医師の視点の違いは明らかになったが、患者の視点については言及しえなかった。「患者中心」のケアを目指す上で、適正な鎮痛、鎮静を行うためには、看護師、医師、患者間でのコミュニケーションを十分にとることが重要と考えられる。キーワード:ICU 人工呼吸器装着患者 鎮痛・鎮静管理 コミュニケーション 患者の満足度ポスターCP 42 鎮静・鎮痛・せん妄・早期離床④ 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP42-2 人工呼吸器管理中の鎮痛・鎮静に対する看護師の意識調査ーCPOT導入前後を比較してー石川県立中央病院 看護部前野 加代子、吉田 真紀子【目的】当院ICU人工呼吸器使用患者の鎮痛・鎮静管理に於いて、鎮痛剤の併用が少なく、鎮静剤のみで管理する傾向があり、そのため過剰鎮静が行われていると考えた。人工呼吸器管理中の鎮痛・鎮静の現状を明らかにし、CPOTを導入することで鎮痛・鎮静に対する看護師の意識に変化があるか調査した。【研究方法】当院看護研究倫理委員会の承認を得た後、対象者ICU・ HCU看護師(36名)に目的・方法、データの取り扱いの説明後、質問紙によるアンケート調査をCPOT導入前・後に実施、比較検討した。【結果・考察】「鎮静中に鎮痛評価を行っているか」という項目において、「思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した看護師はCPOT導入前53%からCPOT導入後80%に増加。鎮静中にも鎮痛評価を行う必要があると意識の変化がみられた。また、実際行っている管理鎮静度はRASS-3~- 5の回答がCPOT導入前82%、CPOT導入後80%と変化はみられなかった。当院ICUの現状は、症例に合わせた鎮静管理の具体的な指示がなく、看護師個々の臨床判断に任されることが多い。痛みや不安を完全になくそうとすると、鎮静剤を大量に投与することが必要となり、結果、過剰鎮静となっていると考えられた。CPOTの導入により人工呼吸器管理中の鎮痛に対する関心が高まり、鎮痛中心の鎮静が重要と認識されている。今後は、過剰鎮静を防ぎ、患者の予後を悪化させないために、鎮痛・鎮静のプロトコールの作成を行い管理する必要がある。CP42-3 外科術後におけるNRS 評価の統一によって得られた疼痛緩和への効果医療法人 光晴会病院大谷 裕美、片岡 優子、宮本 望、鳥越 綾美、松村 由美【はじめに】 A病院のICUではNRS評価スケールを用いて疼痛の把握を行っているが、実際記録を振り返るとスケールを統一して使用しておらず評価方法が様々であった。周手術期の患者にとって術後疼痛を取り除くことは精神的安定を図ると共に早期離床を促し、術後合併症を予防する上で重要である。効果的な疼痛管理を行うために、NRS評価の統一に向けて看護師への教育を行った。これらの取り組みが疼痛管理に対して有効であったか比較検討した。【研究方法】平成26年4 月~5 月(取り組み前)に入室した予定外科術後患者と平成26年11月~12 月(取り組み後)に入室した予定外科術後患者を対象に、疼痛評価及び鎮痛剤使用状況についての情報を電子カルテより後ろ向きに抽出、取り組みの効果について考察を行う。【結果】取り組み前では患者46 人中NRS使用は8人(17%)、他38人(83%)は鎮痛剤使用時に「疼痛増強あり」とどの程度の増強なのか具体的な記載がなかった。取り組み後は患者41人全ての患者にNRSを使用。術後経過に伴い疼痛が改善・増強した際もNRSでの記載があり、実際に鎮痛剤を使用した症例は36 例。鎮痛剤使用時のNRS 評価別にみると、NRS10:16%、NRS9:11%、NRS8:19%、NRS7:8%、NRS6:16%、NRS5:11%、NRS4:5%、NRS3:11%、NRS2:3%、NRS1:0%であった。また、NRSの記載がなく2回目の鎮痛剤を使用した患者は1名、一回目鎮痛剤を使用後NRSが下がらず、約1時間以内に2回目を使用した患者は7名見られた。【考察】取り組み後は全症例にNRS評価ができていた。しかし、一部NRS評価がない鎮痛剤使用症例があった。全体ではNRS:6~10での鎮痛剤使用が70%以上と多くみられた。これは今回の取り組みがNRSスケールの定着を目的とし、介入に至る基準についての学習まで行えていなかった事が原因と考えられる。今後の課題として、エビデンスに基づいてスタッフがNRS:0~3を目標に疼痛緩和に向けた介入が行えるよう知識の統一を行う必要がある。