ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
685/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている685ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-683-CP39-4 脳低温療法施行症例における心肺停止後症候群脳モニタリング値の検討1)山梨県立中央病院 救命救急センター、2)日本医科大学付属病院 高度救命救急センター松本 学1)、岩瀬 史明1)、井上 潤一1)、小林 辰輔1)、宮崎 善史1)、河野 洋介1)、加藤 頼子1)、池田 督司1)、木下 大輔1)、横田 裕行2)【背景】rSO2 とBISは非侵襲的脳モニタリングとして広く使用されている。心肺停止患者において、両者は神経学的予後を予測するマーカーとしての知見が集約されつつある。しかし、集中治療中の評価については未だ確立しているとは言い難い。【目的】心肺停止後症候群(PCAS)に対する脳低温療法中のrSO2 及びBIS の推移を明らかにする【方法】PCAS に対する脳低温療法施行症例について、rSO2及びBISを同時に、蘇生後より72時間モニタリングした。治療中各パラメーターの推移を、転帰良好群(GO群)と非良好群(PO群)に分け検討を行った。尚、脳低温療法は24時間34.0℃維持、48時間で36℃への復温を行い、治療中はMidazolamによる鎮静とVecroniumによる筋弛緩を施行している。【結果】14症例が検討対象となった。GO群 7例/PO群 7例であり、両群の背景に有意な差異は認めていない。rSO2は脳低温療法中のいずれの時期もGO群とPO群で有意な差は認めず、72時間のモニタリングにおいて大きな変動を認めなかった。BISについては、蘇生直後よりGO 群にて高値を呈していたが、3 時間以降で有意となった。BISは蘇生後12~24時間で両群とも徐々に上昇していたが、それ以降もGO群とPO群の差は有意であった。【考察】当施設における検討において、集中治療中のBIS は神経学的予後を予測するマーカーとして有用であった。また蘇生後12~24時間で脳活動性が上昇してくる現象が観察され、今後脳低温療法の維持期間及び復温期間の妥当性を検討する上での応用を期待している。rSO2は本研究では転帰に影響を及ぼさなかったが、脳循環という観点からは全身管理の適切性の指標として更なる検討を継続していく必要があると考えている。CP39-5 院外心停止蘇生後の冠動脈病変とTroponin Iの関係性の検討1)帝京大学医学部附属病院 救命救急センター、2)横浜市立大学 医学部 救急医学教室嶽間澤 昌泰1,2)、藤田 尚1)、佐々木 勝教1,2)、岩元 祐太1)、加納 誠也1)、金子 一郎1)、安心院 康彦1)、森村 尚登1,2)、坂本 哲也1)【研究の背景】急性心筋梗塞の診断にTroponin I濃度が有用であるとの報告があるが、院外心停止後に蘇生された症例における報告は本邦ではない。【目的】Troponin I濃度が院外心停止後に蘇生された症例に対して冠動脈病変の診断に有用か調査すること。【方法】遡及的診療録調査。【対象】2013 年4 月1 日から2015 年3 月31 日の期間に、帝京大学医学部附属病院救命救急センターに搬送されたCPA 症例(998症例中)で自己心拍再開後、心臓カテーテル検査を施行した62 例。【結果】62例中Troponin Iの血中濃度が0.04ng/ml 以上であったものが56 例であった。56 例中心臓カテーテル検査で冠動脈病変があったものは38例であった。感度91%(38/42)、特異度10%(2/20)、陽性的中率65%(38/56)、陰性的中率33%(2/6)であった。【まとめ】院外心停止後に蘇生された症例において、Troponin I 濃度と冠動脈病変に関係は認めなかった。Troponin I濃度を根拠にした心臓カテーテル検査の適応判断は妥当でないと考える。CP39-6 院外心肺停止例における冠動脈疾患と生存退院の関連性1)国立病院機構東京医療センター 循環器内科、2)国立病院機構東京医療センター 救急科樅山 幸彦1)、福田 正1)、三浦 光太郎1)、山田 亘1)、布施 淳1)、菊野 隆明2)院外心肺停止例の研究は多施設Registryが多いが、本研究は年間約300 例の心肺停止例が搬送される当院で院外心肺停止例における冠動脈疾患と生存退院の関連を検討。【方法】2010 年1 月~2013 年12月に当院救命センターに搬送された院外心肺停止949 例を対象に既往歴、心肺停止の原因疾患、臨床的特徴と搬送後の経過を調査。事故自殺例と蘇生を行わなかった例は除外。【成績】949例中心拍再開例は375 例(40%)、うち生存退院は46例(5%)であった。生存退院46例、心拍再開後死亡329例、心拍再開(-)574 例の3 群に分けて検討すると、生存退院例は心拍再開後死亡例と心拍再開(-)例に比し年齢が若く(61 ± 18 vs 75 ± 15, 76±16 歳)、VF が高率(59% vs 19%, 8%)、Bystander CPR も高率(70% vs 23%, 11%)であった(p< 0.001)。心血管疾患の既往歴については冠動脈疾患は生存退院例15%、心拍再開後死亡例10%、心拍再開(-)例8%で3群間で有意差なく、心筋症(2%,3%, 1%)、大動脈疾患(7%, 3%, 5%)、脳血管疾患(7%, 14%, 15%)にも有意差なし。心肺停止の原因疾患については生存退院例15%、心拍再開後死亡例36%に対し心拍再開(-)例の83%は原因不明とされた(p<0.01)。生存退院例は心拍再開後死亡例に比し急性冠症候群(41% vs 10%)と特発性VF(22% vs 9%)が高率(p< 0.025)、緊急PCI は心拍再開後死亡例4%に対し生存退院例35%で施行されたが(p<0.001)、PCPS施行に差はなし(9% vs 8%)。心不全(2% vs 3%)、大動脈疾患(4% vs 5%)、脳血管疾患(2% vs 7%)は生存退院例と心拍再開後死亡例で頻度に有意差なし。心拍再開375例で多変量解析を行うと年齢、VF、Bystander CPR と緊急PCI 施行が生存退院に関連する有意な独立因子であった。【結論】当院に搬送された院外心肺停止例にて生存退院例は冠動脈疾患の既往に差がないが急性冠症候群が高率で急性冠症候群の早期診断と加療が生存退院率の向上につながると考えられた。